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10参考資料1-2 成人用肺炎球菌ワクチンファクトシート[4.9MB] (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70339.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会(第64回 2/12)《厚生労働省》
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1.肺炎球菌感染症の基本的知見
(1)疾患の特性
① 臨床症状
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は鼻咽頭の常在菌として、成人の 5%~10%、小児の 20%~
40%、乳幼児の 40%~60%に保菌がみられる 1-5。肺炎球菌による無症候性の保菌状態は、市中における
菌の水平伝播に重要な役割を果たし、伝播先における本菌による呼吸器や全身感染症の原因となる 6,7。
本菌は主要な呼吸器病原性菌であり、小児、成人に中耳炎、副鼻腔炎や菌血症を伴わない肺炎などの非侵
襲性感染症を引き起こす。我が国の市中肺炎の原因菌として最も多く、肺炎球菌は約 20%を占めるとい
う解析報告がある 8。また肺炎球菌が血液あるいは髄液中に侵入した場合には、髄膜炎や菌血症を伴う肺
炎などの侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease: IPD)を引き起こす(IPD とは通常無
菌的であるべき検体から肺炎球菌が分離された疾患をさす)

肺炎球菌の表層に存在する莢膜多糖の抗原性により、本菌はおよそ 100 の血清型に分類される 2,9-11。
IPD から分離される肺炎球菌株は、5 歳以下の小児で血清型 1、 5、 6A、6B、14、19F、23F が多いと、
肺炎球菌結合型ワクチン導入前のシステマティックレビューで報告されている 11。成人における IPD に
おいて、高い致命率が報告されている血清型は 3、6B、9N、11A、16F、19F、19A であり、血清型 3 は
高齢・合併症がある成人の重症化に寄与している 12,13。 PCV7、PCV10、PCV13、PPSV23 でカバーし
ていない 非ワクチン型血清型(16F、23A、31、35F)が、IPD による致命率に寄与していると報告する
メタアナリシスの結果もある 14。また、血清型 12F によるアウトブレイクは我が国でも報告されている


15,16

② 鼻咽頭保菌
肺炎球菌の小児における保菌率が高頻度であるのに対し、成人における保菌率は一般に低頻度とされ
る 17,18。イスラエルの同一地域における保菌率は、6 歳以下の小児および 18 歳以上の成人における保菌
率は、それぞれ 53%、3.7%であった 19。高齢者の保菌率も概ね低く、ポルトガルの 60 歳以上の成人で
2.3%、
米国の 65 歳以上の成人では 1.8%と報告されている 20,21。インドネシアでは、
45 歳~70 歳で 11%、
60 歳~97 歳で 3%の保菌率が認められた 22,23。我が国の 65 歳以上の成人でも 4.4%であった 24。60 歳以
上の成人における保菌率を調べたシステマティックレビューにおいては、9%が統合値として示されてお
り、施設居住者の方が地域在住者よりも高頻度の傾向であると報告された 25。
③ 感染経路・薬剤耐性
健常人の鼻咽頭に保菌されている肺炎球菌は、飛沫によって家庭内、集団内で伝播する。鼻咽頭に保菌
された肺炎球菌は時に中耳炎の原因となる。一方で、本菌は下気道に進展することで気管支炎、肺炎など
の原因となる。また、血液や髄液中に侵入し、敗血症、髄膜炎などの IPD を引き起こす。また、成人の
肺炎球菌性肺炎の発症は小児との接触に関連するとされている 26。本菌による集団感染事例は、混雑した
環境において、50 歳以上および 18 歳~25 歳の成人で多いとされる 17,27,28。病院および高齢者施設に加
え、工場・軍施設における IPD のアウトブレイクが報告されている 27,29-32。COVID-19 流行期には、我
が国および諸外国においても、IPD 罹患率の一時的な減少がみとめられた 33,34。また、IPD 患者における
COVID-19 の共感染も報告され、肺炎球菌による単独感染よりも高い致命率であった 35。
薬剤耐性肺炎球菌に関連した死亡数は世界で年間約 60 万と推計されており、細菌の中では第 4 位の多
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