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提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (110 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

令和2年4月に、処置料算定(J001-10 静脈圧迫処置)および療養費支給について新設された。以下、今回に関する部分を抜粋。
■処置料 200点
(1)初回の処置を行った場合は、静脈圧迫処置初回加算として、初回に限り150点を所定点数に加算する。
(2)静脈圧迫処置は、慢性静脈不全による難治性潰瘍の患者であって、次のいずれにも該当する場合に、月に1回に限り、3月を限度として算定する。ただ
し、初回の潰瘍の大きさが100cm2 を超える場合は6月を限度として算定する。
ア2週間以上持続し、他の治療法によっては治癒又は改善しない下肢の難治性潰瘍を有する患者である場合。
イ次のいずれかの方法により、慢性静脈不全と診断された患者であって、それ以外の原因が否定されている場合。
① 下肢静脈超音波検査により、表在静脈において0.5 秒、深部静脈において1秒を超える逆流所見が認められる場合
又は深部静脈 において有意な閉塞所見が認められる場合
② 動脈性静脈性混合性潰瘍が疑われる場合であって、足関節上腕血圧比(ABI)検査0.5 以上の場合
(3)静脈圧迫処置は、専任の医師が直接行うもの又は専任の医師の指導の下、専任の看護師が行うものについて算定する。
なお、当該医師又は看護師は、関連学会が主催する所定の研修会を受講していること。
■施設基準
・血管外科、心臓血管外科、皮膚科、形成外科又は循環器内科を専ら担当する専任の常勤医師1名以上及び専任の常勤看護師1名以上が勤務していること。
・ 静脈疾患に係る3年以上の経験を有しており、所定の研修を修了した専任の常勤医師が1名以上配置していること。
■療養費支給
・「慢性静脈不全による難治性潰瘍治療のための弾性着衣等に係る療養費の支給について」(令和2年3月27日付け保発0327第5号)に掲載
・医師の指示に基づき販売店等で購入される当該患者の弾性着衣等について療養費の支給対象とする。弾性着衣等は1回に限り療養費の支給対象とする。ただ
し患者の疾患が治癒した後、再発した場合は再度支給して差し支えない。なお1度に購入する弾性着衣等は洗い替えを考慮し、装着部位毎に2着(弾性包帯の場
合は2巻)を限度とする(パンティストッキングタイプの弾性ストッキングについては、両下肢で1着となることから、両下肢に必要な場合であっても2着を限度
とする。)。
・療養費として支給する額は、弾性ストッキングについては1着あたり28,000円(片足用の場合は25,000 円)を上限とし、また、弾性包帯(筒状包帯、パッ
ティング包帯、粘着テープ等を含む。)については1巻あたり14,000円を上限とし、弾性着衣等の購入に要した費用の範囲内とすること。



診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

J001-10

医療技術名

静脈圧迫処置(慢性静脈不全に対するもの)

慢性静脈不全による静脈性下肢潰瘍に対する圧迫療法において、より高い圧が低圧よりも効果的であり、目標の圧迫圧は40㎜Hg以上が目安とされている。一方
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 で高い圧迫圧では疼痛や不快感が強く、装着困難な患者も多く、アドヒアランスが下がってしまう可能性も高いので初期は低圧から開始することも多い。実際
は、潰瘍治療の初期には、包帯交換の利便性もあり弾性包帯が使用されることが多く、患者のアドヒアランスを考慮しながら、弾性包帯や弾性ストッキングな
後等のアウトカム
どを使い分けて潰瘍治療を行うことが必要である。

2)

■日本静脈学会 慢性静脈不全症による静脈性下肢潰瘍の診断・治療指針 (2020年)
治療の基本となる圧迫療法について、初期には弾性包帯、維持期には弾性ストッキングの使用が多いこ
と、ただし患者の状態、特にアドヒアランスを重視して選択すること等記載

③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

■日本静脈学会 弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター養成委員会3)
新弾性ストッキング・コンダクター第2版増補版(2020年)が学会が提供する所定研修内容。従来まで
の内容に加えて慢性静脈不全症による静脈性下肢潰瘍の章を追記
4)

■日本フットケア足病医学会「重症化予防のための足病診療ガイドライン」 (新)
CQ「慢性静脈不全症による静脈性潰瘍の治療に圧迫療法は有用か?」に対して、第一選択の治療とし
て圧迫療法を推奨する(1A)

