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2025年6月12日 全国保険医団体連合会 記者会見資料 (45 ページ)
出典
公開元URL | https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/250612_press.pdf |
出典情報 | 全国保険医団体連合会 記者会見(6/12)《全国保険医団体連合会》 |
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論
考
新型コロナ後の医療再建と財源問題
社会保障充実、景気回復に向けて
全国保険医団体連合会理事
竹田
智雄
たけだ ともお
1959年愛知県生まれ。1985年岐阜大学医学部卒業。岐阜大学病院、岐阜市民病院などを経て1998
年竹田クリニック開業。日本麻酔学会専門医。日本ペインクリニック学会専門医。2014年から全国
保険医団体連合会理事。2020年から岐阜県保険医協会会長。
コロナ収束後は、医療・社会保障の再建と財政再建が焦点となる。先進諸国では、コロナ危機を通じて、
大企業や富裕層に応分に負担を求める潮流に変わりつつある。日本も、法人減税、雇用の規制緩和など新自
由主義的路線からは決別し、消費税増税ではなく、大企業・超富裕層に対する応分の税負担、医療・社会保
障の充実、雇用の改善という三位一体の改革路線を進めて、医療・社会保障財源の確保を図っていくべきだ。
コロナ後の医療再建、
税財政再建に向けて
大企業・富裕層課税
税制改革の潮目変化
新型コロナウイルス感染が広がる中、病床
コロナ危機を受けて、先進国では新自由主
ひっ迫など日本の医療・社会保障の脆さが浮
義路線からの軌道修正が見られる。1980 年
き彫りになった。コロナ対策として、政府は
代以降、新自由主義が世界を席巻し、大企業
国債発行を中心に3度の補正予算を組んだ。
と富裕層の社会的負担の軽減が進められて
「Go To トラベル」
など使い道には疑問もある
きた。先進諸国で構成する経済協力開発機構
が、2020年度の一般会計(歳出総額)は175
(OECD)加盟国平均の法人税率は1981年の
兆円と当初予算の1.7倍に達している。今後、
48%から2020 年には23%に半減している。
医療再建、財政再建が焦点となるだろう。
日本も同様だ。財政が悪化し、公的医療や社
医療・社会保障財源に関し、全国保険医団
会保障が弱体化し、危機に弱い社会になった
体連合会は 2009 年に「医療再建で国民は幸
ところに、コロナが直撃した格好だ。
せに、経済も元気に─医療への公的支出を増
こうした中、大企業減税競争の先頭に立っ
やす3つの提案」
( 随時改訂)を提言した。本
てきた米国、英国では、公平な負担を求める
稿では改めて、先進国での新たな税制潮流も
声の高まりも背景に、法人税率を引き上げる
交えつつ、医療・社会保障の充実に向けた財
方向に転換しつつある。
源論の方向性について考えたい。
英国は半世紀ぶりに法人税増税を決めた。
米国では、バイデン政権が、トランプ前政権
34 月刊保団連 2021.9 No.1353
45
考
新型コロナ後の医療再建と財源問題
社会保障充実、景気回復に向けて
全国保険医団体連合会理事
竹田
智雄
たけだ ともお
1959年愛知県生まれ。1985年岐阜大学医学部卒業。岐阜大学病院、岐阜市民病院などを経て1998
年竹田クリニック開業。日本麻酔学会専門医。日本ペインクリニック学会専門医。2014年から全国
保険医団体連合会理事。2020年から岐阜県保険医協会会長。
コロナ収束後は、医療・社会保障の再建と財政再建が焦点となる。先進諸国では、コロナ危機を通じて、
大企業や富裕層に応分に負担を求める潮流に変わりつつある。日本も、法人減税、雇用の規制緩和など新自
由主義的路線からは決別し、消費税増税ではなく、大企業・超富裕層に対する応分の税負担、医療・社会保
障の充実、雇用の改善という三位一体の改革路線を進めて、医療・社会保障財源の確保を図っていくべきだ。
コロナ後の医療再建、
税財政再建に向けて
大企業・富裕層課税
税制改革の潮目変化
新型コロナウイルス感染が広がる中、病床
コロナ危機を受けて、先進国では新自由主
ひっ迫など日本の医療・社会保障の脆さが浮
義路線からの軌道修正が見られる。1980 年
き彫りになった。コロナ対策として、政府は
代以降、新自由主義が世界を席巻し、大企業
国債発行を中心に3度の補正予算を組んだ。
と富裕層の社会的負担の軽減が進められて
「Go To トラベル」
など使い道には疑問もある
きた。先進諸国で構成する経済協力開発機構
が、2020年度の一般会計(歳出総額)は175
(OECD)加盟国平均の法人税率は1981年の
兆円と当初予算の1.7倍に達している。今後、
48%から2020 年には23%に半減している。
医療再建、財政再建が焦点となるだろう。
日本も同様だ。財政が悪化し、公的医療や社
医療・社会保障財源に関し、全国保険医団
会保障が弱体化し、危機に弱い社会になった
体連合会は 2009 年に「医療再建で国民は幸
ところに、コロナが直撃した格好だ。
せに、経済も元気に─医療への公的支出を増
こうした中、大企業減税競争の先頭に立っ
やす3つの提案」
( 随時改訂)を提言した。本
てきた米国、英国では、公平な負担を求める
稿では改めて、先進国での新たな税制潮流も
声の高まりも背景に、法人税率を引き上げる
交えつつ、医療・社会保障の充実に向けた財
方向に転換しつつある。
源論の方向性について考えたい。
英国は半世紀ぶりに法人税増税を決めた。
米国では、バイデン政権が、トランプ前政権
34 月刊保団連 2021.9 No.1353
45