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提案書04(0599頁~0801頁)医療技術評価・再評価提案書 (185 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果

自然歴と比較し運動機能の改善、死亡や永続的呼吸補助のリスク低下といった有効性が示されている(参考文献2)。特に
発症前の症例に対しての有効性は顕著であり、ほとんどの症例で歩行を獲得している(参考文献3)。
既存薬(スピンラザ、エブリスディ)でも同様の有効性が報告されているが、これらは生涯の投与が必要なため、費用対効
果の面ではゾルゲンスマが優れると海外から報告されている(参考文献4)。
AVXS-101 (onasemnogene abeparvovec) for SMA1: comparative study with a prospective natural history cohort. J
Neuromuscul Dis. 2019;6:307-31.
2a

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
ガイドライン等での位置づけ

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

年間対象患者数(人)

40-50

国内年間実施回数(回)

40-50

「脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き」(脊髄性筋萎縮症診療の手
引き編集委員会、2022)(Mindsガイドラインライブラリーに掲載
準備中)にて、2歳以下の患者で、抗アデノ随伴ウイルス血清型
9(AAV9)抗体価測定を行い1回のみ投与の適応となっている。海外
の文献でのエビデンスレベルは1~3である。

⑥普及性

※患者数及び実施回数の推定根拠等

疾患頻度が約1人/20.000人と言われており、本邦の出生数を考慮すると、年間約40名が見込まれる。(また、2020年5月の
販売時から2023年2月末までに投与された患者は82名であるので予想よりは少ない。)

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

カルタヘナ法第一種使用規程を遵守した適正使用が求められる。
参考文献1)5)の「治療施設におけるカルタヘナ法第一種使用規程マニュアル」「ゾルゲンスマ点滴静注 適正使用指針」
に沿った対応が必要であり、そのためにはウイルスベクター製品やカルタヘナ法に対する専門知識、施設内での投与体制整
備が必要であり、難易度としては中等度と考える。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体
制等)

・小児科の小児神経専門医が常駐し、脊髄性筋萎縮症の診療に必要な経験と学識・技術を習得していること
・カルタヘナ法第一種使用規定を遵守した投与体制が整っている施設であること

人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門
性や経験年数等)

実施にあたっては、保管、調製、運搬、投与、排泄物・感染性廃棄物の処理、患者検体の取り扱いといった管理を厳密に実
施することが求められている。医師、看護師、薬剤師、検査技師等の職種で、通常の診療担当者に加えて、ウイルスベク
ター製品やカルタヘナ法に関する専門知識をもった人員が各々1-2名必要となる。

その他
(遵守すべきガイドライン等その他の
要件)

参考文献1)の「治療施設におけるカルタヘナ法第一種使用規程マニュアル」
参考文献5)の「ゾルゲンスマ点滴静注 適正使用指針」

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

・発熱、肝機能障害、血小板減少等の副作用が過半数で見られる。稀だが血栓性微小血管症が報告されている。
・遺伝子組み換え生物等の拡散リスクがあるため、カルタヘナ法を遵守した厳重な拡散防止措置を行う必要がある。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

ゾルゲンスマ(オナセムノゲン アベパルボベク)は、世界的にも初めてのウイルスベクターを用いたin vivoの遺伝子治療
薬である。根治的な治療のため、これまで寝たきり、気管切開、人工呼吸器管理を要していた脊髄性筋萎縮症患者に対し劇
的な効果を認めており、将来的に医療費削減や社会活動が可能になるなど社会経済的な貢献も見込まれる。しかしこれまで
の医療とは異なり、遺伝子組み換え生物等を用いた治療薬のため、生物の多様性へ悪影響が及ぶことを防ぐための国際的な
枠組みである「カルタヘナ法」の遵守が必須である。この医療技術は、将来的に出てくると予想される他の遺伝子治療薬に
も応用可能であり、臨床現場でカルタヘナ法を遵守した遺伝子治療が進みやすくなり、社会的に妥当性の高いものであると
考える。


妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)

初日840点、2日目以降600点

その根拠

臨床現場でカルタヘナ法遵守が必要となる初の治療薬のため、既存の診療報酬では該当するものがない。
拡散防止措置のためには、安全キャビネットや個人防護用具、不活化処理、消毒などが必要であり、それらの費用の概算
を、本遺伝子治療の経験がある6施設で行ったところ
初日は840点、2日目以降は600点相当であった。
また既存の加算で近いものとして
・外来腫瘍化学療法診療料1
イ 抗悪性腫瘍剤を投与した場合 700点 *15歳未満の小児の場合 200点加算
・外来化学療法加算1
(1)15歳未満の患者の場合 670点
があり、上記の点数は妥当と考える。
カルタヘナ法対応は30日間必要のため、加算の算定期間は30日が上限となる。

⑩希望する診療
報酬上の取扱い

関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

予想影響額

区分

区分をリストから選択

番号

該当なし

技術名

該当なし

具体的な内容

該当なし

該当する項目なし

プラスマイナス

減(-)

予想影響額(円)

本加算のみであれば、(840点×10円+600点×29日×10円)×40人=729.6万円/年の増額。しかし下記の根拠から、50年で
患者1人あたり11億8281万7600円減額となる。

その根拠

現在、診断がついた脊髄性筋萎縮症はいずれかの治療薬が投与されることが一般的なため、例としてゾルゲンスマとスピン
ラザの治療費用を比較すると(1人50年生存として)
・ゾルゲンスマ:1億6700万円+840点×10円+600点×29日×10円=1億6718万2400円
・スピンラザ:2700万円/年×50年=13億5000万円
従って、患者1人あたり50年で、ゾルゲンスマが11億8281万7600円減額となる。

備考

脊髄性筋萎縮症患者へのゾルゲンスマの投与で、寝たきり、気管切開、人工呼吸器管理を要していた患者に対しての劇的な
予後改善が見込まれる。そのため、自然歴と比較すると呼吸器系の医療費や介護費用などが不要となり、将来的な医療への
影響としては相当額の減額になると考える。

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