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提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (18 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

食道アカラシアに対する内視鏡下筋層切開術500例の報告では、術中に被覆粘膜損傷を生じ入院期間の延長等、保存的あるい
は緊急加療が必要となった症例は1.6%と報告されている。(文献1)
胃内視鏡的粘膜下層剥離術後8,921例のメタ解析によると、抗血栓薬服用継続群の後出血率は23.4%で、非内服群4.2%よりも大
幅に高率であった。一方、抗血栓薬服用を継続下に胃内視鏡的粘膜下層剥離術を実施した後、外科糸を用いた内視鏡的手縫い
縫合にて創部を閉鎖した20例の経験では、後出血率は0%であったと報告されている。(文献2)10821例の多施設検討によれ
ば、胃内視鏡的粘膜下層剥離術後の穿孔率は2.3%と報告されている(Digestive Endoscopy 2019; 31: 30–39)。
十二指腸における内視鏡的切除例438例を対象としたメタ解析では、創部の閉鎖を行わないと21.1%で重篤な偶発症を生じてい
た。しかし、創閉鎖を行うと、その発生リスクを80%以上(リスク比 0.19 [95%CI, 0.10-0.38; P <0.01])減少させることが
できたと報告されている(文献3)。167例の多施設検討によれば、十二指腸内視鏡的粘膜下層剥離術後の穿孔率は25%と報告
されている(小野ら、胃と腸46, 1669‒1677,2011)。一度、十二指腸内視鏡治療後の偶発症が発生すると膵頭十二指腸切除
などの非常に高侵襲な処置を要し、致命的な状態ともなり得る。そこで、十二指腸癌診療ガイドライン2021年版では、十二指
腸内視鏡治療後は、創部の完全閉鎖を行うことを推奨している(文献4)。
大腸内視鏡的粘膜下層剥離術については、国内ハイボリュームセンターが参加した多施設研究において、1,814例の結果を
解析したところ後出血率と穿孔率は、各2.6%及び2.9%と報告されている。また、緊急手術も0.5%の症例で実施されてい
た。ハイボリュームセンターの結果であることを考慮すると、一般的な偶発症の発生リスクはさらに高いと考えられる。
2,062例の結果を解析した後ろ向き多施設検討では、DOAC使用例で20mm以上の病変を切除した場合、33.3%の症例で後出血
を認め、緊急止血術が実施されていた。一方、Nomura T.らは大腸内視鏡的粘膜下層剥離術後に、新規閉鎖法にて粘膜欠損部
を完全閉鎖することで、いずれの遅発性偶発症も予防し得た(0/30)と報告している(文献5)。

1b
ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

※患者数及び実施回数の推定根拠等

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体制
・施設基準
(技術の専門性 等)
等を踏まえ、必 人的配置の要件
要と考えられる (医師、看護師等の職種や人数、専門性
要件を、項目毎 や経験年数等)
に記載するこ
その他
と)
(遵守すべきガイドライン等その他の要
件)

十二指腸癌診療ガイドライン2021年度版、日本消化器内視鏡学会学
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載する。) 会、当該治療ガイドラインにおいて、創部の被覆を含めた偶発症の
予防を行うことを弱く推奨する。
4,500
令和2年度社会医療診療行為別統計によると、K530-3内視鏡下筋層切開術の実施例は621件であり、創閉鎖が必要なのは約10
例、早期K653 3悪性腫瘍十二指腸粘膜下層剥離術は422例、早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術は45,520例でそのうちハイリスク
症例は、2,685例、K721-4早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術は24,995件であり、偶発症ハイリスク患者は2,499例と推察される
ため、対象は5,616例と推察される。また、そのうち、実際に完全閉鎖が実施されるのは8割程度と見積ると推定実施回数は約
4,500例程度である。
当該技術は外保連試案に掲載されており(試案コード:E15-5M01350、E15-5M03050、E15-5M04150、E15-5M10950)、技術度区
分はCである。実施に当たっては、当該領域の内視鏡的粘膜下層剝離術に習熟した医師が行うことが望ましい。
・胃や食道または大腸の早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術症例が年間20例以上の実施経験があること。
・内科、外科、消化器内科、消化器外科、内視鏡内科又は内視鏡外科を標榜していること。
・当該保険医療機関において、消化管内視鏡手術について5年以上の経験を有する常勤の医師が配置されていること。
・緊急手術が可能な体制を有していること。
当該技術の適応の判断及び実施に当たっては、日本消化器内視鏡学会の十二指腸癌診療ガイドライン、POEM診療ガイドライ
ン、胃癌に対するESD/EMRガイドライン、大腸 ESD/EMR ガイドラインを参考にすること。

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

周囲臓器損傷、狭窄、粘膜損傷、出血、穿孔、予期せぬ異物残存の偶発症が起こる可能性があるが、その頻度は極めてまれで
ある。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし


妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)

⑩希望する診療
報酬上の取扱い
その根拠

関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

区分

30,000
創閉鎖には、様々な医療機器が用いられており、主に以下の方法がある。①吸収性有棘縫合糸(¥5,670)を使用する場合、ディ
スポーザブル持針器(¥123,000)、ディスポーザブルループカッター(¥15,000)、オーバーチューブ(¥10,000)が必要とな
る。②再把持可能な止血用クリップ(シュアクリップ)を用いて欠損部を閉鎖する場合、単価が3,500円/個の止血クリップを
10-30個使用するため、¥35,000-105,000, が必要となる。さらに追加でディスポーザブル結紮装置(留置スネア、¥6,000)を
2-3個、使用することがあり、総額で¥123,000かかる。③単回使用自動縫合器を用いた場合、1針で¥100,000、2針で¥140,000
が必要となる。10mm間隔で1針使用するとして欠損部を閉鎖するには3-5針必要であるため、10万円+追加の1-4針分(4-16万
円)=14-26万円が必要で、使用にはオーバーチューブを用いるため、1万円が追加される。④体内用結さつクリップ(OTSCシ
ステム、¥79,800)を使用する場合、2-3個が必要となり、処置の際に用いる自然開口向け単回使用内視鏡用非能動処置具
(OTSCツイングラスパー、¥92,000)と合わせて¥251,600-331,400が必要である。以上の処置には手技時間30-60分を要し、内
視鏡医に加えて必ず介助者が必要である。

その他(右欄に記載する。)

番号
技術名
具体的な内容

2020

なし