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外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言 (41 ページ)

公開元URL https://www.ncvc.go.jp/hospital/wp-content/uploads/sites/2/20250707_neurology_seisakuteigen.pdf
出典情報 「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」発表(7/7)《国立循環器病研究センター》
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9.まとめ

1)人材不足への対応

4)
エビデンスの創出と活用

脳卒中合併症を含めた、脳卒中診療における人材不

脳卒中合併症の診療の標準化を進めるためには、高

足を解消するため、医療従事者の育成および地域間の

品質なエビデンスの創出とその活用が重要と考えられ

人材配置の適正化が必要である。具体的には、専門職

る。各脳卒中合併症それぞれに関する研究を推進し、

向けの教育プログラムの拡充や遠隔医療システムの導

データの収集、解析といった種々の研究を進めること

入により、地方でも質の高い医療を提供できる体制を

で、新たなエビデンスの創出につながり、ガイドライ

構築すべきと考えられる。また、働きやすい職場環境

ンへの反映、均てん化、個別化医療につながることが

を整備し、脳卒中診療に従事する医療従事者の負担軽

期待される。

減とキャリア形成を支援する必要がある。

2)産学官連携の強化

5)脳卒中生存者のA-to-F
今回の提言で取り上げた後遺障害は、目に見えない

脳卒中合併症診療のさらなる発展のためには、産学

後遺障害としての失語、てんかん、認知症、嚥下障害

官の連携を強化することが不可欠と考えられる。研究

(に伴う誤嚥性肺炎)であるが、それ以外に、脳卒中

成果を臨床現場に迅速に応用するための橋渡し機能を

医が対峙する内科的問題として、脳卒中の再発や全身

担うプラットフォームの構築や、新技術の開発や政策

状態に直結する便秘やフレイルが挙げられる。これら

立案における協働を推進すべきと考えられる。これに

を全て英語に変換すると、Post-stroke Aphasia,

より、脳卒中合併症に対する革新的な治療法や診断技

Bronchopneumonia (due to dysphagia),

術を迅速かつ効率的に患者に届ける仕組みを確立する

Constipation, Dementia, Epilepsy, Frailty

ことが期待される。

すなわち、脳卒中後の A-to-F となる。脳卒中医はこ
れら、ともすれば見過ごされがちな後遺症を急性期か

3)研究資源の充実
質の高いエビデンスを創出するためには、研究資源

らモニターしながら、脳卒中生存者の QOL を最大化
すべく全人的な医療を提供する必要がある。そのため
に、まずは脳卒中生存者の A-to-F から始めよう。

の充実が欠かせない。多施設共同研究や大規模データ
ベースの構築に向けた資金援助やインフラ整備を行う
とともに、若手研究者が活躍できる環境を整備する必
要がある。また、国際的な研究連携を促進し、他国の
研究資源や知見を活用することで、世界水準の研究成
果を創出する体制を整える必要がある。

まとめ.9
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