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外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言 (34 ページ)

公開元URL https://www.ncvc.go.jp/hospital/wp-content/uploads/sites/2/20250707_neurology_seisakuteigen.pdf
出典情報 「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」発表(7/7)《国立循環器病研究センター》
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2)課題
脳卒中後の失語症では、言語コミュニケーションが

入院中に気づかなかったさまざまな機能的、精神的、

困難となり、社会参加や仕事復帰が制限される。認知

社会的な問題に直面することが少なからずある。自宅

症では記憶障害や判断能力の低下により、家庭内・社

退院後、病前に比べて約 30%の患者で活動性が低下

会的な支援が不可欠になる。嚥下障害では、栄養摂取

するという報告もあり、集中的な急性期治療によって

の困難による低栄養状態や誤嚥性肺炎のリスクが高ま

運動機能が回復しても、精神・認知機能低下が活動性

り、健康状態の悪化、再入院のリスクが高くなる。て

や生活の質(QOL)の低下を引き起こす可能性がある。

んかん発作がコントロールされない場合、発作リスク

急性期病院による外来フォローや実効的な相談窓口の

が生活の質に深刻な影響を及ぼし、日常生活の制限が

設置、生活期医療機関への適切な情報提供や連携が課

大きい。脳卒中の再発予防とともに服薬コンプライア

題である。

ンスの維持を含め、管理できるかかりつけ医につなぐ
ことが望まれる。
これらの後遺症に対する支援を行う医療・リハ体制
の課題として、医学的評価や治療、患者・家族支援の
リソースが不足しており、アクセスが制限されるとい
う根本的な課題がある。失語症や嚥下障害患者の在宅
復帰が発症後 6 カ月に満たないことが多いが、退院
時に身体障害者手帳の取得が困難な自治体が多い。社
会復帰や就労・就学支援が不十分なため、患者は社会
的孤立に陥りやすい。2024 年診療報酬改定では療
法士リソースが比較的多くある回復期リハ病棟入院料
1・2 において地域支援事業に協力する体制を有する
ことが望ましいという要件が追加されたが、実効的な
効果があるかどうかは今後の課題である。
一方、急性期治療が奏功し、運動障害が軽微である
場合は、回復期を経ずに在宅復帰し、生活期に移行す
るが、脳卒中データバンク 2021 より、急性脳梗塞
/TIA 後の自宅退院率は 52%、2023 年の国立循環
器病研究センターでの脳梗塞自宅退院率は 46%であ
り、
全体の約半数例が自宅退院していると考えられる。
こうした患者およびその介護者
(家族)
は、
自宅退院後、
7.回復期・生活期からみた脳卒中後遺症
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