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参考資料2 (56 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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薬剤費の適正化⑦(薬剤費総額に係るマクロ経済スライド制度の検討)資料Ⅱ-1-56
〇 薬剤費総額については、既に述べたとおり、薬価改定が行われなかった場合の年平均5%程度の伸び率を薬価改定により年平均伸び率2%弱まで調整しており、薬剤費の適正
化は一定の成果を挙げていると見ることもできる。
〇 しかし、あくまで事後的なものに過ぎない。事前の財政規律が設けられておらず、新規医薬品の保険収載などが事前の予算統制の埒外となっていることは、財政の予見可能性が
乏しいと言わざるを得ない。
〇 他方、真にイノベーティブな新薬等についてまで薬価改定が行われることについては、改定ルールの頻繁な変更と相俟って、イノベーションを阻害するとの指摘がある。
〇 そこで、真にイノベーティブな新薬等については薬価を一定期間維持することとしつつ、事前の財政規律として薬剤給付費の伸び率が経済成長率と乖離しないといった薬剤費
総額に係るルールを設け、その実効性を担保するために他の医薬品薬価改定率を調整するマクロ経済スライド制度を導入すべきとの考え方が生まれる。
賦課方式をとる我が国の社会保険制度のもとで、生産年齢人口が急減していくことを踏まえれば、現役世代の負担能力を重視し、給付費の伸びと経済成長率の整合性をとって
いくことには一定の合理性がある。
(注)薬価改定率の調整に当たっては、現行の調整幅の水準を調整していくことが考えられる。
〇 このようにして安定的に保証された医薬品市場の伸びの中でこそ、いかに薬剤費をイノベーションの推進に振り向けていくかという観点から、薬価算定方式の透明性・予見可能性の
向上を図っていくことなどに傾注していくことが可能となる。
〇 以上の提案の成否は、
①一定期間価格維持を図っていくべき医薬品とそれ以外の医薬品の線引きをどうするか、前者について真にイノベーティブな医薬品等に限定できるか、
②規律のメルクマールとする経済成長率を実績と乖離しない堅実なものとできるか
などによっても大きく左右される。
〇 いずれにせよ、こうした薬剤費総額に係る事前の財政規律の導入とその実効性を担保する具体的な仕組みづくりが実現しない場合には、市場拡大再算定を始めとする現行の
薬価改定ルールに基づく適正化の徹底を図っていくより他はない。
〇 既に民間団体から具体的な提案もなされており、関係者において建設的な議論が進展することを期待したい。
◆新時代戦略研究所(INES)「中長期的な経済成長の水準と連動した薬剤費総枠マネジメントとイノベーティブな医薬品の適正評価を両立させた薬価制度改革案」(2021年5月)