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提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (81 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

●対象とする患者:(1) 術後縫合創に使用した場合(2)区分番号「A301」 特定集中治療室管理料、区分番号「A301-3」 脳卒中ケアユニット入院医療管理料、区分
番号「A301-4」 小児特定集中治療室管理料、区分番号「A302」 新生児特定集中治療室管理料又は区分番号「A303」 総合周産期特定集中治療室管理料を算定する患者
であって、次に掲げる患者に対して使用した場合。(ア)BMIが30以上の肥満症の患者 (イ)糖尿病患者のうち、ヘモグロビンA1c(HbA1c)がJDS値で 6.6%以上(NG
SP値で 7.0%以上)の者 (ウ)ステロイド療法を受けている患者 (エ)慢性維持透析患者 (オ)免疫不全状態にある患者 (カ)低栄養状態にある患者 (キ)
創傷治癒遅延をもたらす皮膚疾患又は皮膚の血流障害を有する患者 (ク)手術の既往がある者に対して、同一部位に再手術を行う患者。
●医療技術の内容:滲出液を持続的に吸引し切開創手術部位感染のリスクを低減させる目的のみ局所陰圧閉鎖処置用材料を用いて行う。
●点数や算定の留意事項:上記(2)以外の患者に対して当該機器を使用した場合は、当該機器に係る費用はそれぞれの手術の所定点数に含まれ、本加算は算定できな
い。
製品の薬事承認の内容によって、K939-9 切開創局所陰圧閉鎖処置機器加算1)と特定保険医療材料2)の2種の算定方法がある。
1)K939-9 切開創局所陰圧閉鎖処置機器加算の対象は、『通知(1)切開創局所陰圧閉鎖処置機器加算は、滲出液を持続的に除去し、切開創手術部位感染のリスクを低
減させる目的のみで薬事承認を得ている医療機器を、術後縫合創に対して使用した場合に算定する』となっている。
2)特定保険医療材料 159 局所陰圧閉鎖処置用材料 180 陰圧創傷治療用カートリッジの内、切開創手術部位感染のリスクを低減させる目的で使用した場合も、上記
対象とする患者の(1)術後縫合創に使用した場合(2)管理料要件及び患者要件に合致した場合は、特定保健医療材料が算定可能となっている。



診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

K939-9

医療技術名

切開創局所陰圧閉鎖処置機器加算
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 術後のSSI発生リスクが高い患者に対しciNPTを使用することで、SSI発生率の低減、入院期間の短縮、創部合併症(創部離開、漿液腫、血腫)発生率の減少が期待され
る。また、SSI発生により重篤化する患者においてはciNPTを使用することで前述に加え、派生疾患の羅患率及び死亡率の減少が期待される。
後等のアウトカム

WHOによるGlobal guidelines for the prevention of surgical site infection, 2nd ed等、多数の国際的なガ
イドラインに記述があるため、最新のガイドラインを代表例として以下を記載する。

③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

Prevention of Surgical Site Infections After Major Extremity Trauma: Evidence-Based Clinical Practice
Guideline (四肢外傷後の手術部位感染の予防:エビデンスに基づく臨床診療ガイドライン The American
4*)
Academy of Orthopedic Surgeons アメリカ整形外科学会)
深部切開縫合創SSIのリスクを軽減するために、ハイリスクの外科的切開術 には切開陰圧創傷療法を使用するこ
とを進める。 推奨度: Limited エビデンスの質 Limited

令和3年(2021年)3月1日にciNPT専用機器に対して診療報酬が適応となったが、まだ本邦での診療報酬上での使用実績データは無い(社会医療診療行為別統計データ等
に存在しない)ことから、以下の方法で推定した。
3*)

