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03資料1-1森野委員提出資料(高齢者に対するインフルエンザワクチンファクトシート) (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》
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ンが 60 歳以上に製造販売承認された。ワクチン株は WHO の推奨に基づき選定され、今後は山形系統を
除いた3価ワクチンが導入予定である。高用量ワクチンは筋肉内接種により標準用量ワクチンに比べ免
疫原性が高く、副反応も少ないことが示唆されており、高齢者における予防効果の向上が期待される。
ワクチンの有効性、免疫原性
高齢者では、加齢に伴う免疫機能の低下により、標準用量(Standard Dose: SD)の不活化インフルエ
ンザワクチン(Inactivated Influenza Vaccine: IIV)
(SD-IIV)の接種では、若年成人と比較して、臨床的
ワクチン有効性の推定値が有意に低く、実際に抗体保有率、抗体陽転率、および幾何平均抗体価
(Geometric Mean Titer: GMT)も低いことが報告されている。特に 75 歳を超える高齢者では、75 歳未
満と比較してワクチン接種後の血清学的応答がさらに低下することが明らかにとなっている。この問題
に対応するため、抗原量を増やしより強い免疫応答を誘導する目的で高用量(High Dose: HD)の不活化
インフルエンザワクチン(HD-IIV)が開発された。
免疫原性の観点では、多くの臨床試験において、HD-IIV は SD-IIV に比べてワクチン接種後の HI 抗
体価(GMT)や抗体陽転率が高く、抗体の持続期間も長いことが示されている。同様の結果は一般成人
のみならず、フレイルや中枢神経系腫瘍など免疫機能が低下した集団においても確認されており、免疫老
化に対する有効な対策となる可能性が示唆されている。特に高齢者を対象とした日本国内外の第 3 相試
験では、HD-IIV は SD-IIV に比べて全てのワクチン株に対してより高い抗体価を誘導し、年齢層別の解
析でも同様の傾向が確認されている。
有効性の観点では、システマティックレビューやメタ解析、複数の無作為化比較試験および観察研究か
ら、高齢者に対する HD-IIV は、SD-IIV と比較して一貫して高い予防効果を示すことが明らかとなって
いる。特に肺炎、インフルエンザ関連入院、全入院、心肺疾患の低下において有効性が確認されており、
また、年齢が高くなるほど HD-IIV の相対的有効性(rVE)が上昇する傾向も示されている。さらに、前年
のワクチン接種歴や慢性疾患の有無に関係なく HD-IIV は有効性を維持していることが示されている。
加えて、ワクチン株と流行株の不一致が認められたシーズンにおいても、HD-IIV はブレイクスルー感染
後の重症化リスクを軽減する効果が報告されており、ワクチン株と流行株との間の抗原性変異への一定
の対応力も示唆されている。
ワクチンの安全性
高用量インフルエンザワクチンは、国内外の臨床試験において、標準用量ワクチンと比較して安全性に
重大な懸念はなく、十分な忍容性が示された。抗原量が多いため、注射部位の疼痛といった局所の特定反
応は高用量ワクチンでより多く報告される傾向にあるが、そのほとんどは軽度から中等度で一過性であ
った。一方で、重篤な有害事象および注目すべき有害事象の発現割合は、高用量ワクチンは標準用量と同
等であると、複数の臨床試験で確認された。また、基礎疾患を持つ人や、コロナワクチンとの同時接種し
た場合のデータは限られるものの、特筆する安全性の懸念は提示されなかった。
医療経済学的な観点
高齢者を対象に、3価または4価の HD-IIV と SD-IIV を直接比較し、効果指標として QALY(質調整
生存年)を用いた費用効果分析の研究 10 件についてレビューを行った。その結果、全ての研究で HD5