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提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (163 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

・肺腫瘍と縦隔腫瘍を合併している症例では、低侵襲な胸腔鏡下手術による切除を同時に受けることができ(1期的手術)、身体的負担が軽減さ
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 れる。また2期的に手術を施行する場合と比較して、医療に係るコストを大幅に削減できる。
・2018年の日本胸部外科学会による年次統計(Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2021;69(1):179-212. )では、肺腫瘍手術および縦隔腫瘍手術の
後等のアウトカム
70%以上が胸腔鏡下手術であり、いずれの術式においても胸腔鏡下手術が主流となっている。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

・大規模施設(上海肺科院(中国)、年間肺癌手術症例数 約13,000例/年)におけるデータでは、3年半の期間で51症例に対して胸腔鏡下に肺
癌切除と縦隔腫瘍手術の同時手術を施行しており、肺癌症例に対する縦隔腫瘍同時切除の割合は約0.1%であった。このため、日本の肺癌手術症例
数(2018年、44,859件)から、年間約50症例が該当するものと考えた(Ann Transl Med. 2019;7(14):333.、Gen Thorac Cardiovasc Surg.
2021;69(1):179-212. )。
・肺腫瘍及び縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下の同時アプローチは、ポートや小切開の位置を考慮することによって安全に施行しうるというデータがあ
る(Ann Transl Med. 2019;7(14):333. )。

見直し前の症例数(人)

50

見直し後の症例数(人)

50

見直し前の回数(回)

0

見直し後の回数(回)

50

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

肺腫瘍および縦隔腫瘍の手術に関するガイドラインは、それぞれ個別の手術に関するもの
ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等
はあるが、複数手術のような複雑な術式について対応できるものではなく、ガイドライン
の改訂の見込み等を記載する。)
改定の見込みもない。

・胸腔鏡下肺腫瘍手術および胸腔鏡下縦隔腫瘍手術は、日本呼吸器外科学会専門医制度の基幹施設あるいは関連施設において施行する手術である
と考えられる。
・胸腔鏡下手術については、呼吸器外科学会指導医または呼吸器外科専門医が通常行っている手術である。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 日本呼吸器外科学会専門医制度の基幹施設あるいは、関連施設で施行することが望ましい。
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 日本呼吸器外科学指導医または呼吸器外科専門医が行うことが望ましい。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 特になし
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

・2018年の日本胸部外科学会による年次統計(Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2021;69(1):179-212. )では、呼吸器外科疾患に対する胸腔鏡手術
の在院死亡は0.7%と報告されており、安全な手術であると言える。
・過去の報告された胸腔鏡下に施行した肺腫瘍と縦隔腫瘍の同時手術に関する報告では、適切に症例を選択することにより安全かつ効果的に施行
可能であるとされている(Thorac Cancer. 2022;13(3):489-493. )。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

前述の通り、肺腫瘍手術および縦隔腫瘍手術の多くは胸腔鏡下に行われており、K514-2とK504-2およびK504-2とK513の2手術が同時に施行可能(1
期的手術)となることで、2期的に手術を行った場合と比較して患者の身体的負担が減るだけでなく医療コストも大幅に削減できる。これらの手
術を敢えて2期的に行うことは倫理的にも問題があると考えられ、K514-2とK504-2およびK504-2とK513の2手術を「複数手術に係る費用の特例」と
して規定することについては、社会的妥当性があるものと考える。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠
区分

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)



番号

K504-2およびK513

技術名

胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術および胸腔鏡下肺切除術

具体的な内容

K514-2とK504-2の2手術を同時に施行した場合、K504-2は所定点数の 100 分の 50 に相当する額を算定することとなるため、K514-2とK504-2の2
手術を2期的に施行した場合よりも減となる。またK504-2とK513の2手術を同時に施行した場合についても同様に、K504-2とK513の2手術を2期的に
施行した場合よりも減となる。
減(-)

プラスマイナス
⑩予想影響額

予想影響額(円)

13,031,250(円)

その根拠

2手術を2期的に算定した場合と比較して、K504-2およびK513は所定点数の 100 分の 50 に相当する額となるため

備考

予想される50症例を、K504-2が25例、K513はK513 2(部分切除)が25例として算出した。

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

特になし

⑫その他

2手術を1期的に行う事で、麻酔管理料等の全身麻酔に加え入院に係る費用も削減できるため、実際には上記予想影響額よりもマイナスが大きいと
考える。さらに2期的手術と比較して患者利便性と低侵襲性が図られるだけでなく、入院費も含めた手術に係るコストの大幅な削減および医療者
も含めた医療資源の適切な使用が期待される。

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特になし

⑭参考文献1

1)名称

肺癌診療ガイドライン

2)著者

日本肺癌学会

3)雑誌名、年、月、号、ページ

肺癌診療ガイドライン、2022年、12月、第7版、103ページおよび446ページ

4)概要

CQ17.臨床病期Ⅰ期非小細胞肺癌に対して,胸腔鏡補助下肺葉切除を行ってもよいか?推奨:胸腔鏡補助下肺葉切除を行うよう提案する。CQ3.
臨床病期Ⅰ-Ⅱ期胸腺上皮性腫瘍切除手術において,アプローチの選択肢として胸腔鏡補助下あるいはロボット支援下の切除は勧められるか?推
奨:胸腔鏡補助下あるいはロボット支援下の切除をアプローチ法の1つとして行うよう提案する。



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