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03資料1-1森野委員提出資料(高齢者に対するインフルエンザワクチンファクトシート) (23 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》 |
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rVE の最も高かったシーズンと最も低かったシーズンを示した
また、インフルエンザ関連入院においても同様の傾向が確認された。以上から、HD-IIV の相対的有効
性は年齢とともに上昇する傾向があり、特に高齢者において SD-IIV よりも高い予防効果を示した 61。
DiazGranados らは、前年に接種したインフルエンザワクチンが、翌年に接種する HD-IIV の有効性お
よび免疫原性にどのような影響を与えるかについて、アメリカおよびカナダの 126 施設における 65 歳以
上の高齢者を対象に2シーズンにわたる二重盲検ランダム化試験(NCT01427309)を実施して検討した。
結果、1 年目(Y1)および 2 年目(Y2)の両年にワクチン接種を受けた 7,643 人において、Y1・Y2 ともに
SD-IIV を接種した群と比較して、Y1 に接種したワクチンの種類にかかわらず、Y2 に HD-IIV を接種し
た群ではいずれのウイルス株のインフルエンザ検査陽性における rVE(vs Y1・Y2 ともに SD-IIV 接種群)
が高く、rVE は 28.3% [95%CI: 1.0%–47.8%]であった。多変量ロジスティック回帰モデルでは、Y1 のワ
クチン接種歴は Y2 の VE に有意な影響を与えず(P 値= 0.43)、Y2 における HD-IIV 接種はインフルエ
ンザリスクの低下と有意に関連していた(P 値= 0.043)。また、Y2 に HD-IIV を含む接種パターンでは、
SD-IIV を 2 年連続で接種した群と比較して、接種後の HI 抗体価が有意に高かった。このことから、HDIIV は、前年に接種したワクチンの種類に関わらず、一貫して 2 年目の VE および免疫原性が SD-IIV よ
りも優れていることが示された 62。
Christensen らは、65 歳〜79 歳のデンマーク市民を対象に心血管疾患(CVD)の有無が HD-IIV4 と SDIIV4 の相対的有効性に影響を与えるかどうかについて、2021/22 年のインフルエンザシーズンに実施さ
れたオープンラベルのランダム化試験において評価した。研究対象者は 12,477 人(平均年齢 71.7±3.9 歳、
女性 47.1%)で、そのうち 2,540 人(20.4%)が慢性 CVD を有していた。HD-IIV4 は SD-IIV4 と比較して、
肺炎またはインフルエンザによる入院の発生率および全死亡率が低く、慢性 CVD の有無にかかわらず有
効性が認められた。一方、全原因による入院に対する rVE は慢性 CVD の有無によって修飾されていた
(表 11)。
表 11. 65 歳~79 歳の成人における罹患率比(HD-IIV4 vs SD-IIV4)への慢性 CVD の罹患有無の影響
交互作用
アウトカム
慢性CVDなし
慢性CVDあり
全体
肺炎/インフルエンザによる入院
0.26 (95% CI: 0.11–0.64)
0.44 (95% CI: 0.10–1.93)
0.30 (95% CI: 0.14–0.64)
0.57
全死亡率
0.58 (95% CI: 0.31–1.08)
0.38 (95% CI: 0.14–1.06)
0.51 (95% CI: 0.30–0.86)
0.49
全原因による入院
0.79 (95% CI: 0.67–0.92)
1.11 (95% CI: 0.88–1.39)
0.87 (95% CI: 0.76–0.99)
0.026
p値
*有意差なし
以上のように、HD-IIV4 は、全原因による入院に対しては慢性 CVD なしで有効性を示したが、肺炎
またはインフルエンザによる入院および全死亡率に対しては、慢性 CVD の有無にかかわらず、一貫した
予防効果を示した 63。
Chaves らはインフルエンザにブレイクスルー感染したワクチン接種済みの高齢者において、HD-IIV4
がインフルエンザの重症度を軽減するかどうかについて評価を行った。本研究は 2016/17 シーズン、
2017/18 シーズン、2018/19 シーズンのインフルエンザシーズンにおける 65 歳以上の成人を対象とした
