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03資料1-1森野委員提出資料(高齢者に対するインフルエンザワクチンファクトシート) (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》 |
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要 約
疾患の特性
インフルエンザは A 型・B 型が季節性流行を引き起こし、1 日〜2 日の潜伏期の後に高熱、悪寒、筋肉
痛、咳嗽などの症状が出現する。高齢者では典型的な呼吸器症状を欠き、発熱や倦怠感、意識障害のみを
呈する場合がある。ウイルス性肺炎や細菌性肺炎をはじめ、心疾患、脳炎、ギラン・バレ症候群、筋炎な
ど多様な合併症を引き起こしうる。高齢者では回復に 10 日〜14 日を要し、ADL 低下やフレイルとの関
連も指摘される。感染経路は飛沫、接触、エアロゾルがあり、家庭や施設、航空機内での伝播の原因とな
っている。抗ウイルス薬は感染早期に投与することで症状早期緩和や重症化予防に一定の効果があり、65
歳以上や基礎疾患を有する者には使用が推奨される。他の呼吸器ウイルスとの鑑別も必要である。
ウイルスの特徴
インフルエンザウイルスは A 型,B 型,C 型および D 型に分類されるが、毎冬ヒトの間で流行してい
るウイルスは季節性インフルエンザウイルスと呼ばれ、A 型では H1(H1pdm09)および H3 亜型、B 型で
はビクトリア系統および山形系統(山形系統ウイルスは 2020 年以降検出されていない)である。
検査法
インフルエンザウイルスの検査法はウイルス学的・遺伝学的・血清学的手法があるが、季節性インフル
エンザウイルスの検査として、実臨床で広く使われているのは、ウイルス学的手法でウイルス抗原を検出
する迅速診断キットである。
疫学状況
日本では、インフルエンザは定点把握疾患として位置づけられ、2025 年 4 月からは急性呼吸器感染症
サーベイランスの対象疾患に含まれている。日本国内におけるインフルエンザの流行は、例年 1 月あた
りがピークとなる。COVID-19 の影響で 2020/21 シーズンの症例数は激減したが、2024/25 シーズンは
以前のレベルに戻っている。推計受診者数の年齢群別割合は、0 歳〜14 歳の小児と 15〜59 歳の成人の症
例が約 8〜9 割を占め、60 歳以上の高齢者の割合は低い。入院患者は小児および高齢者で多く、特に 80
歳以上では人口あたりの死亡数が非常に高い。病原体サーベイランスでは、1シーズン中に複数の亜系統
が検出されるが、流行初期にインフルエンザウイルス A 型、流行後期にインフルエンザウイルス B 型が
主流となるパターンが多くみられる。他国でも、インフルエンザの流行が COVID-19 流行以前のレベル
に戻ってきており、日本と同様に入院と死亡の中心は高齢者となっている。
予防接種の目的と導入により期待される効果、安全性
ワクチン接種の目的
高齢者へのインフルエンザワクチン接種は、発症や重症化を防ぐ目的で導入され、現在は B 類疾病の
定期接種として位置付けられている。WHO は季節性インフルエンザワクチンを用いた強固な予防接種
プログラム確立の重要性を強調し、日本でも高齢者を対象とした接種体制が整備されてきた。標準用量の
不活化インフルエンザ HA ワクチンが使用されてきたが、2024 年には高用量インフルエンザ HA ワクチ
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疾患の特性
インフルエンザは A 型・B 型が季節性流行を引き起こし、1 日〜2 日の潜伏期の後に高熱、悪寒、筋肉
痛、咳嗽などの症状が出現する。高齢者では典型的な呼吸器症状を欠き、発熱や倦怠感、意識障害のみを
呈する場合がある。ウイルス性肺炎や細菌性肺炎をはじめ、心疾患、脳炎、ギラン・バレ症候群、筋炎な
ど多様な合併症を引き起こしうる。高齢者では回復に 10 日〜14 日を要し、ADL 低下やフレイルとの関
連も指摘される。感染経路は飛沫、接触、エアロゾルがあり、家庭や施設、航空機内での伝播の原因とな
っている。抗ウイルス薬は感染早期に投与することで症状早期緩和や重症化予防に一定の効果があり、65
歳以上や基礎疾患を有する者には使用が推奨される。他の呼吸器ウイルスとの鑑別も必要である。
ウイルスの特徴
インフルエンザウイルスは A 型,B 型,C 型および D 型に分類されるが、毎冬ヒトの間で流行してい
るウイルスは季節性インフルエンザウイルスと呼ばれ、A 型では H1(H1pdm09)および H3 亜型、B 型で
はビクトリア系統および山形系統(山形系統ウイルスは 2020 年以降検出されていない)である。
検査法
インフルエンザウイルスの検査法はウイルス学的・遺伝学的・血清学的手法があるが、季節性インフル
エンザウイルスの検査として、実臨床で広く使われているのは、ウイルス学的手法でウイルス抗原を検出
する迅速診断キットである。
疫学状況
日本では、インフルエンザは定点把握疾患として位置づけられ、2025 年 4 月からは急性呼吸器感染症
サーベイランスの対象疾患に含まれている。日本国内におけるインフルエンザの流行は、例年 1 月あた
りがピークとなる。COVID-19 の影響で 2020/21 シーズンの症例数は激減したが、2024/25 シーズンは
以前のレベルに戻っている。推計受診者数の年齢群別割合は、0 歳〜14 歳の小児と 15〜59 歳の成人の症
例が約 8〜9 割を占め、60 歳以上の高齢者の割合は低い。入院患者は小児および高齢者で多く、特に 80
歳以上では人口あたりの死亡数が非常に高い。病原体サーベイランスでは、1シーズン中に複数の亜系統
が検出されるが、流行初期にインフルエンザウイルス A 型、流行後期にインフルエンザウイルス B 型が
主流となるパターンが多くみられる。他国でも、インフルエンザの流行が COVID-19 流行以前のレベル
に戻ってきており、日本と同様に入院と死亡の中心は高齢者となっている。
予防接種の目的と導入により期待される効果、安全性
ワクチン接種の目的
高齢者へのインフルエンザワクチン接種は、発症や重症化を防ぐ目的で導入され、現在は B 類疾病の
定期接種として位置付けられている。WHO は季節性インフルエンザワクチンを用いた強固な予防接種
プログラム確立の重要性を強調し、日本でも高齢者を対象とした接種体制が整備されてきた。標準用量の
不活化インフルエンザ HA ワクチンが使用されてきたが、2024 年には高用量インフルエンザ HA ワクチ
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