慢性静脈不全による下腿潰瘍など皮膚疾患はCEAP分類にてカテゴリー定義(CEAP 6)されている。
患者調査(令和2年10月)を基に静脈性潰瘍に類する患者数を推計した。
(1)「L830潰瘍を伴う下肢静脈瘤」の患者数
:<1,000(人/月)
(2)「L97下肢の潰瘍、他に分類されないもの」の患者数: 21,000(人/月)
※L97下肢の潰瘍、他に分類されないもの:21,000(人/月)の内、静脈性潰瘍と推定されるもの50%とする。
(欧米では下腿潰瘍の80~90%が静脈還流障害との報告あり)
(3)静脈性潰瘍に類する患者数 :11,500(人/月)
(1)+(2)×50%
(4)適切な圧迫療法を受けている患者:1,950(人/月) (=(1)×90%+(2)×50%×10%
※(1)では実態調査を参考に90%、(2)不明だが静脈性潰瘍と想定患者では10%程度と推計。
(5)適切に圧迫療法を受けていない患者:9,550(人/月) (=(3)-(4))
④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

【年間患者の推計】
A:適切に圧迫療法を受けている患者数: 7,800(人)<3ヶ月程度で治癒、 (4)×4倍 自験例より>
B:圧迫療法を受けていない患者数
: 9,550(人)<難治性で12ヶ月通院、(5)×1倍 自験例より>
年間合計 A+B
:17,350(人)
【症例数】見直し前も見直し後も、対象患者数は同等
【年間実施回数】圧迫療法の処置回数:12回(3ヶ月×4回)とする
A:適切な患者 : 93,600回 → 93,600回 <7,800人×12回>
B:不適切な患者:
0回 → 114,600回 <9,550人×12回>
総回数(A+B)

年間対象者数の
変化

見直し前の症例数(人)

17,350

見直し後の症例数(人)

17,350

年間実施回数の
変化等

見直し前の回数(回)

93,600

見直し後の回数(回)

208,200

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

: 93,600回



208,200回

静脈性の下肢潰瘍治療に対する圧迫療法には既知の有効性エビデンスあり。圧迫ありと圧迫なしによる無作為試験は7件報告あり、良好な結果を得ており高い
エビデンスがある。また複数の学会にてガイドラインや治療指針が作成されている。
その圧迫療法について、合併症なく十分な効果を得るために弾性包帯・弾性着衣の正しい使用法を熟知し、患者からの問合せに対応できる医療従事者を養成す
るために、日本静脈学会の弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター養成委員会が講習会を主催している。その講習会を経て認定資格を有した医療従事者が対
応することで診療報酬を得られることになっている。(すでに440施設で届出済み:日本静脈学会調べ)

■標榜科の追加要望(外科、整形外科の追加を要望)
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 現在:「 血管外科、心臓血管外科、皮膚科、形成外科、又は循環器内科」
要望:「 血管外科、心臓血管外科、皮膚科、形成外科、循環器内科、外科、又は整形外科」
制等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

■看護師の要件見直し(常勤や専任の削除)
現在:前述の診療科の、専ら担当する専任の常勤医師1名以上及び専任の常勤看護師1名以上が勤務していること。
人的配置の要件
要望:前述の診療科の、専ら担当する専任の常勤医師1名以上が勤務していること。
(医師、看護師等の職種や人数、専門 ■※算定要件
性や経験年数等)
現在:静脈圧迫処置は、専任の医師が直接行うもの又は専任の医師の指導の下、専任の看護師が行うものについて算定する。
要望:静脈圧迫処置は、専任の医師が直接行うもの又は専任の医師の指導の下、所定の研修を修了した看護師が行うものについて算定する。
・日本静脈学会 慢性静脈不全症による静脈性下肢潰瘍の診断・治療指針(2020年11月)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の ・「新 弾性ストッキング・コンダクター(第2版 増補版)」(静脈疾患・リンパ浮腫における圧迫療法の基礎と臨床応用)
・日本フットケア足病医学会「重症化予防のための足病診療ガイドライン」(2022年9月)
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

特に問題はない。
しかし動脈血流障害のある患者には圧迫療法は更なる圧迫圧に対する注意が必要で管理に注意を要する。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

特に問題はない。

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