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提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (68 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

「脊髄損傷における下部尿路機能障害の診療ガイドライン [2019年版] (参考文献1)」において、間歇的導尿中の症候性尿路感染は0.41回/100人
日とされている。ガイドラインでは、これ以外の合併症は稀であると記載されているが、男性においては尿道狭窄や偽尿道形成を生じる場合があ
る。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

清潔間欠導尿は、患者の排尿自立を達成でき、個人の尊厳を維持する上で倫理的にも重要である。清潔間欠導尿は、1970年代に、米国の泌尿器科
医ジャック・ラピデスが、その有効性・安全性を報告して以来、自排尿による尿路管理法では腎障害や症候性尿路感染のリスクが高い患者に対す
る第一選択の尿路管理法として定着している。なお、日本脊髄障害医学会は、患者団体より、入院中から高機能カテーテルが公平公正に使用でき
る環境を整えるための働きかけを行うことを強く求められてきた。病院の経営状況によって、高機能カテーテルへのアクセスの可否が決まってし
まう現状は、障害者の権利に関する条約の第25条が締結国に求めている、「障害者が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受す
る権利を有することを認める」の理念に反していると考えられる。患者団体の見解としては、患者が在宅自己導尿に用いるカテーテルは、患者の
カテーテルに対する慣れや安心感のために、入院中に使用されたカテーテルが引き続き使用されることが多く、入院中に高機能カテーテルにアク
セスできない場合、外来受診時に医療従事者から高機能カテーテルの使用を勧められたとしても患者としては容易には受け入れられないのが実情
とのことである。

見直し前

間欠的導尿 (1日につき) (150点)

見直し後

間欠的導尿 (1日につき, 150点) + 高機能カテーテル加算 (親水性, 60本未満, 30点) = 180点
間欠的導尿 (1日につき, 150点) + 高機能カテーテル加算 (親水性, 60本以上, 60点) = 210点
間欠的導尿 (1日につき, 150点) + 高機能カテーテル加算 (親水性, 90本以上, 65点) = 215点
間欠的導尿 (1日につき, 150点) + 高機能カテーテル加算 (親水性, 120本以上, 70点) = 220点
月1回限り、高機能カテーテル加算 (間欠式バルーンカテーテル, 1,000点) の算定を認めるが親水性カテーテルと間欠式バルーンカテーテルの同
一日の算定は認めない。

その根拠

高機能カテーテルに該当する特殊カテーテル加算 (C163)は、親水性コーティングを有するディスポーザブルカテーテル (60本未満: 1,000点、60
本以上: 1,700点、90本以上: 1,900点、120本以上: 2,100点)、間歇バルーンカテーテル (1,000点)である。親水性は、これを30日で除して点数
を算出し、間欠式バルーンカテーテルは月1回に限り同一点数で算定することとした。なお、外保連試案T62-07090-07-59の「間歇的導尿 (1日に
つき)」の費用計8,857円から考えても妥当な数値と判断される。

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

区分

なし

区分をリストから選択

番号
技術名

なし
なし

具体的な内容

なし
減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

1,078,947,415円

その根拠

医療経済的な影響の推計においては、普及性の影響を最も受ける脊髄障害患者を想定し、外来移行後のCICによる尿路感染症の減少効果も考慮
し、医療費への影響を推計した。
①【予想される当該技術に係る医療費の増額(入院期間中):1,021,044,100円((1)+(2)+(3)】
(1)J065間歇的導尿(1日につき):1500円×(621,135回-99,672回)=782,194,500円
(2)高機能カテーテル加算(親水性コーティングカテーテル):310,728回×700円(最大要望点数で試算)=217,509,600円
(3)高機能カテーテル加算(間歇バルーンカテーテル):2,134回×10,000円=21,340,000円
②【材料加算が設定されることによる医療費の削減額(入院期間中):2,099,991,515円((4)+(5))】
(4)親水性コーティングカテーテルによる尿路感染削減額 95,199,317円
親水性コーティングカテーテルは、非親水性コーティングカテーテルに比して、尿路感染症の発生率を22%低下させることが示されている。入院
期間中の尿路感染発生回数は、非親水性コーティングカテーテルの尿路感染症発生率について0.295回/月という報告があり
(Cardenas.et.al)、尿道留置カテーテル抜去後、退院までの在院日数である321日あたりに換算すると、尿路感染は3.15回発生すると推計され
る。入院期間中における尿路感染症 1回発生あたり医療費 は141,914円 (Watanabe et al. 2015)であるため、尿路感染に対する削減額は、968人
×3.15回(尿路感染発生回数)×22%(非親水性コーティングカテーテルによる尿路感染症の削減率)×141,914円(尿路感染治療費)=
95,199,317円と推定される。
(5)導尿時間短縮による人件費削減額 2,004,792,198円
脊髄障害患者に対する間歇導尿に要する処置時間は術者医師1名の関与時間が60分/日、協力看護師1名の関与時間が120分/日(外保連試案 (T6207091-07-59、1日6回の処置回数)) とされている。親水性コーティングカテーテルは、開封後にすぐ使え、導尿に関する手順が少なくなるため
に1回あたりの導尿処置時間が2.9分短縮される (嘉手川ら,日排尿会誌,30 巻,2号,2019 年:375〜380)。このため、外保連試案 (T62-07091-0759) に基づくと以下の人件費削減効果が期待できる: 2.9分×6回/日(処置回数)×310,728回×(322円/分(外保連試案:医師人件費)+48.8円
/分(外保連試案:看護師人件費)) =2,004,792,198円
【予想される当該技術に係る医療費の増額と材料加算が設定されることによる医療費の削減額に対する予算影響額の合計:-1,078,947,415円(①
-②)】

備考

在宅自己導尿指導管理料の改正による「高機能カテーテル加算」要望の際に費用対効果 (Watanabe T, et al. Low Urin Tract Symptoms.
2017;9:142-150) が検討されており、高機能カテーテル加算を1ヶ月当たり16,000円とした場合、増分費用対効果比は370万円/QALYとなり、わが
国における支払意思額である500-670万円/QALYを下回った。

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

なし

⑫その他
⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

なし
特になし

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