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井口委員提出資料 (12 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64916.html |
| 出典情報 | 社会保障審議会 福祉部会(第30回 10/21)《厚生労働省》 |
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調査結果のまとめ
文献調査から、世界的にみても、災害医療・災害
人の入れ替わりがあるなかで、「〇〇は自分たちの仕
看護等のヘルスケア領域ではコンピテンシーやそのフ
事じゃない」などということなく目の前のニーズに応え、
レームワークにかかわる実証的な研究と知見の蓄積が
多職種多団体のなかでフラットに意見を交わせることの
ありますが、介護福祉領域では災害時に求められる役
重要性も確認されました。
割やそのために身に着けておくべき能力等に関する体
そこで、派遣職員へのインタビューでは、自身の安
系的な検討は行われていないことがわかりました。国
全と健康を守る/避難者の支援/多様な関係者との連
内では、2018年以降、各都道府県において、一般避
携等という3 つの観点から、実際に心がけたこと・身
難所で災害時に要配慮者に対する福祉支援を行う「災
に着けておいてよかったこと、望ましい特性の両面から
害派遣福祉チーム(以下、DWAT)」の組成・派遣が
議論を重ねました。次頁からの「発災初期に福祉避難
推進されることになり、DWATの活動実績に基づく課
所の支援に携わる介護福祉士に求められるコンピテン
題の検討、標準化に向けたチーム員像の設定や研修プ
シーリスト」は、FamSKO派遣の介護福祉士 12人の
ログラムの開発等が進んでいます。しかし、これらは概
実体験に基づく、現実と理想を併せたハイブリッド型の
ね災害福祉支援ネットワークの構成団体の代表や研究
モデルということになります。リストは、全体で 5 つの
者らによる意見交換を通じた取組みであり、発災初期
コンピテンス領域、43 のコンピテンシーから構成されて
からの福祉避難所の運営支援、さらに介護福祉士に焦
います。
点をあて、一人ひとりの経験の省察と対話をベースと
する検討は不十分であることも明らかになりました。
つまり、災害時において活躍できる介護福祉士像に
コンピテンス領域「派遣期間を安全・健康にのりきる」
は、準備から移動・現地支援を経て帰着まで、自分の
身を守り、体調を整える備えと行動の領域です。
ついて、共通認識・実感的理解は未だないといえそう
「被災地派遣の心構え・適応力」は、変化する状況
です。
を見立て、限られた支援期間を意識しながら、できる
こうしたなか、1 月 9 日にオレンジの紅谷代表から支
ことから前向きに動き、経験を学びとしていく領域です。
援要請を受けた福祉楽団・飯田さんは、愛川舜寿会・
この2 領域を土台として、現地での避難者支援につ
馬場さんに声をかけ、翌日には 2 法人各 2 人のメンバー
いては「避難者の生活環境整備」と「福祉避難所の特
を決定、11日未明には 4人の第 1 次派遣隊が出発。以
性を踏まえた避難者への関わり」の 2 つの領域にまとま
降 6 法人から第 8 次に及ぶ派遣が続くことになったので
りました。前者は、生物として万人共通の人間の生命
す。
の営みとその環境を整えること、後者は生活を営む千
では、発災から10日ほどの輪島市の福祉避難所にど
差万別の人間の人生へのかかわりに重点があります。
ういう職員を派遣するのか――関係者の集中討議で、
「他の支援者との連携・協働」は、望ましい支援に
派遣元法人がまず口をそろえたポイントは、「野に放っ
向けた他者、他の職種や団体との協働にかかわる領域
ても絶対に死なない」「動物的カン・危険を察知する
です。
直感力」「ざっくり「へっちゃら」」などのサバイバル力、
少しでもリアルなエピソードを共有すべく、いくつか
次いで「観察力・現場力」
「受動態ではない」
「臨機応変、
のコンピテンシーについては関連する介護福祉士の語
ルールを変えていける」と自ら状況に応じて動けること。
りや写真を挿入しています。ぜひご覧ください。
第1次派遣隊は4人とも被災地派遣の経験者でした。避
難者の支援に関しては、派遣元法人や派遣職員としては
「ふだんと変わらない観察・介護」ということでしたが、
受け入れたオレンジの医師・看護師から「発災初期か
ら暮らしの視点」
「目減りする生命力をみられる」といっ
た医療職と比べた介護福祉士の特長があげられたこと
も印象的でした。とはいえ、その場は福祉避難所。避
難者の方々、被災地内外のさまざまな支援者など日々
堀田聰子|ほった・さとこ
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授
