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身寄りのない患者を取り巻く社会的課題についての研究 報告書 (49 ページ)

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出典情報 身寄りのない患者を取り巻く社会的課題についての研究 報告書(9/24)《日本医療ソーシャルワーカー協会》
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「存在する」割合は高くなっていた。「精神科病床あり」群は、「精神科病床なし」群と比較する
と、身寄りのない患者本人に代わって通帳・キャッシュカードを「保管・管理したことがある」
割合が高く、通帳・キャッシュカードの保管・管理については、「精神科病床あり」群で進んでい
ることが考えられる。



医療同意を得る理由

身寄りのない患者の医療同意を得る際に、10 年以上音信不通だった親族を呼び出している理由
を尋ねたところ、
「法的な有効性を確保するために」という回答が 46.7%で最多であった。本来こ
うした事例では、法的な有効性がないにもかかわらず、最も多くなっていたことには留意する必
要がある。
ただし、精神科病床では、医療保護入院で家族の同意が必要な場面があることから、精神科病
床の有無でクロス集計を行った。「精神科病床なし」群に限定しても、「法的な有効性を確保す
るために」の割合が 43.9%で最多であった。そのため、法的な有効性がないにもかかわらず、多
くの病院が 10 年以上音信不通だった親族を呼び出して、法的な有効性を確保するために医療同意
を得る慣習は、今後見直していく必要があると考える。



入院申込書における保証人の数と求めている理由

1,480 病院中 1,424 病院が、入院申込書の中で保証人の記入を求めていた。「2 人」以上求めて
いる病院の割合が 40.7%で、思いのほか「2 人」以上の割合が高かった。クロス集計の結果から
は、「一般病床あり」群と比べて、
「一般病床なし」群で「2 人」以上と答えている割合が高くな
っていた。
「一般病床なし」群で、より多くの保証人を求めている傾向がみられた。
入院申込書の中で保証人を求めている理由は、「入院費等の支払いが滞納になった時に備えて」
が 97.0%と最も高く、
「患者が急変・死亡した時に備えて」が 81.3%、「医療同意が必要になった
時に備えて」が 67.4%、
「退・転院に向けた手続きや準備が必要になった時に備えて」が 56.5%
であった。一方、「特に理由はない」はわずか 0.4%であった。入院費等の支払い、急変・死亡時
の対応、医療同意がベスト 3 になっており、これら 3 点にどう対応していくのかが、今後の重要課
題になってくると考える。



保証人がいないかつ意思決定が困難な患者の入院受け入れ

保証人がいないかつ意思決定が困難な患者の入院受け入れの相談があった場合の対応方法につ
いては、「無条件で受け入れる」という回答が 31.4%で最多であったが、「高齢者等終身サポート
事業者との契約を条件に受け入れる」という回答も 4.4%あった。
「無条件で受け入れる」かどうかという点は、救急医療機能を有する病院とそうでない病院で
は、回答に差があるのではないかと考え、回答病院の一般病床の有無と、保証人がいないかつ意
思決定が困難な患者の入院受け入れの相談があった場合の対応内容でクロス集計を行った。その
結果、「無条件で受け入れる」と答えた割合は、「一般病床あり」では 41.9%であったのに対して、
「一般病床なし」では 14.2%であった。救急医療の現場では、治療の必要性が最優先されること

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