後ろ向きコホート研究であり、インフルエンザに感染した高齢者のうち、HD-IIV 接種者(15,037 人)また
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また、インフルエンザ関連入院においても同様の傾向が確認された。以上から、HD-IIV の相対的有効
性は年齢とともに上昇する傾向があり、特に高齢者において SD-IIV よりも高い予防効果を示した 61。
DiazGranados らは、前年に接種したインフルエンザワクチンが、翌年に接種する HD-IIV の有効性お
よび免疫原性にどのような影響を与えるかについて、アメリカおよびカナダの 126 施設における 65 歳以
上の高齢者を対象に2シーズンにわたる二重盲検ランダム化試験(NCT01427309)を実施して検討した。
結果、1 年目(Y1)および 2 年目(Y2)の両年にワクチン接種を受けた 7,643 人において、Y1・Y2 ともに
SD-IIV を接種した群と比較して、Y1 に接種したワクチンの種類にかかわらず、Y2 に HD-IIV を接種し
た群ではいずれのウイルス株のインフルエンザ検査陽性における rVE(vs Y1・Y2 ともに SD-IIV 接種群)
が高く、rVE は 28.3% [95%CI: 1.0%–47.8%]であった。多変量ロジスティック回帰モデルでは、Y1 のワ
クチン接種歴は Y2 の VE に有意な影響を与えず(P 値= 0.43)、Y2 における HD-IIV 接種はインフルエ
ンザリスクの低下と有意に関連していた(P 値= 0.043)。また、Y2 に HD-IIV を含む接種パターンでは、
SD-IIV を 2 年連続で接種した群と比較して、接種後の HI 抗体価が有意に高かった。このことから、HDIIV は、前年に接種したワクチンの種類に関わらず、一貫して 2 年目の VE および免疫原性が SD-IIV よ
りも優れていることが示された 62。
Christensen らは、65 歳〜79 歳のデンマーク市民を対象に心血管疾患(CVD)の有無が HD-IIV4 と SDIIV4 の相対的有効性に影響を与えるかどうかについて、2021/22 年のインフルエンザシーズンに実施さ
れたオープンラベルのランダム化試験において評価した。研究対象者は 12,477 人(平均年齢 71.7±3.9 歳、
女性 47.1%)で、そのうち 2,540 人(20.4%)が慢性 CVD を有していた。HD-IIV4 は SD-IIV4 と比較して、
肺炎またはインフルエンザによる入院の発生率および全死亡率が低く、慢性 CVD の有無にかかわらず有
効性が認められた。一方、全原因による入院に対する rVE は慢性 CVD の有無によって修飾されていた
(表 11)。
表 11. 65 歳~79 歳の成人における罹患率比(HD-IIV4 vs SD-IIV4)への慢性 CVD の罹患有無の影響
交互作用
アウトカム
慢性CVDなし
慢性CVDあり
全体
肺炎/インフルエンザによる入院
0.26 (95% CI: 0.11–0.64)
0.44 (95% CI: 0.10–1.93)
0.30 (95% CI: 0.14–0.64)
0.57
全死亡率
0.58 (95% CI: 0.31–1.08)
0.38 (95% CI: 0.14–1.06)
0.51 (95% CI: 0.30–0.86)
0.49
全原因による入院
0.79 (95% CI: 0.67–0.92)
1.11 (95% CI: 0.88–1.39)
0.87 (95% CI: 0.76–0.99)
0.026
p値
*有意差なし
以上のように、HD-IIV4 は、全原因による入院に対しては慢性 CVD なしで有効性を示したが、肺炎
またはインフルエンザによる入院および全死亡率に対しては、慢性 CVD の有無にかかわらず、一貫した
予防効果を示した 63。
Chaves らはインフルエンザにブレイクスルー感染したワクチン接種済みの高齢者において、HD-IIV4
がインフルエンザの重症度を軽減するかどうかについて評価を行った。本研究は 2016/17 シーズン、
2017/18 シーズン、2018/19 シーズンのインフルエンザシーズンにおける 65 歳以上の成人を対象とした
後ろ向きコホート研究であり、インフルエンザに感染した高齢者のうち、HD-IIV 接種者(15,037 人)また
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