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参考資料2 (16 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html
出典情報 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》
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大企業支援のあり方Ⅰ

資料Ⅲ-2-5

○ 大企業は、中堅企業に増して資本基盤は強固であり、ノウハウも存在することから、中小企業と同様の理由で支援を行う妥当性
はない。また、産業政策の失敗は数多くあるとされており、我が国でも過去、特定産業に対して大企業も含む支援を行ったものの、
プロジェクトは失敗し、期待された成果を上げられなかった事例が存在。

○ こうした中、最近の研究では、産業政策について、①妥当性、②制度設計、③費用便益分析、④実効性、の観点からの評価が
重要であるとの指摘がある。また、産業政策が有効たり得るのは、脱炭素分野のような明らかに外部性が特定される分野や、半導
体分野のように国内に与える波及効果が大きい分野に限られると指摘されている。
◆過去の特定産業に対する支援の例

◆産業政策評価のフレームワーク



1.妥当性(Justification)
● 目的は何か、政府が介入すべきケースなのか
✓ 負の外部性等の市場の失敗の有無

三菱リージョナルジェット(MRJ)
・ 我が国単独の完成旅客機開発の事業化を目指し、民間事業
者による研究開発等を後押し。
・ 2003年以降、2010年代半ばまで、合計で約500億円の補助金
を累次にわたり交付。
・ しかし、設計変更等のため、当初は2013年の就航を目指し
ていた計画は大幅に後ろ倒れ、また最後まで米欧等の市場国
における安全認証の見通しが立たなかったことを受け、開発
中止に至った。
(注)経済産業省は、開発中止に至った要因について、①安全認証プロセス
の理解・経験不足、②海外サプライヤー対応の経験不足、③市場環境、
④政府の支援・取組の在り方、の四点が複合的に作用した結果であると
指摘している(2024年4月「航空機産業戦略」)。



第五世代コンピュータプロジェクト
・ 「独創的な国産コンピュータ技術の開発を行って諸外国に
対抗」するべく、産官学で立ち上げられたコンソーシアムに
おいて研究を実施。
・ 1982年から1992年にかけて、約540億円の予算を措置。
・ しかし、多様な研究者の参画に至らなかったこと、企業の
コミットメントや資金拠出も促進されなかったことで、競合
する技術の開発スピードに劣後し、製品化には結びつかない
まま事業は終了。

2.制度設計(Design)
● 補助金・金融支援、制度面の対応等、手法は最適か
● 専門家によるプロジェクト選定、定期的なモニタリングやレビューといった、
透明性のある仕組みを導入しているか
● 民間部門の役割は明確か、過去の教訓を踏まえているか
3.費用便益分析(Cost Benefit Analysis)
● 期待される利益は、コストやリスクを上回っているか
4.実効性(Implementation)
● 財政の持続可能性等と整合的か
(出所)IMF 「Industrial Policy Coverage in IMF Surveillance – Broad Considerations」 (2024年2月),
OECD「An Industrial Policy Framework for OECD Countries」(2022年5月)

○ 産業政策は、以下のような場合に限って有効
- 温室効果ガス排出削減のように、政策によって改善される負の外部性
が明らかに特定される
- 半導体分野のように、対象セクターでのイノベーションが、国内に与える
波及効果が大きい
(出所) IMF Fiscal Monitor (2024年4月),
IMF 「Industrial Policy Is Not a Magic Cure for Slow Growth」 (2024年4月)