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身寄りのない患者を取り巻く社会的課題についての研究 報告書 (50 ページ)
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出典情報 | 身寄りのない患者を取り巻く社会的課題についての研究 報告書(9/24)《日本医療ソーシャルワーカー協会》 |
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から、仮に保証人がいなかったとしても、入院受け入れする他ない場面があるために、「一般病床
あり」群での割合が高くなっていることがうかがえた。
一方、「高齢者等終身サポート事業者との契約を条件に受け入れる」と答えた割合は、「一般病
床あり」では 4.2%であったのに対して、「一般病床なし」では 4.7%であった。一般病床の有無
にかかわらず、少数ではあるが、患者本人の意思決定が困難な場合原則的には利用できないとさ
れている「高齢者等終身サポート事業者との契約を条件に受け入れる」と答えている病院が存在
している実態が明らかになった。そのため、「契約能力が意思決定能力にある程度直結している
ことを踏まえると、クライエントの状況に即した意思決定を支援する上でも、本人の契約能力に
ついて根拠に基づいて評価していく観点が欠かせない」ことを、病院関係者に対してより一層周
知徹底していくことが必要である(出所:林祐介(2021)「保証人代行団体と医療ソーシャルワー
カーの関わり方についての一考察」
『医療と福祉』55(1)
、49-56)。
5
臨床倫理委員会・コンサルテーションチームの設置・活用状況
臨床倫理委員会の設置状況は、「設置している」が 53.3%、
「設置していない」が 45.6%で、両
者の割合は拮抗していた。一方、臨床倫理コンサルテーションチームの設置状況は、「設置してい
る」が 22.8%、
「設置していない」が 75.5%であった。
臨床倫理委員会の活用状況を尋ねたところ、「とても活用している」と「やや活用している」を
合わせた割合は 3 割強であった。一方、臨床倫理コンサルテーションチームの活用状況について
は、「とても活用している」と「やや活用している」を合わせた割合は 5 割強であった。
つまり、臨床倫理委員会と臨床倫理コンサルテーションチームを比較した場合、設置率は臨床
倫理委員会が高いにもかかわらず、活用度は臨床倫理コンサルテーションチームが高いという点
は注目に値する。臨床倫理コンサルテーションチームは臨床倫理委員会の下部組織になることが
多いために、チームだけが単体で存在することは少ないと推察される。一方、臨床倫理コンサル
テーションチームの機動性の高さが、活用度の高さにつながっていることが考えられる。
クロス集計の結果からは、病床数や一般病床の有無と臨床倫理委員会・コンサルテーションチ
ームの設置状況が関連している可能性が示唆された。総じて病床規模が大きいほど、臨床倫理委
員会・コンサルテーションチームの設置率が高く、病床規模が小さいほど未設置率は高い傾向が
あり、規模の小さい病院では設置しづらい状況が読み取れた。加えて、「一般病床なし」群と比べ
て、「一般病床あり」群で臨床倫理委員会の設置率が高かった。そのため、病床規模だけでなく、
一般病床の有無にも着目する必要があるのかもしれない。一般病床には相対的により高度な治療
を要する患者が多く入院し、それに伴い治療方針に悩むケースの増加につながりやすく、そうし
た状況に対応するために設置率が上がっている可能性が考えられる。ただし、臨床倫理コンサル
テーションチームに含まれている職種について、「一般病床あり」群と比べてみると、「その他」
を除いて、どの職種も「一般病床なし」群で含まれている割合が高かった。10%ポイント以上差
があったのは、
「作業療法士」
「栄養士」
「ソーシャルワーカー」の 3 職種であり、臨床倫理コンサ
ルテーションチームに含まれている職種が多岐にわたっていることがうかがえた。
本調査では、臨床倫理委員会を設置していない理由も尋ねているが、「設置の必要性がないため」
という回答は 17.9%であった。同様に、臨床倫理コンサルテーションチームを設置していない理
由も尋ねているが、
「設置の必要性がないため」という回答は 16.6%であった。いずれも「設置の
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あり」群での割合が高くなっていることがうかがえた。
一方、「高齢者等終身サポート事業者との契約を条件に受け入れる」と答えた割合は、「一般病
床あり」では 4.2%であったのに対して、「一般病床なし」では 4.7%であった。一般病床の有無
にかかわらず、少数ではあるが、患者本人の意思決定が困難な場合原則的には利用できないとさ
れている「高齢者等終身サポート事業者との契約を条件に受け入れる」と答えている病院が存在
している実態が明らかになった。そのため、「契約能力が意思決定能力にある程度直結している
ことを踏まえると、クライエントの状況に即した意思決定を支援する上でも、本人の契約能力に
ついて根拠に基づいて評価していく観点が欠かせない」ことを、病院関係者に対してより一層周
知徹底していくことが必要である(出所:林祐介(2021)「保証人代行団体と医療ソーシャルワー
カーの関わり方についての一考察」
『医療と福祉』55(1)
、49-56)。
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臨床倫理委員会・コンサルテーションチームの設置・活用状況
臨床倫理委員会の設置状況は、「設置している」が 53.3%、
「設置していない」が 45.6%で、両
者の割合は拮抗していた。一方、臨床倫理コンサルテーションチームの設置状況は、「設置してい
る」が 22.8%、
「設置していない」が 75.5%であった。
臨床倫理委員会の活用状況を尋ねたところ、「とても活用している」と「やや活用している」を
合わせた割合は 3 割強であった。一方、臨床倫理コンサルテーションチームの活用状況について
は、「とても活用している」と「やや活用している」を合わせた割合は 5 割強であった。
つまり、臨床倫理委員会と臨床倫理コンサルテーションチームを比較した場合、設置率は臨床
倫理委員会が高いにもかかわらず、活用度は臨床倫理コンサルテーションチームが高いという点
は注目に値する。臨床倫理コンサルテーションチームは臨床倫理委員会の下部組織になることが
多いために、チームだけが単体で存在することは少ないと推察される。一方、臨床倫理コンサル
テーションチームの機動性の高さが、活用度の高さにつながっていることが考えられる。
クロス集計の結果からは、病床数や一般病床の有無と臨床倫理委員会・コンサルテーションチ
ームの設置状況が関連している可能性が示唆された。総じて病床規模が大きいほど、臨床倫理委
員会・コンサルテーションチームの設置率が高く、病床規模が小さいほど未設置率は高い傾向が
あり、規模の小さい病院では設置しづらい状況が読み取れた。加えて、「一般病床なし」群と比べ
て、「一般病床あり」群で臨床倫理委員会の設置率が高かった。そのため、病床規模だけでなく、
一般病床の有無にも着目する必要があるのかもしれない。一般病床には相対的により高度な治療
を要する患者が多く入院し、それに伴い治療方針に悩むケースの増加につながりやすく、そうし
た状況に対応するために設置率が上がっている可能性が考えられる。ただし、臨床倫理コンサル
テーションチームに含まれている職種について、「一般病床あり」群と比べてみると、「その他」
を除いて、どの職種も「一般病床なし」群で含まれている割合が高かった。10%ポイント以上差
があったのは、
「作業療法士」
「栄養士」
「ソーシャルワーカー」の 3 職種であり、臨床倫理コンサ
ルテーションチームに含まれている職種が多岐にわたっていることがうかがえた。
本調査では、臨床倫理委員会を設置していない理由も尋ねているが、「設置の必要性がないため」
という回答は 17.9%であった。同様に、臨床倫理コンサルテーションチームを設置していない理
由も尋ねているが、
「設置の必要性がないため」という回答は 16.6%であった。いずれも「設置の
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