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外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言 (20 ページ)
出典
公開元URL | https://www.ncvc.go.jp/hospital/wp-content/uploads/sites/2/20250707_neurology_seisakuteigen.pdf |
出典情報 | 「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」発表(7/7)《国立循環器病研究センター》 |
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治療ガイドライン 2021[ 追補 2023] では、
「脳卒
るが、栄養剤の種類や投与量、増量のタイミングにつ
中発症後 7 日以上にわたって十分な経口摂取が困難
いては一定の見解がない。そのため、個々の医師の裁
な患者では、経腸栄養または中心静脈栄養を行うこと
量に委ねられることが多く、不適切な業務負担、イン
は妥当である(推奨度 B,エピデンスレベル中)」と
シデントにつながっている可能性がある。また、病院
記載されている。しかし、栄養の具体的な開始時期に
の規模や採用している経腸栄養の種類・病棟の体制に
ついては言及されていないという問題がある。脳卒中
よって異なるため、一貫した治療が行われていない現
発症に伴う侵襲的ストレスや嘔吐に伴い、容易に栄
状もある。以上の現状を踏まえ、国立循環器病研究セ
養障害をきたしやすく、加えて絶食や中心静脈栄養に
ンターが主導となり「脳卒中患者における早期経管
よって廃用性腸管萎縮による腸管機能低下や免疫機能
栄養開始プロトコル」が作成された(図)。これは急
の低下をきたすことが知られている。そのため早期の
性期脳卒中患者で入院時に経口摂取困難で、かつ経管
経腸栄養開始は、腸管機能および免疫機能が保たれ、
栄養開始可能と判断した症例で Stroke Care Unit
感染症発症の減少に寄与する 52,53。しかし、意識障
(SCU)に入室 48 時間以内での経腸栄養を開始でき
害を伴う脳卒中急性期には頭蓋内圧亢進や悪心嘔吐の
るようにしたプロトコルである。統一した経腸栄養の
症状、
病巣の拡大や脳浮腫の進行をきたしやすいため、
プロトコル導入により、インシデント・アクシデント
発症直後の栄養開始は敬遠されやすい現状がある。
や業務負担の減少が見込まれ、安全な経腸栄養の導入・
また、経腸栄養の実際の投与方法についても、一般
継続による発症早期からの十分な栄養カロリーの確保
的には「一日三回の間欠的投与で、1 回ごとの投与
が可能と考えられ、栄養状態が良好となり、ひいては
では少量の栄養剤を低速度で開始し、段階的に投与量
患者の予後につながることが想定される。
の増量と速度を上げていく」という考え方が主流であ
5.脳卒中後肺炎/嚥下障害の現状、課題、政策提言
20
「脳卒
るが、栄養剤の種類や投与量、増量のタイミングにつ
中発症後 7 日以上にわたって十分な経口摂取が困難
いては一定の見解がない。そのため、個々の医師の裁
な患者では、経腸栄養または中心静脈栄養を行うこと
量に委ねられることが多く、不適切な業務負担、イン
は妥当である(推奨度 B,エピデンスレベル中)」と
シデントにつながっている可能性がある。また、病院
記載されている。しかし、栄養の具体的な開始時期に
の規模や採用している経腸栄養の種類・病棟の体制に
ついては言及されていないという問題がある。脳卒中
よって異なるため、一貫した治療が行われていない現
発症に伴う侵襲的ストレスや嘔吐に伴い、容易に栄
状もある。以上の現状を踏まえ、国立循環器病研究セ
養障害をきたしやすく、加えて絶食や中心静脈栄養に
ンターが主導となり「脳卒中患者における早期経管
よって廃用性腸管萎縮による腸管機能低下や免疫機能
栄養開始プロトコル」が作成された(図)。これは急
の低下をきたすことが知られている。そのため早期の
性期脳卒中患者で入院時に経口摂取困難で、かつ経管
経腸栄養開始は、腸管機能および免疫機能が保たれ、
栄養開始可能と判断した症例で Stroke Care Unit
感染症発症の減少に寄与する 52,53。しかし、意識障
(SCU)に入室 48 時間以内での経腸栄養を開始でき
害を伴う脳卒中急性期には頭蓋内圧亢進や悪心嘔吐の
るようにしたプロトコルである。統一した経腸栄養の
症状、
病巣の拡大や脳浮腫の進行をきたしやすいため、
プロトコル導入により、インシデント・アクシデント
発症直後の栄養開始は敬遠されやすい現状がある。
や業務負担の減少が見込まれ、安全な経腸栄養の導入・
また、経腸栄養の実際の投与方法についても、一般
継続による発症早期からの十分な栄養カロリーの確保
的には「一日三回の間欠的投与で、1 回ごとの投与
が可能と考えられ、栄養状態が良好となり、ひいては
では少量の栄養剤を低速度で開始し、段階的に投与量
患者の予後につながることが想定される。
の増量と速度を上げていく」という考え方が主流であ
5.脳卒中後肺炎/嚥下障害の現状、課題、政策提言
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