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参考資料5_薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版) (17 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00004.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第1回 7/19)《文部科学省》
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本大項目で修得した成果を、引き続き大学で「F-1 薬物治療の実践」に掲げられた薬物治
療の個別最適化の学修を通して、実りある実務実習につなげることを目的とするため、「F
臨床薬学」で扱う薬物治療の個別最適化、患者ごとに異なる状況に十分に配慮した上で薬物
治療を選択、実施、評価する内容については、本大項目では触れていない。
○平成25年度改訂版との相違点、改訂の意図
今回の改訂では、[薬物治療の実践的能力]を培うことを最大の目的とし、薬物治療とい
う用語を、平成25年度改訂版に示された「疾患に適応する薬物の選択」という一般的な疾患
に依存した概念から、「疾患の薬物治療(「D 医療薬学」)」と「患者個々の薬物治療(「F
臨床薬学」)」という2つの概念に分割し、薬物治療の実践に最も重要な患者個々の状況に対
応した薬物治療について、「F 臨床薬学」で学修することを主眼とした。そのため、「D 医
療薬学」では「F 臨床薬学」の患者個々の薬物治療を実践するための基本となる標準的、一
般的な薬物治療に関する知識や技能を学修し、「F 臨床薬学」につなげる。
具体的な学修内容としては、「F 臨床薬学」における個別化した薬物治療に使うための学
力を身に付けるため、従来の薬理学と病態学の連携を強め、生体の恒常性維持と病態との関
連性、病態の発症メカニズムと医薬品の作用メカニズムの関連性を明確に示した。さらに、
有害反応(副作用)の発現を医薬品の作用メカニズムと関連付けて考えることにより、薬剤師
に求められる副作用への対応が考慮できるように充実を図った。
一方、患者個々の薬物治療を行う際、有効性と安全性の適切な評価を実践できるように、
医薬品情報、患者情報の重要性と必要性を強調し、これらを病態と組み合わせることによっ
て、責任をもって処方の妥当性を評価するための基本的な学力を培うことを明確に示した。
薬物動態に関しては、患者個別の事例に対応する前段階として、薬物相互作用等の基本原
理をしっかりと身に付け、薬剤師として処方の妥当性の評価のみならず、薬効評価、副作用
の発見等に結び付ける総合的な学力を培うことを意図した。薬剤師の重要な責務である患者
個々の状態によって適正な剤型の提案や剤形の加工について、製剤の性質の基本を理解した
上で実施するという観点を強調した。平成25年度改訂版では「F 薬学臨床」で事前学習とし
てのみ取り上げられていた「調剤」を体系的に学修するため、処方箋に基づいた調剤につい
て、基本的に知っておかなければならない内容を本大項目に新たに組み入れた。
○内容の構成
「D 医療薬学」は、D-1からD-6までの6つの中項目から構成されている。
「D-1 薬物の作用と生体の変化」では、まず初めに薬理作用の基本、症状の基本と共に、
医薬品の安全使用の重要性を理解することを目的に設定した。「D-2 薬物治療につながる薬
理・病態」では、疾患の発症メカニズムと病態、更に医薬品の作用メカニズムと副作用を関
連付けて学修することで、Fの個別最適化した薬物治療を考案する能力につなげることを念
頭において設定した。「D-3 医療における意思決定に必要な医薬品情報」で学修する医薬品
情報と患者情報は、薬物治療の妥当性を判断する際に基本となる概念である。「D-4 薬の生
体内運命」は、患者個々の薬物動態の基本理論を身に付け、個別最適化を実現するうえでの
根拠とする。「D-5 製剤化のサイエンス」は、医薬品の製剤的特徴の基本を十分に把握し、
患者の状態に応じて求められる剤形変更や加工を行う際の基本を学修する。処方箋は個人に
交付されるものであるが、「D-6 個別最適化の基本となる調剤」では、処方箋の役割、薬剤
師として行う調剤の概念と基本を学修する。これら6つの中項目を学んだ上で、Fの個別最適
化した薬物治療につなげる。
○「A 薬剤師として求められる基本的な資質・能力」とのつながり
本大項目Dの全ての中項目の学修は、[薬物治療の実践的能力]の基本となり、[科学的
探究]、[専門知識に基づいた問題解決能力]、[情報・科学技術を活かす能力]、[プロ
フェッショナリズム]、[生涯にわたって共に学ぶ姿勢]につながる。
○評価の指針の作成方針
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