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03資料1-1森野委員提出資料(高齢者に対するインフルエンザワクチンファクトシート) (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》
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1. インフルエンザの基本的知見
(1)疾患の特性


臨床症状
ヒトに関連するインフルエンザウイルス(Influenza virus)には A 型、B 型、C 型がある 1,2。A 型、B 型

は季節性を持って世界的に流行するが、C 型は症状が軽微で季節性が明確ではない 2,3。
感染を起こすと1日〜2日の潜伏期期間の後、最初に悪寒戦慄を伴う発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、食
欲不振などの全身症状が出現し、3 日間ほど持続する 1,2。他疾患との鑑別は症状だけでは困難であるが、
咳嗽を伴う突然の高熱は特徴的といえる 4。主な症状である呼吸器症状としては、乾性咳嗽や強い咽頭痛、
鼻閉・鼻汁、嗄声などが出現し、解熱後も数日持続する 2。高齢者の場合、特徴的な呼吸器症状を呈さず、
高熱、倦怠感、意識障害のみを示す場合もある 1,2,4,5。
1)合併症
インフルエンザに関連して合併症などにより重症化し、入院を要するリスクが高いのは、5 歳未満や 50
歳以上、妊婦(特に妊娠後期)、肥満、免疫不全者、および基礎疾患(心疾患、肺疾患、腎疾患、肝疾患、
認知機能障害、糖尿病など)を有するものである 1,3,4,6。
呼吸器疾患の合併症としては、ウイルスそのものによる肺炎や、二次的な細菌性肺炎を起こす 1。イン
フルエンザそのものによる症状が改善して1日〜4日後から咳嗽や喀痰が増加し、ときに胸痛を伴い肺
炎を呈する場合がある。その他にも慢性気管支炎や喘息の増悪、クループや細気管支炎(主に小児)、中耳
炎や副鼻腔炎も起こしうる 1,4。
呼吸器以外の合併症としては、筋炎や横紋筋融解症、心疾患(心筋梗塞、心外膜炎など)、細菌感染に関
連したトキシックショック症候群、ギラン・バレ症候群や髄膜炎、脳炎・脳症、脊髄炎、そしてライ症候
群をきたすことがある 1,2,4,5。
2)高齢者における後遺症
高齢者にとってインフルエンザ罹患後の回復には時間を要し、日常生活動作(ADL)の低下やフレイル
(frailty; 心身の衰えや虚弱)との関連が指摘されている 5,7。合併症のない成人のインフルエンザであれば
3 日程度で症状は改善するが、高齢者の場合は完全に回復するには 10 日〜14 日要することもある 4。カ
ナダにおける 65 歳以上の成人に対する調査では、インフルエンザ罹患後に 40%が回復に2週間以上を
要し、3%は完全には回復しなかった 8。


感染経路
感染経路としてはエアロゾル、飛沫、接触の3つが挙げられるが、それぞれの重要性については意見が

分かれている 2,3。感染者がくしゃみや咳をすると直径 0.1μm〜100μm の感染性粒子が排出され、これ
らが吸入により気道に入ると感染を起こす 3。一方、大型の飛沫粒子は 2m〜3m 以内の距離で落下して
物体表面に付着し、感染性を一定時間維持する(48 時間程度)2,3。さらにもっと小さな粒子(エアロゾルと
呼ばれる)は空気中を漂い、より遠くに離れた曝露者にも感染を起こす。特にアウトブレイクを起こして
いる医療施設・介護施設や家庭内環境、航空機内での感染伝播に関与している可能性が指摘されている
。なお、家庭内環境では手指衛生とマスク着用が感染伝播を防ぐ効果を示した研究があり、ここでは飛

2,3

沫感染が感染経路の中心と考えられる 2,9。

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