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2025年6月12日 全国保険医団体連合会 記者会見資料 (46 ページ)

公開元URL https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/250612_press.pdf
出典情報 全国保険医団体連合会 記者会見(6/12)《全国保険医団体連合会》
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が大幅に下げた法人税を引き上げる方針を打

行とともに給付規模は拡大する傾向にある。

ち出した。多国籍企業の子会社に課す最低税

我が国は最も高齢化が進んでいるが、社会支

率引き上げなども含め、15 年間で約 275 兆

出の対 GDP 比は、我が国よりも高齢化率が

円の増収を見込んでいる。

低いフランス、スウェーデン、ドイツの方が

コロナ禍で貧富の格差がさらに拡大する

我が国を上回っている」としている。高齢化

中、富裕層増税の流れも強まっている。米国

が進めば社会保障は手厚くなるべきところ、

では、所得税の最高税率を引き上げるととも

日本では非常に手薄ということだ。

に、金融所得(株式配当・売却益)などに対す

公的医療に当たる「保健」給付規模(対GDP

る税率を 20%から 40%近くに引き上げる方

比。2017年度)では、日本は高齢化率27.7%

針だ。英国では、金融所得課税の基礎控除を

に対し、給付規模は 7.65%である。フラン

圧縮し、課税対象者を増やし増収を狙う。

ス、ドイツ( 15 年度)は高齢化率がそれぞれ
18.9%、21.1%と日本より 6.6〜8.8 ポイン

「骨太」に応能負担強化を記載

ト低いが、給付規模は 8.79%、8.88%と日

日本でも、経済財政諮問会議( 2021 年4

本より 1.14~1.23 ポイント高い。高齢化率

月 26 日)において、民間議員が「格差是正や

が 14.6%と日本の半分にすぎない英国は給

所得再分配は世界的な潮流になっている」と

付規模が7.69%と日本と同水準に達する。

指摘し、法人税の国際最低税率や株式売却益

医療給付費を独仏並みにするには年 6.4~

や資産課税について「タブーなく検討してい

6.9 兆円の追加支出が必要となる。高齢化率

ただきたい」と発言している。
「骨太の方針

の違いも考慮すればさらなる上乗せが必要と

2021」では、
「応能負担の強化等による(所得)

なる。医療に限らず、社会保障全体の給付規

再分配機能の向上」、
「適正・公平な課税の実

模で見ても同様な状況にある。日本は先進国

現による税に対する信頼の確保」などが記さ

で最も高齢化が進んでいるにもかかわらず、

れた。国際的な流れも受けて、高額所得者や

医療・社会保障費に回す公費水準が極端に低

企業に対する「応能負担」の強化が盛り込ま

い。社会保障費が財政ひっ迫の原因とされる

れた形だ。日本も後は実行あるのみだ。持て

こともあるが、この点から見ても誤りである

る者が応分に負担する公正な税制に向けて、

ことが分かる。

早急に着手すべきだ。

低すぎる税収規模

脆弱な医療保障と低医療費政策

では、なぜ財政がひっ迫するのか。使い道
の問題もあるが、租税収入水準の問題が大き

まず、日本の医療・社会保障費の現状につ
いて確認したい。

い。対GDP比で租税収入の規模( 2018年)を

2020 年度版の厚生労働白書では、高齢化

見ると、フランス 30.1%、イタリア 28.8%、

率( 65 歳以上人口割合)との関係で主要な欧

英国 26.6%、ドイツ 24.0%に対し、日本は

米諸国における社会保障の給付規模(対 GDP

「減税」を売
18.6%と極端に低い(図1)1)。

比)について記載している。白書によれば、

りにする米国の 18.4%と同じ水準だ。ドイ

「社会保障の給付規模の推移を、高齢化率の

ツ並みであれば、現状より 30 兆円税収が多

推移とともに見ると、いずれの国(筆者注:

くなる。日本は、経済規模に見合った水準で

英、米、独、仏、スウェーデン)も高齢化の進

税金を調達していない。

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月刊保団連

2021.9 No.1353

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