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提案書08(1402頁~1600頁)医療技術評価・再評価提案書 (158 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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研究結果

日本における膝周囲骨切り術の基礎知識から実際の臨床における診断、手術の手技についての内容を、日本の膝周囲骨切り術の指導者
的立場の医師が編纂した教科書的指導書(【ゼロからはじめる! Knee Osteotomyアップデート(日本Knee Osteotomyフォーラム編著,
2018年, 全日本病院出版会)】)。④の根拠のみならず、膝周囲骨切り術についての最近の知見が、引用文献を含めた考察を含め、全て
網羅されている。
6

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
ガイドライン等での位置づけ

⑥普及性

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

変形性膝関節症診療ガイドライン 2023 策定組織【変形性膝関節症】診療ガ
イドライン(日本整形外科学会監修、日本整形外科学会診療ガイドライン委
員会( 変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会)編集、2023年5月発
行)、第 5 章 治療(手術療法)、6 .Background Question 11 変形性膝関
節症に膝周囲骨切り術は有用か、に掲載。

2,000
2,000

※患者数及び実施回数の推定根拠等

日本Knee Osteotomy and Joint Preservation研究会による全国症例数調査により令和4年で約2,000件。現在、増加中の手術であり、
手術件数の更なる増多は確実である。

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・位置づけ:【「寝たきりにならない人生」のみならず「生き生きとした人生」】、【いつまでも働けるからだ】を目指す健康寿命が
問われる現在、手術後の活動性に制限があり、愛護的な生活が強いられる人工膝関節手術とは異なり、自らの膝関節を温存し、高い活
動性が獲得できる脛骨近位骨切り術はこの10年で飛躍的に手術件数も伸びている。また、下肢の変形部位と程度を正確に評価できるよ
うになったため、大腿骨の変形にも正確な矯正骨切りが可能となった。そのため、本邦で最も多く行われている脛骨近位骨切り術だけ
でなく、大腿骨の変形矯正を行う大腿骨遠位骨切り術の適応が広がり、その成績も脛骨近位骨切り術も同等に良好と報告されるように
なり、その手術件数も年々広がっている。2023年5月発刊の【変形性膝関節症】診療ガイドライン(日本整形外科学会診療ガイドライン
委員会)でもその有効性が掲載されている。さらに、大腿骨遠位骨切り術と脛骨近位骨切り術は、全国規模の学会および世界の主要学
会でも主題となる位置づけとなり、2020年にはこれらの骨切り術の研究の推進と発展を目的とした日本Knee Osteotomy and Joint
Preservation研究会という専門の研究会が発足するに至った。難易度:大腿骨遠位骨切り術および脛骨近位骨切り術は患者個々の変形
状態および重症度により綿密な手術前計画が必要であり、手術方法も異なってくる。従って、大腿骨遠位骨切り術において、高い患者
満足度、長期にわたる良好な手術成績を獲得するには専門性の高い技術と経験を要する。日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会学術
集会では骨切り術のセミナーを毎年催行し、また、日本Knee Osteotomyフォーラム(2020年より日本Knee Osteotomy and Joint
Preservation研究会)では大腿骨遠位骨切り術を含む膝周囲骨切り術の教科書的指導書を刊行した。さらに、日本Knee Osteotomy and
Joint Preservation研究会では、大腿骨遠位骨切り術および脛骨近位骨切り術の発展および執刀医の養成を目的に、全国各地での研修
会・技術指導を行い、専門技術を教授し、執刀医を育成している。その結果、現在、大腿骨骨切り術の施行が可能な病院は飛躍的に増
加してきている。当該手術手技は外保連試案にも掲載され(試案コード:S94-0066530)、難易度もDとされている。実施にあたって
は、日本Knee Osteotomy and Joint preservation研究会の役員である大腿骨遠位骨切り術に熟練した医師が指導する学会、研究会、研
修会でのセミナーに参加し、大腿骨遠位骨切り術の知識および手術の研鑽を受けた医師が行うことが望ましい。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
整形外科医師が常勤し(標榜科:整形外科、関節外科)、大腿骨遠位骨切り術を施行する機材およびスタッフが揃う施設であれば手術
(標榜科、手術件数、検査や手術の体制 は可能である。
等)
人員として、執刀医師、助手の医師、直接および間接介助を行う手術場看護師、X線透視システムの制御を担当する放射線技師が必要で
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門性 ある。各職種とも経験年数は問わないが、執刀医は大腿骨遠位骨切り術の技術研修を受けた医師が必須であり、第一助手についても技
術研修を受けた医師が望ましい。
や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の要 特になし
件)

