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2025年6月12日 全国保険医団体連合会 記者会見資料 (50 ページ)
出典
公開元URL | https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/250612_press.pdf |
出典情報 | 全国保険医団体連合会 記者会見(6/12)《全国保険医団体連合会》 |
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論
考
負担が軽減され、被保険者に転嫁されてきた
一部の大企業に富が極端に滞留し、税財政悪
のだから、雇用の正規化や賃金を引き上げる
化や経済循環の目詰まりを引き起こしている
ことが必要だ。
のが現状だ。法人税・所得税を減税し、消費
それと同時に、事業主負担割合の引き上げ
税増税で穴埋めしていくような財政・経済運
も求められる。事業主負担は、企業規模にか
営に未来はない。
かわらず算出方法は同じであるため、売上総
政府は、新自由主義とは決別し、応能負担
利益に占める社会保険料(医療、介護、年金、
を徹底して、法人税制、所得税制の立て直し
労災等)の負担割合は、大企業が 9.9%に対
を図るべきだ。また、正規雇用を増やす、賃
5)
し、中小企業は14.0%と格差が生じている 。
金を引き上げる、事業主負担割合を増やすな
医療機関も含め中小企業には事業所規模によ
どで、保険料収入の確保を図っていくべき
る調整や公費負担を行う手立てが必要だ。
だ。こうした改革を進めることで消費税増税
社会保険料の負担が、定額・定率、算定報
に頼らない財源確保は十分に可能である。
酬上限などによって、低所得者ほど重い逆進
日本医師会前会長の横倉義武氏は、
「(企業
的な負担になっていることも問題である。所
の)利益剰余金を設備投資や従業員の給与に
得に占める保険料割合は、所得 200 万円前後
回して経済の好循環を実現する必要がある」
が一番重く、所得が1億円を超えると実質ゼ
「従業員の皆さんの給与が増えることで、結
ロに近くなる。応能負担を強める観点から、
果的には社会保障費の社会保険料収入も増加
保険料は給与収入や所得に応じた累進制と
し、医療保険財政の安定化にもつながってい
し、保険料算定の報酬上限を撤廃することな
く」6)と指摘している。また、社会保障の経
どが必要だ。
済波及効果と雇用誘発効果は高い7)。医療・
社会保障、雇用の充実により内需(消費)が底
消費税増税に頼らない財源確保は可能
上げされる結果、経済が安定し、税・保険料
消費税導入以降、金融保険業を除く企業の
のさらなる増収も見込まれる。こうした中で
利益は 38 兆円( 1990 年)から 71 兆円( 2019
財政状況改善に向けた展望も開けてくる。
年)と2倍近くになったにもかかわらず、法
文献
人税収は 18.4 兆円から 10.8 兆円におよそ半
1)
“これからの日本のために財政を考える”. 財務省.
減している。非正規雇用の増加や人件費削減
https://www.mof.go.jp/zaisei/( 参照 2021年4
などを通じて、保険料の事業主負担が抑制さ
月)
2)東京新聞 . 2020年9月 16 日 .
れ、保険料収入が伸び悩んでいる。こうした
3)瀬古雄祐. “主要国の個人所得税負担率”. 調査と
結果、税引き後の社内に残る「内部留保」
(利
情報No.1151. 国立国会図書館, 2021年6月15日.
益剰余金)は増え続け、大企業(資本金 10 億
4)
参議院財政金融委員会会議録, 2019年3月19日.
円以上。金融保険業除く)の内部留保は 2000
5)“ 中小企業・小規模事業者の現状と課題 ”. 中小企
業庁 , 2016年 10 月 .
年の 88 兆円から 2019 年は 238 兆円と 2.7 倍
6)“ 平成 28 年度医療政策シンポジウム
になっている。
社会保障
と経済の好循環〜医療保障を中心に〜 ”. 日本医師
新自由主義政策の下、減税や非正規拡大を
続けた結果、税・保険料収入が停滞・低下し、
50
会, 2017年2月8日.
