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外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言 (6 ページ)

公開元URL https://www.ncvc.go.jp/hospital/wp-content/uploads/sites/2/20250707_neurology_seisakuteigen.pdf
出典情報 「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」発表(7/7)《国立循環器病研究センター》
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2)目に見えない後遺障害の種類や頻度
脳卒中生存者において、 顔面麻痺や四肢の運動麻

嚥下障害(25.3%)、てんかん(14.1%)が続き、

痺とは別に、 目に見えない後遺症として失語、 嚥下

目に見えない後遺症の治療に現場の医師が苦労してい

障害、 てんかん、 認知障害などが挙げられるが、 こ

る様子が窺える。

れらは決して稀なものではない。 脳卒中後失語に関し

脳卒中生存者の社会的負担の軽減を考える上におい

ては、 既報告によると脳卒中の 21 ~ 38%程度に

て、この目に見えない後遺症の実態把握や治療法の確

見られるとされる 。 国立循環器病研究センターの急

立は必要不可欠であり、適切な判断と治療を行える体

性期脳卒中データベースによると、2011 年 1 月~

制の整備が望まれる。

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2023 年 12 月に入院した脳梗塞 5608 例中 986 例
(17.6%)、脳出血 2583 例中 1186 例(45.9%)
に、 退院時に失語を呈することが明らかとなった。ま
た、 脳卒中後てんかんは、 脳卒中生存者の 2 ~ 14%
(脳梗塞)、 10 ~ 20% (脳出血) に発症し、 高齢
者のてんかんの原因の約半数を占める比較的頻度の高
い疾患である 5。 脳卒中後認知症を含む血管性認知症
(vascular dementia:VaD) は、アルツハイマー
病に次ぐ認知症の 2 番目の原因であり、 脳血管障害
を背景として発症する。 特に 65 歳未満においては認
知障害の最も主要な要因であり約 40%を占めるとさ
れる。 嚥下障害については脳卒中後の 18 ~ 81%に
起こるとされ 6、8.5 ~ 29%の症例が急性期に経管
栄養管理が必要となるため 7、その後の栄養状態に深
く影響を及ぼす。
2018 年に我が国で脳卒中診療に従事する医師に
対して行われた全国アンケート調査では、全国 251
施設より回答を得られ、最も多い脳卒中後後遺症は認
知障害であり(30.9%)
、嚥下障害(29.3%)が次
いだ 8。また、医師が治療が難しいと答えたものは嚥
下障害(40.4%)
、次いで認知障害(33.9%)、て
んかん(4.1%)であり、治療のエビデンスが少ない
と感じているものとしては、認知障害(32.8%)に
1.脳卒中後遺障害の現状
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