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

大腿骨遠位骨切り術に習熟している医師が在籍し、同手術に対する手術機材が充分に揃っていれば、一般の骨折手術と同様に安全性に
は問題がない。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

特になし


妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)

⑩希望する診療
報酬上の取扱い
その根拠

関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

72890
(ここから)外保連試案データ--------------------------外保連試案費用(人件費+償還できない材料等):728,996円
外保連試案2022掲載ページ:2024収載予定
外保連試案ID(連番):S94-0066530
技術度:D 医師(術者含む):3 看護師:2 その他:1 所要時間(分):180分
------------------------------------------------------------------(ここまで)
日本における40歳以上の変形性膝関節症患者数は2,530万人であり、有症状の患者数は780万人と推定されている(軟骨代謝研究の最前
線、吉村 典子、Clinical Calcium、2011年5月、21巻6号、821-825)。その有症状患者に対しては、まずは消炎鎮痛剤の内服、ヒアル
ロン酸の関節内注射やリハビリテーションを含めた通院治療が行われる。関節腔内注射の年間レセプト申請件数が約4,500万件(NDB
オープンデータ)であることから推察すると、一患者当たり複数回の通院治療が行われているものと考えられる。しかし、これらの保
存治療においても、変形性膝関節症の予防は困難であり、変形性膝関節症の診断から平均19.5か月で人工膝関節置換術を要すと報告さ
れている(Kevin L、The Journal of Arthroplasty、2016年1月、31巻8号、1667-1673)。人工膝関節置換術の年間レセプト申請件数は
約10万件である。(NDBオープンデータ)。それに対して、変形性膝関節症患者の下肢変形を矯正し、除痛と変形性関節症の予防を目指
す大腿骨遠位骨切り術および脛骨近位骨切り術は、比較的軽度の変形性膝関節症に適応となる関節温存手術である。下肢変形のうち、
脛骨に変形があれば脛骨近位骨切り術、大腿骨に変形があれば大腿骨遠位骨切り術が選択され、現在脛骨近位骨切り術のみが保険収載
されている。どちらも関節変形や破壊が進む前の変形性膝関節症患者に行う手術であり、将来の人工膝関節置換術を予防できる上に、
人工膝関節置換術前のヒアルロン酸の関節内注射などによる通院治療を減らすことができる。つまり、通院治療費および人工膝関節置
換術における高額な材料費の削減が期待できる。関節温存手術であり、術後に社会活動への復帰が高く、労働人口を減らさないため
に、社会的な貢献度が高いこともメリットである。また、人工関節置換術後の耐久性や感染による高額な人工関節再置換術や人工関節
抜去手術も必要もない。一方、大腿骨遠位骨切り術および脛骨近位骨切り術では人工関節置換術に用いられるようなナビゲーションシ
ステムによる手術を援助する手段がなく、患者個々の変形に応じた緻密な手術計画が必要で、あらゆる変形に対応できる術式に精通
し、そのスキルを身に着ける必要がある。具体的には、術前の手術計画のために高額な術前計画ソフト(参考;mediCAD 200~300万円
程度の導入費用)が必要で、1患者あたり術前に2時間程度の手術計画時間を要する。さらに、執刀医や手術助手に関しては、あらゆる
術式に精通するための研修とスキルの獲得に多くの時間と研修費用が必要である。さらには、人工関節置換術と異なり手術中に手術医
師、麻酔科医師、看護師、技師すべてが放射線に被爆するリスクもある。特に大腿骨遠位骨切り術では、脛骨近位骨切り術と比べ、手
術手技が難しく、膝窩部神経動脈損傷や術中骨折などの重篤合併症の危険性も高い。合併症が起きた場合には手術材料である大腿骨プ
レートを内外側より2つ使用する必要もある。そのために、大腿骨遠位骨切り術では多くの時間(脛骨近位骨切り術150分、大腿骨近位
骨切り術180分)を要し、放射線被爆のリスクも増加する。以上より、大腿骨遠位骨切り術では外保連手術試案通りの診療報酬が妥当で
ある。

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