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提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (129 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険既収載技術用)
整理番号

298202

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

認知機能検査その他の心理検査
日本てんかん学会
12神経内科

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

22小児科
関連する診療科(2つまで)
29脳神経外科

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無



過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する

提案当時の医療技術名

令和4年度

認知機能検査その他の心理検査



追加のエビデンスの有無



診療報酬区分
診療報酬番号

再評価区分(複数選択可)

285
1-A

算定要件の見直し(適応)

該当する場合、リストから○を選択

1-B

算定要件の見直し(施設基準)

該当する場合、リストから○を選択

1-C

算定要件の見直し(回数制限)

2-A

点数の見直し(増点)

該当する場合、リストから○を選択

2-B

点数の見直し(減点)

該当する場合、リストから○を選択



項目設定の見直し

該当する場合、リストから○を選択



保険収載の廃止

該当する場合、リストから○を選択



新規特定保険医療材料等に係る点数

該当する場合、リストから○を選択



その他(1~5のいずれも該当しない)

該当する場合、リストから○を選択

「6
提案される医療技術の概要(200字以内)



その他」を選んだ場合、右欄に記載

D285「認知機能検査その他の心理検査」には「1操作が容易」、「2操作が複雑」、「3操作と処理が極めて複雑」の3つのカテゴリーがある。通則
「同一日に複数の検査を行った場合であっても、主たるもの1種類のみの算定」による算定制限を緩和し、厚労省てんかん支援拠点病院のてんか
ん外科術前検査の場合に限定して、多面的な認知機能検査を術前に可能にし、複雑な神経心理検査のできる人材育成を可能にする。

文字数: 193

再評価が必要な理由

・てんかん切除外科の一つである左側頭葉切除では、術後に重度の言語記憶障害が22-63%に、言語表出の障害が29-54%に起こっている(参考文
献1)。言語記憶障害は術前の言語記憶が優れる症例、切除範囲が広い症例、MRI病変がない症例、発病年齢が遅い症例で出現しやすいとされてい
る。術後の言語表出の障害は、術前の物品呼称能力の優れる症例、MRI病変のない症例に多く出現するとされている。右側頭葉切除では、重度の
言語記憶障害が10-34%に、視覚記憶の障害が6-32%に術後に出現している(参考文献1)。視覚記憶障害は術前の視覚記憶が優れる症例、切除範
囲が広い症例で、術後出現しやすいとされている(参考文献1)。言語表出の障害は、術前の物品呼称能力の優れる症例、MRI病変のない症例で、
術後出現しやすいとされている。術後の言語記憶は、術前の言語記憶、視覚空間記憶指数と有意な関連が報告されており(参考文献2)、術前に
これらの記憶指数を多面的に検査して、これらが低下する前に行うのが理想である。
・前頭葉切除では術前の実行機能が優れる症例、術前にうつ状態のある症例で術後の実行機能障害が強いとされている(参考文献1)。
・このように、てんかん外科切除術では高頻度に術後認知機能障害が起こっており、てんかん外科術前検討の中で、術前に切除部位の機能を詳細
に把握し、年齢等も考慮し、切除範囲等を慎重に検討して、より後遺症の少ない手術を計画する必要がある。特に、MRI病変がなく、発作時脳波
や機能画像のみで切除範囲を決める際には、術前認知機能検査を慎重に行い、切除範囲を決めることで、術後認知機能障害を緩和できる。術後の
高次脳機能障害はいったん発生すると永続性の障害となり、就労困難となるのみならず、リハビリ、障害者年金等の社会福祉予算の増大をもたら
す。
・脳機能局在を考慮した複雑な認知機能検査は1時間以上を要すること、担当できる専門的な知識を有する心理士が不足していること、さらに、
認知機能検査が保険で十分算定されず、経営的な理由から十分な数の心理士を採用できない等の理由で、術前認知機能検査は十分行えていないの
が現状である。
・また、十分に検査を行っている施設においても、算定制限があることから全てを保険請求せず、心理検査収益では心理士の人件費を賄えず、複
雑な検査を行える神経心理士の雇用は進まず、少数の神経心理士の超過勤務をもたらしており、その技術の伝承も困難な状況となっている。

【評価項目】

①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)

D285「認知機能検査その他の心理検査」には3つのカテゴリーがあり、保険点数は「1 操作が容易なもの」:80点、「2 操作が複雑なもの」:
280点、「3 操作と処理が極めて複雑なもの」:450点となっているが、点数や、該当する検査項目は変更せず、「同一日に複数の検査を行った
場合であっても、各カテゴリーの中で主たるもの1種類のみの所定点数により算定する。」という通則を緩和し、厚労省指定のてんかん支援拠点
病院におけるてんかん外科術前検査に限って、同一月内に「1」「2」「3」からそれぞれ3つの検査項目までの算定を認めることとする。
ヨーロッパのてんかん外科術前検査の調査では、知能検査以外の認知機能として、①非言語性記憶ではRey-Osterrieth Complex Figure Test
(ROCFT)、DCS-R、ベントン視覚記銘検査が行われ、②言語性記憶検査ではRey Auditory Verbal Learning Test (RAVLT)、Logical Memory
subtest of the Wechsler Memory Scale (WMS-R)が行われ、③短期記憶やワーキングメモリー検査にはDigit Span and Corsi Block-Tapping
testが行われている(参考文献2) 。④注意機能検査としてはTrail Making Test (TMT)、letter cancellation test D2が行われている。⑤実
行機能検査ではStroop test またはWisconsin Card Sorting Test (WCST)、the Developmental Neuropsychological Assessment (NEPSY)の一部
が行われ、⑥言語機能検査としてはBoston Naming Test、言語流暢性検査、token testが行われている(参考文献3)。
静岡てんかん・神経医療センターでは、 「1 操作が容易なもの」として、MMSE(高齢者)、前頭葉評価バッテリー(高齢者)、ストループテス
トをルチーンに来なっているが、ストループテストのみ通常保険適応として認められている。「2 操作が複雑なもの」として、ベントン視覚記
銘検査、三宅式記銘力検査、標準言語性対連合学習検査(S-PA)、WCST、ROCFTをルチーンに行っているが、ベントン視覚記銘検査、三宅式記銘
力検査はほぼ算定困難(査定)となっている。「3 操作と処理が極めて複雑なもの」として、標準高次動作性検査、標準高次視知覚検査、標準
注意検査法・標準意欲検査法、WMS-R、DN-CAS認知評価システムを行っているが、WMS-Rのみ認められることが多い。その結果、1症例あたり「1」
160点、「2」560点、「3」1800点、合計2520点が査定されてしまっている。

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