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資料1-2-10診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (25 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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158 結節性硬化症
○ 概要
1.概要
結節性硬化症(tuberous sclerosis complex:TSC)は、原因遺伝子 TSC1、TSC2 の産生タンパクであるハ
マルチン、チュベリンの複合体の機能不全により、下流の mTORC1 の抑制がとれるために、てんかんや精
神発達遅滞、自閉症知能、行動などの行動異常障害(結節性硬化症関連神経精神障害:TAND)や、脳の
上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)、腎血管筋脂肪腫、腎の血管筋脂肪腫、肺のリンパ脈管筋腫症
(lymphangioleiomyomatosis:LAM)、顔面の血管線維腫などの過誤腫を全身に生じる疾患である。
2.原因
結節性硬化症は9番の染色体上にある TSC1 遺伝子か、16 番の染色体状染色体上にある TSC2 遺伝子
の異常によっておこる遺伝病で、常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式をとる。

TSC1 遺伝子、TSC2 遺伝子はそれぞれハマルチン、チュベリンと呼ばれるタンパク質をつくる。ハマルチ
ン、チュベリンはそれぞれの作用と同時に共同でその下流にある mTOR 複合体 1(mTORC1)を抑制してい
る。したがって TSC1 遺伝子、 TSC2 遺伝子の異常によりそれぞれがつくるタンパク質が異常になると
mTORC1 の抑制がうまくいかずに、mTORC1 が活性化される結果次に示すような種々の症状が出現すると
考えられている。
3.症状
結節性硬化症の症状はほぼ全身にわたり、各症状の発症時期、程度も種々である。胎生期から乳児期
に出現する心臓の横紋筋腫、出生時より認められる皮膚の白斑、乳幼児期から出現するてんかん、自閉
症、精神発達遅滞自閉スペクトラム症、知的発達症、顔面の血管線維腫、乳児期から幼児期にかけて問題
になることの多い脳腫瘍、眼底の過誤腫、小児期から思春期に著明になる腎の血管筋脂肪腫や嚢腫。、20
歳以上の特に女性に問題となる肺 LAM や肺の Multifocalmultifocal micronodular pneumocyte hyperplasia
(MMPH)、さらに 40 代以降に増加する消化管の腫瘍や子宮の病変などがある。その他爪囲線維腫やシャ
グリンパッチ、歯のエナメルピッティングや骨硬化像、肝の腫瘍や卵巣膿腫卵巣嚢腫などもしばしば認めら
れる。合併症として、脳の腫瘍(SEGA)、特にモンロー孔付近の腫瘍が急速に増大し(SEGA)、モンロー孔
をふさいで水頭症を呈することがある。血管成分の多い腎の血管筋脂肪腫が増大すると、時に破裂を引き
起こすことがある。また、腫瘍が増大してくると、時に悪性化が生ずることもある。肺 LAM のために労作時
呼吸困難、気胸を繰り返す生じることがある。
4.治療法
現在確立されている治療法はほとんどが対症療法である。てんかんに対しては薬物療法(抗てんかん薬、
mTORC1 阻害剤エベロリムス)や時に病巣の外科的切除脳神経外科手術が行われる。腎の血管筋脂肪腫
に対してはエベロリムス、TAE(経動脈塞栓術)、や外科手術による切除、皮膚の腫瘍に対しては mTORC1
阻害剤シロリムスの局所塗布剤(外用)、レーザー、液体窒素を用いた冷凍凝固術や外科手術を行う。脳

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