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外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言 (31 ページ)

公開元URL https://www.ncvc.go.jp/hospital/wp-content/uploads/sites/2/20250707_neurology_seisakuteigen.pdf
出典情報 「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」発表(7/7)《国立循環器病研究センター》
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で施設間で統一された嚥下食提供ができるよう、ガイ

認定ベンチャー第3号の GastroMedica 社はこれ

ドライン整備と普及啓発を図る。具体的には、学会

らの課題に対して産学連携を行いながら、安全であり

分類と IDDSI の整合性をさらに高め、食品業界にも

ながら美味しく健康を目指す嚥下食の開発に取り組ん

IDDSI 準拠の表示を推奨する。標準化により、どの

でおり、今後の進展が待たれる。

施設でも同じ基準の嚥下食・とろみ調整が行えるよう
になり、患者が転院・在宅に移行しても一貫した食事
対応が可能となる。行政はガイドラインやマニュアル

4.
嚥下機能評価の精度向上(不均一性評価
などの導入)

を提示し、研修会などで現場への浸透を支援すべきで
ある。これにより地域・施設間で嚥下食の質に差が生

嚥下障害の評価と食形態のマッチングをより的確

じないようにし、患者が安心して食事を摂れる環境づ

に行うため、新たな評価手法の導入・開発を進める。

くりを進める。

具体的には、現行の粘度・硬さ評価に加えて、食物の

嚥下食・補助食品の品質向上と普及促進 : 嚥下障害

不均一性(粒の大きさや分離傾向)を定量化する指標

者用食品の品質向上には、医療・介護現場のニーズと

を検討する。例えば、ペースト状食品中の微小な塊の

食品技術を結ぶ産学連携が有効である。大学や研究機

有無を評価する試験法や、とろみ液の経時的な粘度

関と食品メーカーの協力プロジェクトを推進し、科学

変化を測定する標準試験を開発する。また、嚥下造影

的エビデンスに基づくおいしさと安全性を兼ね備えた

(VF)や嚥下内視鏡(VE)の結果を踏まえ、患者ご

嚥下食を開発する。例えば、食品のテクスチャーと風

との安全な食形態を客観的に決定できるスコアリング

味に関する官能評価研究を行い、高齢者に好まれる嚥

システムを構築することも有用である。さらには、食

下食レシピを開発する、咀嚼力が弱くても食べ応えを

品工学の知見を取り入れて、嚥下食の物性を総合評価

感じられる新素材を探索する、といった取り組みが考

する指標(例:コヒージョン指数や付着度合いの指標

えられる。また、現場の調理負担軽減のため、調理済

化、不均一性の定量価)を作成し、嚥下食開発や選択

み嚥下食(クックチルやクックフリーズの嚥下食)の

に活用する。行政・学会レベルで専門家チームを組織

商品化と流通を支援する。人手不足対策として、容易

し、これら新評価法の研究開発に投資するとともに、

に提供できる完成品やミールキットを普及させること

国の嚥下食分類基準に新たな評価項目として組み込む

で、現場スタッフの負担を減らしつつ安定した品質の

ことを検討する。こうした評価精度の向上により、患

食事を提供できるようにする。行政は産学連携のマッ

者一人一人の嚥下能力に最適化された食形態を提供で

チング支援や、モデル事業の評価・展開を行い、優れ

きるようになり、誤嚥や摂食不良のリスク低減が期待

た製品・システムを全国に展開する。加えて、患者や

できる。

家族への嚥下食に関する啓発も重要である。嚥下食=
味気ないというイメージを払拭し、美味しく栄養が摂
れる食品として受け入れてもらうため、試食会の開催
やレシピ集の公開など普及啓発活動にも注力すべきで
ある。一例として、現在、国立循環器病研究センター
脳卒中生存者の栄養管理.6
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