●術後にICUに入室した患者:康永らによると 、2015年1月1日から2018年12月31日までの期間、厚生労働科学研究DPCデータ研究班データベースに含まれるICU
入院患者は、延べ5,341ICU病床の495病院に入院した1,379,618人であり、この数字は、全国のICU病床の約75%をカバーしている。つまり、1年間に全国でICUに入院し
3*)
た患者は(1,379,618人/75%)/4年=459,873人と推定できる。また、康永らによると ICU入院患者の入室経路は、待機的手術後39%、緊急手術後13%、および非外科的
治療後47%である。外科的手術後にICUに入室した、推定症例数は459,873人*52%(待機的手術後39%+緊急手術後13%)=239,133人(①)となる。

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

●術後にHCUに入室した患者:康永ら3)によると、2015年1月1日から2018年12月31日までの期間、厚生労働科学研究DPCデータ研究班データベースに含まれるHCU
入院患者は、延べ7,161HCU病床の513病院に入院した1,536,800人であり、この数字は、全国のHCU病床の約70%をカバーしている。つまり、1年間に全国でHCUに入院し
3*)
た患者は(1,536,800人/70%)/4年=548,857人と推定できる。また、康永ら によるとHCU入院患者の入室経路は、待機的手術後18%、緊急手術後9%、および非外科的
治療後73%である。外科的手術後にHCUに入室した、推定症例数は548,857人*27%(待機的手術後18%+緊急手術後9%)=148,191人(②)となる。
●SSI発生リスクの高い患者総数(病床を問わない):JANISデータよりSSI発生リスクの高い患者を算出するため、内視鏡手術を除いたリスクインデックス2以上を
ciNPTの対象となるSSIハイリスク症例と定義した。JANIS2019年データ(COVID-19の影響がない年を参照するため)のSSIハイリスク該当症例は、16,996件であった。こ
れを全国数値で算出するため、虫垂炎手術によるデータを元にJANISと全国数値の悉皆性を確認した。JANIS2019年データでは虫垂炎手術14,113例からSSI発生率を算出
しており、2019年NDB公開データでは55,812例に対して虫垂炎手術が施行されているため、データの悉皆性は25.3%、悉皆率3.955である。そのことから、16,996件×悉
皆率3.955=67,219例が推定SSIハイリスク症例数として算出した。
●見直し前の症例数:外科的手術後にICUまたはHCUに入室した患者は、①+②であると推測できるため、239,134人(61.7%)+148,191人(38.3%)=387,325人(100%)で
あると定義できる。これより、リスクインデックス2以上に相当するSSI発生リスクの高い患者67,213症例は非常にハイリスクな患者であるため、ICUまたはHCUに入室し
ていると仮定し、内61.7%にあたる41,470人はICUに入室しているため保険適用症例となるが、25,743人(38.3%)はHCUに入室しているため、現状は保険適用外となっ
ていると推測した。

見直し前の症例数(人)

41,470人

見直し後の症例数(人)

67,219人

見直し前の回数(回)

41,470回

見直し後の回数(回)

67,219回

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

切開部陰圧閉鎖法は創部を密閉し陰圧を付加するため、出血のリスクや感染のリスクがある。そのため、適応対象を把握し創傷の評価に精通した医師による使用が望ま
しい。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 手術設備を有する医療機関であること(手術室で使用するため)。
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 ハイケアユニット入院医療管理料1または2の基準を満たす。
性や経験年数等)
その他
「切開創SSIに対するNPWT機器の適正使用にかかる提言」・この提言は薬事承認の条件であり添付文書にも、本品の適応に関しては、関連諸学会の協力のもと日本外科
(遵守すべきガイドライン等その他の 感染症学会が作成した、「切開創SSIに対するNPWT機器の適正使用にかかる提言」を参照の上、推奨適応等に従うこと、との記載がある。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

創部に陰圧を付加するため創部の止血確認を行い、出血に留意する必要がある。創傷や全身疾患状態が悪化するおそれがあるため、適用部位に明らかな感染、または未
治療の感染を有する患者には使用しない。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし

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