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提案書08(1402頁~1600頁)医療技術評価・再評価提案書 (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

305101
開腹を伴う門脈塞栓術
日本インターベンショナルラジオロジー学会
28放射線科

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

18消化器外科
関連する診療科(2つまで)
04消化器内科

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無



過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年度)
「実績あり」の
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する

リストから選択

該当なし



追加のエビデンスの有無

提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 191
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)

門脈塞栓術は術後の肝不全発生を予防する目的で、切除予定肝の門脈枝をあらかじめ塞栓し、残肝の容積を増大させる術前処
置である。
門脈塞栓術には経皮的に肝臓を穿刺して、門脈内にカテーテルを留置して塞栓術を施行する経皮的な手法と、全身麻酔下にて
開腹術を行い、門脈に流入する支脈(分枝)にカテーテルを留置して塞栓術を施行する、開腹を伴う手法に大別される。今回は
開腹を伴う門脈塞栓術を提案する。
切除率50-60%以上の肝切除を予定する肝悪性腫瘍の患者
門脈塞栓術は一般に経皮的な手法が選択されるが、胆管拡張のある症例、腹水のある症例、腫瘍による門脈狭窄のある症例な
ど、経皮的な手法では塞栓術が難しいような場合には開腹術による手法が選択される。開腹を伴う門脈塞栓術は経皮経肝的な
手技と同等の有用性があると考えられている。開腹術を伴う門脈塞栓術は経皮経肝的な手技よりも手術室の使用時間がかか
り、人件費も多く必要となる。しかしながら本手技は現在保険収載されておらず、普及が妨げられている。今後肝悪性腫瘍の
患者がより安全な手術を受けられるようになるために、保険収載が必要である。

文字数: 259
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

本手法は、切除率50-60%以上の肝切除を予定する肝悪性腫瘍の患者に対して、肝切除術の術前に施行される。

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

全身麻酔下に開腹術を行い、門脈に到達するための支脈(分枝)を露出させる。露出血管としては主に回結腸静脈や臍静脈など
が使用される。静脈内にカテーテルを留置する。X線透視下にてカテーテルを門脈内に進め、切除する予定の範囲の肝内門脈
を塞栓物質を用いて閉塞させる。通常手技は肝切除術前に1回のみ施行される。手術後2-4週間後程度に肝切除術が施行され
る。

③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)

区分



番号
医療技術名

615
血管塞栓術

既存の治療法・検査法等の内容

経皮経肝的な門脈塞栓術では局所麻酔下にて経皮的に肝臓を穿刺し、X線透視下にて門脈にカテーテルを留置する。切除する
予定の範囲の肝内門脈を塞栓物質を用いて閉塞させる。

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

肝悪性腫瘍に対する肝切除術では、術後の肝不全を回避するためには十分な残肝容積が必要であり、門脈塞栓術はおおよそ
10%程度残肝容積を上昇させる。
門脈塞栓術は一般的に経皮経肝的な手技がまず選択されている。開腹を伴う門脈塞栓術は全身麻酔が必要であり、胆管拡張の
ある症例や腹水のある症例のように経皮経肝的な手技のリスクが高い場合や、門脈の塞栓経路に腫瘍がある場合や肥満などの
理由により経皮経肝的な手技が難しい場合にのみ経皮経肝的な手技の代替として選択されている。
開腹を伴う門脈塞栓術は、経皮経肝的な手技によりも残肝容積の増加に劣るが、門脈塞栓術後に切除を受けることのできる患
者の割合では経皮経肝的な手技より優れている。また合併症率に関しても経皮経肝的な手技に比して少ない。経皮経肝的な手
技と比較して同等程度の有用性はあると考えられる。

肝悪性腫瘍に対する肝切除術では、術後の肝不全を回避するためには十分な残肝容積が必要であり、門脈塞栓術はおおよそ
10%程度残肝容積を上昇させる(Journal of Cancer, 2021, 1770-1778) 。
44文献1,791例のシステマティックレビューでは門脈塞栓術による死亡例は2例報告されている。1例は胆管拡張のある症例に
対して経皮経肝的な手技を施行したところ敗血症性ショックにより術後39日で死亡した(CVIR, 2013, 25-34)。
メタアナリシスにて経皮経肝門脈塞栓術と開腹を伴う門脈塞栓術を比較した検討では、残肝容積の増加は、開腹群よりも経皮
経肝群で有意に大きかった (11.9% 対 9.7%; P = 0.00001)。 しかし、門脈塞栓術後に切除を受けることができた患者の割合
は、開腹群で 97%、経皮経肝群で 88%と、有意に開腹群で多かった (P = <0.00001)。 門脈塞栓術後に重大な合併症を起こし
た患者に有意差はなかったが、軽度の合併症の発生率は、経皮経肝的な塞栓術の方が有意に高かった (53.6% 対 0%、P =
<0.0001)(Annals of Surgery, 2008, 49-57)。
2a

ガイドライン等での位置づけ

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

1412

エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン改訂第3版において
術前門脈塞栓術は切除率50-60%以上の肝切除を予定する胆道癌に
行うことを提案する。推奨度2(レベルC)とされている。