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2025年6月12日 全国保険医団体連合会 記者会見資料 (47 ページ)

公開元URL https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/250612_press.pdf
出典情報 全国保険医団体連合会 記者会見(6/12)《全国保険医団体連合会》
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では、政府が言うように消費税を引き上げ

空洞化、侵食される法人税制

るべきなのだろうか。
国の税収(一般会計)を見ると、消費税導入

法人税や所得税の減収は、大幅減税が背景

直後の 1990 年度は 60.1 兆円だが、2019 年

にある。

度は 58.4 兆円に低下している。この間、経済

法人税額は、法人の「所得」に法人税率を乗

規模(実質 GDP )は 1.3 倍になっている。税

じたものから一定の税額を差し引いて算出さ

収の停滞・低下は本来あり得ない。

れる。税収規模は、
「所得」の範囲、税率の水

一般会計収入の約7~8割を占める所得税、

準、および差し引かれる税額によって決まる。

法人税と消費税の主要3税収(合計)を見る

大企業などに係る法人税率(基本税率)は消

と、49.0兆円から48.4兆円と伸びていない
(図

費税の導入以降、大きく引き下げられてきた

2)
。その内訳の推移を見ると、1990年度は

(図3)
。消費税導入前年の1988 年は 42.0%

消費税収が4.6兆円に対し、所得税収は26.0

だったが、2018 年以降 23.2%にほぼ半減し

兆円、法人税収は18.4兆円だが、19年度は消

ている。

費税収が18.4兆円に激増する一方、所得税収

また、
「所得」範囲を縮小する操作や、差し

は19.2兆円、法人税収も10.8兆円に激減して

引ける「税額」を広げることで、法人税収が失

いる。所得税収と法人税収の減少を消費税収

われてきた。課税を特別に軽減する租税特別

が穴埋めした形だ。これ以上、景気に悪影響

措置と呼ばれるものだ。

を及ぼす消費税収に財源を頼ることは困難だ。

「所得」範囲を縮小する操作では、他企業の
株式から受け取った配当を所得に含めない措

フランス

30.1

イタリア

28.8

所得と相殺できる措置など様々ある。税額を
差し引くものでは、研究開発に要した経費は

26.6

英国

法人税額の最大 50%まで差し引ける。第2

24.0

ドイツ
日本

18.6

米国

18.4

(%)0

図1

置や、赤字の子会社を抱え込むことで本社の

10

20

次安倍政権では、賃金引き上げやIT設備投資
など様々に理由をつけて税額控除が広げられ
てきた。

30

政府税制調査会の資料によれば、主な租税

40

特別措置がなかった場合、法人税額( 2012年

先進諸国の租税収入(対GDP比)

度)は 16.2 兆円程度と試算している(図4)。
しかし、実際には法人税収が租税特別措置に

1990 年度

26.0

18.4

より6兆円近く失われ 10.4 兆円に切り詰め

4.6

られている。
租税特別措置は、手続きが煩雑な上、資金

2019 年度

19.2

0

10

所得税収

図2

10.8
20

が少ない中小企業には適用のハードルも高

18.4
30

法人税収

40

い。大企業ほど子会社が多く、巨額な内部留
50

保も背景に研究開発にかける資金を潤沢に持

(兆円)

消費税収

ち、株式投資や賃金引き上げも容易だ。租税

所得税・法人税・消費税の税収推移

特別措置は大企業に有利で恩恵が大きい。税

36 月刊保団連 2021.9 No.1353

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