よむ、つかう、まなぶ。
外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言 (29 ページ)
出典
公開元URL | https://www.ncvc.go.jp/hospital/wp-content/uploads/sites/2/20250707_neurology_seisakuteigen.pdf |
出典情報 | 「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」発表(7/7)《国立循環器病研究センター》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
・嚥下食調理の負担増大と人材不足:
法では食塊のまとまりや口腔内残留のしやすさといっ
た要因も定量化されておらず、粘度・硬さだけでは嚥
嚥下調整食の調理には、
食材のミキシングや裏ごし、
下の安全性を十分に担保できないとの指摘もある。つ
個別対応など通常食以上に手間と時間がかかる。とこ
まり、
「とろみ」と「硬さ」の二軸だけで嚥下食の安
ろが病院・施設の給食現場では慢性的な調理員不足
全性・適合性を評価する現状には限界があり、より精
が問題化しており、限られた人手で嚥下食を含む多様
密で包括的な評価指標の導入が課題となっている。
な食事形態に対応する負担が増大している。人材不足
により 1 人当たりの業務量が増えると、調理の丁寧
さや提供のタイミングに影響が出る恐れがある。嚥下
食は特に滑らかでダマのない仕上がりが求められるた
め、本来はミキサーや裏ごし器などの専用機器を用い
慎重に調理すべきだが、人手が足りない現場では均質
な調理が難しくなる場合もある。さらに、調理負担が
大きいほど現場スタッフの士気低下や離職にもつなが
りかねず、悪循環が懸念される。調理負担の軽減策が
乏しい現状は、人材不足と相まって嚥下調整食提供の
持続性を危うくしている。
・嚥下機能評価方法の限界
現在、嚥下調整食の分類や嚥下機能評価は主に食物
の粘稠度
(とろみの粘度)
と硬さ
(固形物のやわらかさ)
に基づいて行われている。例えば IDDSI や日本の学
会分類でも、
とろみの粘稠度や食品の固さ(圧縮強度)
で段階を定義している。しかし、この評価軸だけでは
食物形態の不均一性(例えば、ペースト中に残る粒や
二相性の食物など)による嚥下リスクを十分に評価し
きれないという限界がある。実際、従来の嚥下食関連
製品開発は粘度に着目するものが多く、固形食の嚥下
しやすさに関与する要素
(弾性、
付着性、
ばらつきなど)
の評価手法は発展途上である。ペースト食は本来「均
質で塊のない状態」が安全上求められるが、その達成
には特別な調理設備と注意が必要であり、一部でも固
形物が残れば誤嚥の危険をはらむ。また、現在の評価
脳卒中生存者の栄養管理.6
29
法では食塊のまとまりや口腔内残留のしやすさといっ
た要因も定量化されておらず、粘度・硬さだけでは嚥
嚥下調整食の調理には、
食材のミキシングや裏ごし、
下の安全性を十分に担保できないとの指摘もある。つ
個別対応など通常食以上に手間と時間がかかる。とこ
まり、
「とろみ」と「硬さ」の二軸だけで嚥下食の安
ろが病院・施設の給食現場では慢性的な調理員不足
全性・適合性を評価する現状には限界があり、より精
が問題化しており、限られた人手で嚥下食を含む多様
密で包括的な評価指標の導入が課題となっている。
な食事形態に対応する負担が増大している。人材不足
により 1 人当たりの業務量が増えると、調理の丁寧
さや提供のタイミングに影響が出る恐れがある。嚥下
食は特に滑らかでダマのない仕上がりが求められるた
め、本来はミキサーや裏ごし器などの専用機器を用い
慎重に調理すべきだが、人手が足りない現場では均質
な調理が難しくなる場合もある。さらに、調理負担が
大きいほど現場スタッフの士気低下や離職にもつなが
りかねず、悪循環が懸念される。調理負担の軽減策が
乏しい現状は、人材不足と相まって嚥下調整食提供の
持続性を危うくしている。
・嚥下機能評価方法の限界
現在、嚥下調整食の分類や嚥下機能評価は主に食物
の粘稠度
(とろみの粘度)
と硬さ
(固形物のやわらかさ)
に基づいて行われている。例えば IDDSI や日本の学
会分類でも、
とろみの粘稠度や食品の固さ(圧縮強度)
で段階を定義している。しかし、この評価軸だけでは
食物形態の不均一性(例えば、ペースト中に残る粒や
二相性の食物など)による嚥下リスクを十分に評価し
きれないという限界がある。実際、従来の嚥下食関連
製品開発は粘度に着目するものが多く、固形食の嚥下
しやすさに関与する要素
(弾性、
付着性、
ばらつきなど)
の評価手法は発展途上である。ペースト食は本来「均
質で塊のない状態」が安全上求められるが、その達成
には特別な調理設備と注意が必要であり、一部でも固
形物が残れば誤嚥の危険をはらむ。また、現在の評価
脳卒中生存者の栄養管理.6
29