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外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言 (5 ページ)

公開元URL https://www.ncvc.go.jp/hospital/wp-content/uploads/sites/2/20250707_neurology_seisakuteigen.pdf
出典情報 「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」発表(7/7)《国立循環器病研究センター》
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1.脳卒中後遺障害の現状
1)脳卒中生存者(Stroke survivor)の増加
かつて我が国の死因の第 1 位は脳卒中であったが、

によると 2038 年には脳卒中生存者は現在の 2 倍に

近年の血栓溶解療法や血管内治療を代表とした急性

なると予測されている 1。別の報告でも大部分のヨー

期脳卒中診療の発展により、脳卒中の死亡率は著し

ロッパ諸国において、今後毎年 1%以上の脳卒中生存

く改善し、現在では Top 3からも抜け出した。その

者の増加が見込まれている 2。200 か国以上の疾患

一方で、超高齢化社会や食生活の欧米化に伴い、脳

ご と の 社 会 的 な 負 担[Disability-Adjusted Life

卒中の患者数は依然として増加しており、脳卒中の

Years(DALYs)
]を推定した大規模な研究において

既往を持つ者(脳卒中生存者)が急増している。厚

も、2022 年は虚血性心疾患、新生児疾患に次いで

生労働省の「患者調査」によると、2020 年(令和

脳卒中は第3位であったが、2050 年には脳卒中が

2 年)の脳血管疾患の患者数は 174.2 万人で、そ

虚血性心疾患に次いで第 2 位になることが予想され

の内訳は男性 94.1 万人、女性 80.1 万人となって

ており、脳卒中生存者のケアの改善が重要になる(図

いる。我が国と同じ先進国であるカナダからの報告

1)3。

図1

204か国におけるGlobal Disability-Adjusted Life Years ( DALYs)の主要な原因となる疾患

原疾患

2022年

原疾患

2050年

DALYsの変化
(%)の平均

全年齢DALY率の変化の平均(%) 年齢調整DALYの変化(%)
の平均

1 虚血性心疾患

1 虚血性心疾患

1.61 (-28.3 to 44.6)

-13.5 (-40.7 to 27.6)

-44.4 (-63.9 to -13.7)

2 新生児疾患

2 脳卒中

12.9 (-4.67 to 34)

-3.94 (-18.4 to 16)

-38.8 (-49.7 to -24.1)

3 脳卒中

3 糖尿病

97.5 (82.1 to 114)

68 (51.7 to 86.5)

22.4 (10-4 to 36.6)

4 下気道感染症

4 慢性閉塞性肺疾患

72.8 (39.6 to 113)

47 (19 to 86.1)

-13.8 (-34.6 to 15.6)

5 糖尿病

5 新生児疾患

-37.2 (-48.4 to -23)

-46.6 (-55.8 to -34.4)

-32.7 (-43.2 to -17.5)

6 慢性閉塞性肺疾患

6 その他筋骨格系疾患

109 (97.2 to 119)

77.5 (70.8 to 84.9)

54.8 (52.3 to 57.6)

7 COVID-19

7 腰背部痛

34.1 (28.1 to 40.4)

13.9 (10.3 to 18)

-5.23 (-5.58 to -4.9)

8 腰背部痛

8 アルツハイマー病

142 (106 to 173)

106 (80.6 to 129)

-2.91 (-4.6 to -1.47)

9 交通外傷

9 下気道感染症

-14.6 (-25 to -4.23)

-27.4 (-36.3 to -16.1)

-44.1 (-53.2 to -32.1)

10 下痢性疾患

10 慢性腎疾患

122 (71.7 to 183)

88.8 (43.8 to 151)

28.6 (-6.61 to 77.7)

11 先天性異常

11 難聴

66.7 (56 to 78.8)

41.7(33.4 to 50.1)

0.387 (-0.408 to 1.17)

12 マラリア

12 抑うつ

35.4 (28.9 to 41.6)

15.1 (11.8 to 18.9)

3.8 (3.02 to 4.51)

13 抑うつ

13 交通外傷

-1.47 (-34.3 to 50.4)

-16.1 (-44.8 to 31.3)

-18.7 (-48.2 to 30.6)

14 頭痛

14 肺癌

36.9 (3.35 to 74.6)

16.3 (-9.81 to 44.2)

-23.5 (-37.7 to -6.91)

15 肝硬変

15 転倒

45.1 (32.2 to 59.1)

23.3 (13.3 to 32.7)

-14.9 (-18.6 to -11.5)

16 肺癌

16 高血圧性心疾患

135 (78.8 to 203)

99.8 (49.4 to 167)

22.6 (-12.9 to 68.4)

17 その他筋骨格系疾患

17 肝硬変

27.3 (11 to 45.7)

8.27 (-6.41 to 27)

-12 (-24.5 to 4.22)

18 難聴

18 頭痛

19.8 (13.8 to 28.9)

1.84 (-1.1 to 8.87)

-0.299 (-0.866 to 0.375)

19 転倒

19 失明及び視力喪失

71.9 (57.2 to 87.2)

46.1 (34.5 to 56.6)

3.69 (1.76 to 5.39)

20 結核

20 下痢性疾患

-20.2 (-44.3 to 15.3)

-32.1 (-53.2 to -0.585)

-40.9 (-61.1 to -8.07)

感染性、母体、新生児、及び栄養に関する疾患

非感染性疾患

外傷

文献4の図4より改変

脳卒中後遺障害の現状.1
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