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令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況(令和5年版 過労死等防止対策白書) (245 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf
出典情報 令和5年版 過労死等防止対策白書(10/13)《厚生労働省》
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コラム17 過労死遺児交流会のご報告
令和4(2022)年の過労死遺児交流会は、12 月 24、25 日に群馬県みなかみ町で行わ
れました。当日は大雪で、現地は白一色の素敵な景色でした。
保護者のグループミーティングの中で「父親が亡くなった原因や過労死のことを、や
っと子どもに伝えることができた」
という話がありました。
過労死は起こった時から様々
な付加的問題が発生します。子どもを育てている家族にとっては労災認定されるまでの
苦労はもちろん、認定されたとしても、父親のことを子どもに、いつ・どう伝えるか、
進路決定の時、仕事選びの時など、過労死の影響を考え心配が尽きません。そんな中で


いくと思います。

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この交流会に参加し、同じ体験をした人の話を聞くことは、将来の見通しにつながって
参加した遺児たちが成人した遺児の話を聞き、自分のことを話す、という取組もあり



くことは、他の遺児たちにとって、自分自身について改めて考える機会にもなります。

過労死等の防止のための対策の実施状況

ました。家族の過労死を体験した遺児がどのようにそれを乗り越えて生きてきたかを聞




今年はこの交流会の開催中に、遺児も希望すれば相談を受けられることになりました。
自分が大人になるまで守ってくれるはずだった親の過労死という体験をしている遺児た




















ちには「死」が身近なものとして存在します。将来働くことが「死」に結びつくと考え
る遺児もいます。このような遺児たちは、悩んだときに相談する選択肢をたくさん持っ
ていた方が支援の手が届きやすくなります。交流会時ではなくても、オンラインで相談
できる取組も厚生労働省主催で行われています。ようやく過労死遺児たちに支援の手が
差し伸べられるようになってきました。これらを利用して家族の過労死によって受けた
心のダメージを回復し、将来、前向きに職業選択を行えるようになってほしいと願って
います。
交流会では、年下の男の子たちが、年上の遺児に
お風呂に入れてもらい大はしゃぎしていました。こ
こでは以前自分がしてもらったことを、自然に年下
の遺児にしてあげている光景がみられます。2日目
は、雪が降る中、遺児たちは張り切ってスキー場行
きのバスに乗り込んでいきました。また、いちご狩
り・クラフトチームも集中して作品を作り充実した時を過ごしまし
た。遺児にとっての「遊び」は肉体面、精神面での健康を増進させ、
コミュニケーションを促進し、社会的な関係を築く力を作ります。
特にここに参加する遺児たちは同じ体験をしているので、親が亡く
なったという負い目を感じることなく振舞うことができます。
夕食後のビンゴ大会では、クリスマスということでサンタクロー
スも登場しました。遺児たちは「来てよかった、次の機会を楽しみ
にしています」という言葉を残してそれぞれ帰路につきました。
(全国過労死を考える家族の会 遺児交流会世話人 渡辺しのぶ)
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