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03資料1-1森野委員提出資料(高齢者に対するインフルエンザワクチンファクトシート) (24 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》
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は SD-IIV(剤形の詳細は不明)接種者(6,310 人)とワクチン未接種者(23,109 人)との間で、インフルエン
ザ診断あるいは入院後 30 日以内の死亡率を比較した。研究期間のうち、
2017/18 シーズンおよび 2018/19
シーズンではワクチン株と流行 H3N2 株の不一致が認められた。その結果、HD-IIV 接種群はすべてのシ
ーズンにおいて未接種群と比較して死亡率が有意に低く、死亡率の低下は 17%〜29%の範囲で認められ
た。2016/17 シーズンでは、流行株とワクチン株の抗原生が一致したため、SD-IIV 接種群でも未接種群
と比較して 25%の有意な死亡率低下が認められた(表 11)。HD-IIV 接種群と SD-IIV 接種群の比較では
ワクチン株と流行 H3N2 株の不一致が報告された 2017/18 シーズンおよび 2018/19 シーズンにおいて、
HD-IIV 接種群の方が死亡率は低かったものの、有意差は認められなかった(表 12)。
表 12. インフルエンザにブレイクスルー感染した 65 歳以上の成人における死亡率比
交互作
アウトカム

慢性 CVD なし

慢性 CVD あり

全体

肺炎/インフルエンザによる入院

0.26 [95%CI: 0.11, 0.64]

0.44 [95%CI: 0.10, 1.93]

0.30 [95%CI: 0.14, 0.64]

0.57

全死亡率

0.58 [95%CI: 0.31, 1.08]

0.38 [95%CI: 0.14, 1.06]

0.51 [95%CI: 0.30, 0.86]

0.49

全原因による入院

0.79 [95%CI: 0.67, 0.92]

1.11 [95%CI: 0.88, 1.39]

0.87 [95%CI: 0.76, 0.99]

0.026

用p値

以上の結果から、HD ワクチン接種はワクチン株と抗原性が一致しない H3N2 株が流行したシーズン
であっても、インフルエンザにブレイクスルー感染した高齢者の死亡率を低下させることが示された 64。
このように、過去 10 年以内に実施された複数の RCT および観察研究により、65 歳以上の高齢者に対
する HD-IIV は、
SD-IIV と比較して一貫して高い予防効果を示すことが明らかとなっている。
特に肺炎、
インフルエンザ関連入院、全入院、心肺疾患、死亡率の低下において有意な差が報告されており、年齢が
高くなるほど HD-IIV の rVE が上昇する傾向も確認されている。また、前年のワクチン接種歴にかかわ
らず HD-IIV は安定した免疫原性と予防効果を示し、心血管疾患などの慢性疾患を有する高齢者におい
ても肺炎や死亡のリスクを低下させることが示されている。さらに、ワクチン株と流行株の不一致が認め
られたシーズンにおいても、HD-IIV はブレイクスルー感染後の重症化リスクを軽減する効果を維持して
おり、ワクチン株と流行株との間の抗原性変異への一定の対応力も示唆されている。これらの知見は、高
齢者に HD-IIV の活用を支持するエビデンスとなっている。
以上より、HD-IIV は、SD-IIV と比較して一貫して高い免疫原性を示し、特に高齢者や免疫機能が低
下した集団においてその効果が顕著であり、高齢者のワクチン接種戦略における重要な選択肢であると
考えられる。

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