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03資料1-1森野委員提出資料(高齢者に対するインフルエンザワクチンファクトシート) (20 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》 |
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A(H3N2)、B 型ワクチン株に対する抗体陽転率は、SD-IIV と比較して有意に高い結果であった(表6)。
一方で、治療後リンパ球減少症のある患者では抗体陽転は全体的に不良であった。このことから、中枢神
経系腫瘍を有する患者にも免疫老化に類似した免疫特性が存在する可能性が示唆され、このような患者
集団において HD-IIV に対する免疫応答は SD-IIV に比べて高いことが示された 47。
表6. 中枢神経系腫瘍を有する患者集団における HD-IIV と SD-IIV で誘導される抗体陽転率の比較
抗体陽転率
株
HD-IIV
SD-IIV
p値
A(H1N1)
65%
37%
<0.04
A(H3N2)
69%
23%
<0.04
B型
50%
23%
<0.04
以上より、複数の臨床試験において、HD-IIV が SD-IIV と比較してより高い HI 抗体価および抗体陽
転率を誘導し、HI 抗体の持続期間も長いことが示された。また、フレイルや中枢神経系腫瘍など、免疫
機能が低下した状態においても HD-IIV は良好な免疫応答を示しており、免疫老化に対する有効な対策
となる可能性が示唆されている。
②
発症予防効果
1)直近 10 年以内に発表されたシステマティックレビュー
2021 年に発表されたネットワークメタ解析(NMA)を伴うシステマティックレビューでは、65 歳以上
の成人における HD-IIV3 と SD-IIV の相対的有効性(rVE)を、インフルエンザ関連アウトカムに対して
比較した。この研究では、1,293 件の研究をスクリーニングして絞り込んだ、HD-IIV3 の rVE を評価し
た 15 の研究(連続した 10 シーズンにおいて、HD-IIV3 を接種した 2,200 万人以上のランダム化比較試験
(RCT)および観察研究を含む)を対象とした。その結果、HD-IIV3 は SD-IIV よりも一貫して高い有効性
を示した(表7)。さらに、流行していたウイルス株とワクチン株との抗原一致・不一致に基づくサブ解析
では、ワクチン株の抗原一致・不一致や、主に流行していたウイルス亜型に関わらず同様の rVE が認め
られた 48。
表7. 65 歳以上の成人における HD-IIV3 の rVE
アウトカム
rVE (HD-IIV3 vs SD-IIV)
インフルエンザ様疾患(ILI)の予防
15.9% (95% CI: 4.1–26.3%)
全原因による入院
8.4% (95% CI: 5.7–11.0%)
インフルエンザによる入院
11.7% (95% CI: 7.0–16.1%)
肺炎による入院
27.3% (95% CI: 15.3–37.6%)
肺炎/インフルエンザの合併入院
13.4% (95% CI: 7.3–19.2%)
心肺系イベント
17.9% (95% CI: 15.0–20.8%)
肺炎/インフルエンザによる死亡
39.9% (95% CI: 18.6–55.6%)
心肺系原因による死亡
27.7% (95% CI: 13.2–32.0%)
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一方で、治療後リンパ球減少症のある患者では抗体陽転は全体的に不良であった。このことから、中枢神
経系腫瘍を有する患者にも免疫老化に類似した免疫特性が存在する可能性が示唆され、このような患者
集団において HD-IIV に対する免疫応答は SD-IIV に比べて高いことが示された 47。
表6. 中枢神経系腫瘍を有する患者集団における HD-IIV と SD-IIV で誘導される抗体陽転率の比較
抗体陽転率
株
HD-IIV
SD-IIV
p値
A(H1N1)
65%
37%
<0.04
A(H3N2)
69%
23%
<0.04
B型
50%
23%
<0.04
以上より、複数の臨床試験において、HD-IIV が SD-IIV と比較してより高い HI 抗体価および抗体陽
転率を誘導し、HI 抗体の持続期間も長いことが示された。また、フレイルや中枢神経系腫瘍など、免疫
機能が低下した状態においても HD-IIV は良好な免疫応答を示しており、免疫老化に対する有効な対策
となる可能性が示唆されている。
②
発症予防効果
1)直近 10 年以内に発表されたシステマティックレビュー
2021 年に発表されたネットワークメタ解析(NMA)を伴うシステマティックレビューでは、65 歳以上
の成人における HD-IIV3 と SD-IIV の相対的有効性(rVE)を、インフルエンザ関連アウトカムに対して
比較した。この研究では、1,293 件の研究をスクリーニングして絞り込んだ、HD-IIV3 の rVE を評価し
た 15 の研究(連続した 10 シーズンにおいて、HD-IIV3 を接種した 2,200 万人以上のランダム化比較試験
(RCT)および観察研究を含む)を対象とした。その結果、HD-IIV3 は SD-IIV よりも一貫して高い有効性
を示した(表7)。さらに、流行していたウイルス株とワクチン株との抗原一致・不一致に基づくサブ解析
では、ワクチン株の抗原一致・不一致や、主に流行していたウイルス亜型に関わらず同様の rVE が認め
られた 48。
表7. 65 歳以上の成人における HD-IIV3 の rVE
アウトカム
rVE (HD-IIV3 vs SD-IIV)
インフルエンザ様疾患(ILI)の予防
15.9% (95% CI: 4.1–26.3%)
全原因による入院
8.4% (95% CI: 5.7–11.0%)
インフルエンザによる入院
11.7% (95% CI: 7.0–16.1%)
肺炎による入院
27.3% (95% CI: 15.3–37.6%)
肺炎/インフルエンザの合併入院
13.4% (95% CI: 7.3–19.2%)
心肺系イベント
17.9% (95% CI: 15.0–20.8%)
肺炎/インフルエンザによる死亡
39.9% (95% CI: 18.6–55.6%)
心肺系原因による死亡
27.7% (95% CI: 13.2–32.0%)
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