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参考資料2 (49 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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薬剤費の適正化①(薬価改定と薬剤費総額)

資料Ⅱ-1-49

〇 薬価等改定率は、令和4年度▲1.37%となるなど、連年「マイナス」となっているが、既存医薬品の薬価は下がったとしても、薬剤使用量の増加や新規医薬品の保険収載により、薬剤費
総額は年平均伸び率2%弱と増加しており、医薬品市場は経済成長率を上回るの伸張を確保できてきた。他方で、薬価改定が行われなかった場合の薬剤費総額の年平均の伸び率は
5%程度と推計されている。この薬価改定による年平均伸び率2%弱への調整を「マイナス改定」と呼ぶことで、薬剤費総額や医薬品市場の規模への影響が誇張されることは適当でない。
あくまで薬価改定を経た後の薬剤費総額の伸びが適正な水準か否か、冷静な議論が求められる。
まして、新型コロナ禍では、先に述べたとおり、ワクチンを含む医薬品市場に対し、「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に沿ったものを始め、多額の予算が計上されていることに留意すべきで
ある。
〇 既存医薬品の薬価下落に伴う薬価改定にかかわらず、薬剤費が増加する背景として新規医薬品の保険収載がある。すなわち、新規医薬品については、年4回、薬事承認が行われたも
のは事実上全て収載されており、年度途中の保険収載により生ずる財政影響は勘案されていない。この結果、事前の予算統制の埒外となり、財政の予見可能性が失われている。

2010年(H22年)比(%)

160
150
140

薬価改定を行わなかった場合の
薬剤費(国民医療費ベース)の推計
平均伸び率+5.2%

128.0

130
120
110
100
90
80
70
60
新規収載
(品目ベース)

改定率(%)

◆欧州における薬剤予算制度の例

114.6

119.5

136.7
121.3

139.6

117.0

113.6
107.1
107.7 112.3
107.1 107.9
100.0
103.7
101.5
98.9
100.0
99.0
94.0 94.0 91.5
91.5
86.4

143.2

120.1

150.2

国の総予算制[Global Budget]

実際の薬剤費総額(国
民医療費ベース)の伸び
平均伸び率+1.9%

116.6

110.1 110.2
名目GDPの伸び
平均伸び率+1.2%

86.4
79.9

既存薬価の改定率(薬剤費ベース)
平均下落率▲2.9%

78.0

74.6

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

112

61

88

69

124

70

108

55

96

54

63

▲7.48

▲4.35
(10/1~)
このほか消
費税対応分
+1.95

▲5.75

▲6.00

▲5.57

ギリシャ、
ポルトガル、
スペイン

総医療費を基準として設定

イタリア

一定の伸び率で設定

イギリス

マクロ経済基準に基づき設定

フランス

地方政府の予算制[Regional Budget]

2010

▲5.64
このほか消
費税対応
分+2.99

GDP又はGDP成長率で設定

過去実績や人口に基づく地域ごとの割当

処方予算制[Prescribing Budget]
医師に対して処方すべき予算額を割当

▲4.38

※1 2021年8月4日 中央社会保険医療協議会薬価専門部会資料、内閣府「国民経済計算年次推計」を基に作成。
※2 2010年を100とした指数で、当該年度の変動率及び改定率を前年度の指数に乗じたもの。
※3 薬価改定を行わなかった場合の薬剤費の推計は、薬剤費ベースの薬価改定率を基に算出した改定影響額なかりせばの薬剤費の推計。

イタリア、スペイ


ドイツ

⇒例えば基準超過分を産業に支払わせるなど、多くの国に
おいては、払戻制(Payback System)を設けている
(出所)“Do pharmaceutical budgets deliver financial sustainability in healthcare?
Evidence from Europe” Mackenzie Mills, Panos Kanavos(2020)を元に作成