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提案書02(0203頁~0398頁)医療技術評価・再評価提案書 (183 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

・対象とする患者:
在宅酸素療法指導管理料ア「その他の場合」の対象で、かつ、日本呼吸器学会「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン」の
病期分類でⅢ期以上の状態となる入院中の患者以外の患者
・医療技術の内容:
前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、情報通信機器を活用して、脈拍、酸素飽和度、機器の使用時間及び酸素流量等の状態につい
て定期的にモニタリングを行った上で、状況に応じ、療養上必要な指導を行う
・点数や算定の留意事項:
本加算を算定する患者について、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、遠隔モニタリングを用いて療養上必要な指導を行った場
合は、遠隔モニタリング加算として、150点に当該期間の月数(当該指導を行った月に限り、2月を限度とする。)を乗じて得た点数を、所定点数
に加算する。


診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

C103の2

注2

医療技術名

在宅酸素療法指導管理料の遠隔モニタリング加算
・HOT遠隔モニタリングに関するシステマティックレビュー:遠隔モニタリングに加えて指導管理を実施されたCOPD患者では救急外来受診率が有
意に低下し(RR=0.42, 95%CI[0.28–0.62], p<0.01)、入院率も低下させる(RR=0.79, 95%CI[0.64-0.98], p=0.03)(参考文献③)

③再評価の根
拠・有効性

・COPD患者への自己管理指導に関するシステマティックレビュー:COPD患者へ月1回以上の自己管理指導を行うことで健康関連QOLの向上(MD 治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 2.86, 95%CI[-4.87 - -0.85]:St.George's Respiratory Questionnaireは値が低い方がQOLが高い)や呼吸器関連の緊急入院率が低下する(OR
後等のアウトカム
0.75, 95%CI[0.57-0.98], p=0.02)(参考文献④)
・慢性疾患(COPD・心疾患)の遠隔モニタリングに関するシステマティックレビュー:COPDでは救急受診率を低下させた研究が約30%で他疾患よ
りもその割合が高い(参考文献⑤)

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

・COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022〔第6版〕(参考文献
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
②):第Ⅲ章.治療と管理 C.安定期の管理 e.酸素療法
る。)
・酸素療法マニュアル:3.HOT導入・継続管理にあたって
【症例数】
R3年社会医療診療行為別統計におけるC171の2在宅酸素療法材料加算より、全国の年間HOT実施患者数は15万人である。本加算の対象者はHOT実施
患者のうち約半数を占めるCOPD患者であり(在宅呼吸ケア白書)、そのうち状態の安定している3分の1の患者であることから、見直し前の症例数
は2.5万人と推計される。
本加算の対象疾患や対象施設に変更はないことから症例数は変化しないため、見直し後の症例数も2.5万人と推計される。
【実施回数】
見直し前の回数は、年間120件(月10件×12カ月)である(R3年社会医療診療行為別統計)。
現在、遠隔モニター利用者は見直し前の実施回数から60人未満(120件÷2件/日)となり、ほとんど存在しない状況にある。算定要件見直しによ
り見直し後の症例数の1/3が遠隔モニターを利用したとしたと仮定すると、見直し後の算定回数は9万回(8,300人×12カ月)と推測される。

年間対象者数の
変化

見直し前の症例数(人)

25,000人

見直し後の症例数(人)

25,000人

年間実施回数の
変化等

見直し前の回数(回)

120回

見直し後の回数(回)

99,600回

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

現行通り。既に遠隔モニタリング技術は確立している。
・COPDガイドラインにおいて、安定期の管理における酸素療法について推奨内容がまとめられている(参考文献②)。
・COPD患者の診療経験を有し、モニタリングの結果より的確な指導・管理を行うこと必要としている。

施設の要件
現行通り。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 ・オンライン指針に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること。
制等)
現行通り。
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 ・呼吸器内科について3年以上の経験を有する常勤の医師を配置していること。
・呼吸器内科について3年以上の経験を有する看護師を配置していること。
性や経験年数等)
生理学的数値を16日以上モニタリングでき、必要な療養指導を行うこと。
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の ・COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022〔第6版〕
・酸素療法マニュアル2017
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

現行から追加されるリスクはない。
遠隔モニタリングによる指導管理により、HOT利用時のチューブの接続不良や酸素漏れ等を把握でき、通常のHOT利用に比べてより安全に実施でき
る。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

現行から追加される問題点はない。
遠隔モニタリングの更なる普及によりアウトカム向上が期待され、社会的妥当性を有する。

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し前

150

見直し後

150

その根拠

同一の技術であるため

区分

特になし

その他(右欄に記載。)

番号

特になし

技術名

特になし

具体的な内容

特になし
減(-)

プラスマイナス
予想影響額(円)

1.8億円
【医療費の増:加算算定数増加の増額分】
150点(本加算点数)×99,600回(見直し後算定件数)×10円=1.5億円

⑩予想影響額
その根拠

【医療費の減:緊急入院数減少による入院費用の削減分】
単純影響額は増額だが、遠隔モニタリングの普及により入院医療費や救急外来受診等の医療費削減を見込める可能性がある。
慢性閉塞性肺疾患患者一人あたり入院費:
629億円/年(令和2年度国民医療費:入院医療費)÷(76,800人/月×12カ月(令和2年患者調査))=82万円/人
遠隔モニター使用患者のうち仮に5%の緊急入院が回避できた場合の症例数:8,300人×5%=400人
82万円×400人=3.3億万円の医療費削減
【合計影響額】
1.5億円-3.3億円=-1.8億円

備考
⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

特になし

⑫その他

特になし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

鰤岡直人:遠隔モニタリングと定期的な指導管理によってQOL(SF-36の下位項目)が改善した(vitality:p<0.04, mental health:p<0.02)との
報告もある(Burioka 2020)

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