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母子保健検討委員会答申 (12 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/012754.html
出典情報 日本医師会 定例記者会見(5/20)《日本医師会》
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(DV)
、経済的困難、未婚やパートナーからのサポート不足などは、周産期
うつ病のリスク要因として国内外で繰り返し指摘されている。これらは医療
だけでは対応しきれない、生活・家族・経済・暴力といった社会的要素を含
む問題である。そのため、妊産婦健診の段階から、医療機関と自治体(こど
も家庭センター等)、精神科医療、地域の福祉・保健資源が多職種で連携
し、必要に応じて速やかに支援へ橋渡しすることが不可欠となる。妊娠期か
ら産後ケアに至るまでの「切れ目のない支援」は、この「医療だけでは完結
しない領域」を正面から扱う仕組みとして意味を持つ。
近年、出生数は減少を続け、2024 年の出生数は 68 万 6,061 人と統計開始
以来初めて 70 万人を下回り、合計特殊出生率も 1.15 と過去最低を更新し、
少子化の深刻さが改めて浮き彫りとなった。一方で、児童相談所における児
童虐待相談対応件数は 22 万 5,509 件と過去最多となり、減少する出生数と
は対照的に、育児期のリスクはむしろ高まっている。このことは、産後の母
親・家庭が孤立しやすく、その孤立が児への不適切養育や虐待リスクの上昇
と結びついている可能性を示唆する。したがって、妊産婦健診から産後ケア
につながる「支援の導線」を地域の標準として定着させることは、個別の母
子の安全確保だけではなく、地域社会全体における虐待予防策としても不可
欠である。
産後1か月を境に、医療の主たる窓口は産科から小児科へ移る。これは受
診対象が「母親の身体と心」から「こどもの成長・発達」へ移行するという
意味において必然であるが、その移行はしばしば「母親が支援の射程から外
れる瞬間」でもある。小児科医は本来、こどもの健康と発達を支える専門職
であるが、同時に、現代の育児環境において孤立しがちな母親・家庭の状況
を把握し、必要に応じて支援につなぐ視点が求められるようになっている。
この「産科→小児科→自治体」の橋渡しを妊娠期から前倒しで行う仕組み
が、いわゆるペリネイタル・ビジット(Perinatal Visit:PV)である。ペ
リネイタル・ビジットは、妊娠中の段階で産科医療機関から小児科へ妊婦を
紹介し、妊婦本人が出産前から小児科医と面談し、育児の具体像や予防接種
スケジュール、夜間の泣き対応、発熱時の受診目安などを確認する機会を確

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