博士(国際公共政策)。社会保障審議会・介護給付
費分科会及び福祉部会等において委員。より人間的
で持続可能なケアと地域づくりに向けた移行の支援お
よび加速に取組む。
11
文献調査から、世界的にみても、災害医療・災害
人の入れ替わりがあるなかで、「〇〇は自分たちの仕
看護等のヘルスケア領域ではコンピテンシーやそのフ
事じゃない」などということなく目の前のニーズに応え、
レームワークにかかわる実証的な研究と知見の蓄積が
多職種多団体のなかでフラットに意見を交わせることの
ありますが、介護福祉領域では災害時に求められる役
重要性も確認されました。
割やそのために身に着けておくべき能力等に関する体
そこで、派遣職員へのインタビューでは、自身の安
系的な検討は行われていないことがわかりました。国
全と健康を守る/避難者の支援/多様な関係者との連
内では、2018年以降、各都道府県において、一般避
携等という3 つの観点から、実際に心がけたこと・身
難所で災害時に要配慮者に対する福祉支援を行う「災
に着けておいてよかったこと、望ましい特性の両面から
害派遣福祉チーム(以下、DWAT)」の組成・派遣が
議論を重ねました。次頁からの「発災初期に福祉避難
推進されることになり、DWATの活動実績に基づく課
所の支援に携わる介護福祉士に求められるコンピテン
題の検討、標準化に向けたチーム員像の設定や研修プ
シーリスト」は、FamSKO派遣の介護福祉士 12人の
ログラムの開発等が進んでいます。しかし、これらは概
実体験に基づく、現実と理想を併せたハイブリッド型の
ね災害福祉支援ネットワークの構成団体の代表や研究
モデルということになります。リストは、全体で 5 つの
者らによる意見交換を通じた取組みであり、発災初期
コンピテンス領域、43 のコンピテンシーから構成されて
からの福祉避難所の運営支援、さらに介護福祉士に焦
います。
点をあて、一人ひとりの経験の省察と対話をベースと
する検討は不十分であることも明らかになりました。
つまり、災害時において活躍できる介護福祉士像に
コンピテンス領域「派遣期間を安全・健康にのりきる」
は、準備から移動・現地支援を経て帰着まで、自分の
身を守り、体調を整える備えと行動の領域です。
ついて、共通認識・実感的理解は未だないといえそう
「被災地派遣の心構え・適応力」は、変化する状況
です。
を見立て、限られた支援期間を意識しながら、できる
こうしたなか、1 月 9 日にオレンジの紅谷代表から支
ことから前向きに動き、経験を学びとしていく領域です。
援要請を受けた福祉楽団・飯田さんは、愛川舜寿会・
この2 領域を土台として、現地での避難者支援につ
馬場さんに声をかけ、翌日には 2 法人各 2 人のメンバー
いては「避難者の生活環境整備」と「福祉避難所の特
を決定、11日未明には 4人の第 1 次派遣隊が出発。以
性を踏まえた避難者への関わり」の 2 つの領域にまとま
降 6 法人から第 8 次に及ぶ派遣が続くことになったので
りました。前者は、生物として万人共通の人間の生命
す。
の営みとその環境を整えること、後者は生活を営む千
では、発災から10日ほどの輪島市の福祉避難所にど
差万別の人間の人生へのかかわりに重点があります。
ういう職員を派遣するのか――関係者の集中討議で、
「他の支援者との連携・協働」は、望ましい支援に
派遣元法人がまず口をそろえたポイントは、「野に放っ
向けた他者、他の職種や団体との協働にかかわる領域
ても絶対に死なない」「動物的カン・危険を察知する
です。
直感力」「ざっくり「へっちゃら」」などのサバイバル力、
少しでもリアルなエピソードを共有すべく、いくつか
次いで「観察力・現場力」
「受動態ではない」
「臨機応変、
のコンピテンシーについては関連する介護福祉士の語
ルールを変えていける」と自ら状況に応じて動けること。
りや写真を挿入しています。ぜひご覧ください。
第1次派遣隊は4人とも被災地派遣の経験者でした。避
難者の支援に関しては、派遣元法人や派遣職員としては
「ふだんと変わらない観察・介護」ということでしたが、
受け入れたオレンジの医師・看護師から「発災初期か
ら暮らしの視点」
「目減りする生命力をみられる」といっ
た医療職と比べた介護福祉士の特長があげられたこと
も印象的でした。とはいえ、その場は福祉避難所。避
難者の方々、被災地内外のさまざまな支援者など日々
堀田聰子|ほった・さとこ
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授
博士(国際公共政策)。社会保障審議会・介護給付
費分科会及び福祉部会等において委員。より人間的
で持続可能なケアと地域づくりに向けた移行の支援お
よび加速に取組む。
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