7)
厚生労働白書平成22年版. 厚生労働省, 2010年.
月刊保団連
2021.9 No.1353
39
考
負担が軽減され、被保険者に転嫁されてきた
一部の大企業に富が極端に滞留し、税財政悪
のだから、雇用の正規化や賃金を引き上げる
化や経済循環の目詰まりを引き起こしている
ことが必要だ。
のが現状だ。法人税・所得税を減税し、消費
それと同時に、事業主負担割合の引き上げ
税増税で穴埋めしていくような財政・経済運
も求められる。事業主負担は、企業規模にか
営に未来はない。
かわらず算出方法は同じであるため、売上総
政府は、新自由主義とは決別し、応能負担
利益に占める社会保険料(医療、介護、年金、
を徹底して、法人税制、所得税制の立て直し
労災等)の負担割合は、大企業が 9.9%に対
を図るべきだ。また、正規雇用を増やす、賃
5)
し、中小企業は14.0%と格差が生じている 。
金を引き上げる、事業主負担割合を増やすな
医療機関も含め中小企業には事業所規模によ
どで、保険料収入の確保を図っていくべき
る調整や公費負担を行う手立てが必要だ。
だ。こうした改革を進めることで消費税増税
社会保険料の負担が、定額・定率、算定報
に頼らない財源確保は十分に可能である。
酬上限などによって、低所得者ほど重い逆進
日本医師会前会長の横倉義武氏は、
「(企業
的な負担になっていることも問題である。所
の)利益剰余金を設備投資や従業員の給与に
得に占める保険料割合は、所得 200 万円前後
回して経済の好循環を実現する必要がある」
が一番重く、所得が1億円を超えると実質ゼ
「従業員の皆さんの給与が増えることで、結
ロに近くなる。応能負担を強める観点から、
果的には社会保障費の社会保険料収入も増加
保険料は給与収入や所得に応じた累進制と
し、医療保険財政の安定化にもつながってい
し、保険料算定の報酬上限を撤廃することな
く」6)と指摘している。また、社会保障の経
どが必要だ。
済波及効果と雇用誘発効果は高い7)。医療・
社会保障、雇用の充実により内需(消費)が底
消費税増税に頼らない財源確保は可能
上げされる結果、経済が安定し、税・保険料
消費税導入以降、金融保険業を除く企業の
のさらなる増収も見込まれる。こうした中で
利益は 38 兆円( 1990 年)から 71 兆円( 2019
財政状況改善に向けた展望も開けてくる。
年)と2倍近くになったにもかかわらず、法
文献
人税収は 18.4 兆円から 10.8 兆円におよそ半
1)
“これからの日本のために財政を考える”. 財務省.
減している。非正規雇用の増加や人件費削減
https://www.mof.go.jp/zaisei/( 参照 2021年4
などを通じて、保険料の事業主負担が抑制さ
月)
2)東京新聞 . 2020年9月 16 日 .
れ、保険料収入が伸び悩んでいる。こうした
3)瀬古雄祐. “主要国の個人所得税負担率”. 調査と
結果、税引き後の社内に残る「内部留保」
(利
情報No.1151. 国立国会図書館, 2021年6月15日.
益剰余金)は増え続け、大企業(資本金 10 億
4)
参議院財政金融委員会会議録, 2019年3月19日.
円以上。金融保険業除く)の内部留保は 2000
5)“ 中小企業・小規模事業者の現状と課題 ”. 中小企
業庁 , 2016年 10 月 .
年の 88 兆円から 2019 年は 238 兆円と 2.7 倍
6)“ 平成 28 年度医療政策シンポジウム
になっている。
社会保障
と経済の好循環〜医療保障を中心に〜 ”. 日本医師
新自由主義政策の下、減税や非正規拡大を
続けた結果、税・保険料収入が停滞・低下し、
50
会, 2017年2月8日.
7)
厚生労働白書平成22年版. 厚生労働省, 2010年.
月刊保団連
2021.9 No.1353
39