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提案書02(0203頁~0398頁)医療技術評価・再評価提案書 (120 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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我々の過去の研究により、PNH型血球は、高度の溶血を伴う古典的PNHでは100%、AAの約50%、芽球や環状鉄芽球の増加がない低リスクMDS患者の約
20%に検出された。PNH型血球が検出された骨髄不全を呈する患者では免疫抑制療法に対する反応性が高く、白血病に進行するリスクが低いことが
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 示されている(Blood. 2002;100:3897)。この所見は、我が国の多施設共同前方視的臨床試験でも確認された(Int J Hematol. 2007;86:150)。ま
後等のアウトカム
た、PNH型血球が陽性の重症AA症例では陰性症例に比べてヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)とシクロスポリン(CsA)の併用療法の奏効率が有意に
高く、また長期予後も良好であることが示されている(Blood. 2006;107:1308, Br J Haematol. 2014;164;546)。

③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

現在赤血球・好中球表面抗原検査を受注している衛生研究所は、株式会社エスアールエルと株式会社ビー・エム・エルの2社である。両社が2019
年度に受注した保険収載法と高精度法の検査件数はそれぞれ3,020件、2,990件であり、2020年度上半期の同検査数はそれぞれ1,590、1,670件で
あった。これらのことから、保険診療として高精度法が施行できるようになった場合には、およそ500人/月の検査が行われ、さらに増加の余地が
あると見込まれる。

見直し前の症例数(人)

3,000人

見直し後の症例数(人)

6,000人

見直し前の回数(回)

3,200回/年

見直し後の回数(回)

7,600回/年

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

厚生労働省特発性造血障害に関する調査研究班による「発作性夜間ヘモグロビン尿症診療
の参照ガイド 令和1年改訂版(Minds非掲載)」では、汎血球減少を呈する骨髄不全症患
者を対象に、高精度フローサイトメトリー法を用いた末梢血のスクリーニングが推奨され
ている。溶血所見が明らかではないPNH型血球陽性の骨髄不全症と判断された場合、その病
態はPNH型血球の増加を伴うAAであることから、AAの重症度に応じて速やかに免疫抑制療法
を行うことが望ましい、と記載されている。また、骨髄不全患者75例におけるPNH型顆粒球
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
の推移を長期間観察したところ、全体の約15%で徐々に拡大がみられた。そのため、血清乳
る。)
酸脱水素酵素(LDH)の上昇がみられた際には、その原因がPNHクローンの拡大によるもの
かどうかをフローサイトメトリーで調べる必要があり、LDHの上昇がない場合でも1年に1回
程度のフォローアップが推奨されている。
同調査研究班の「再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和1年改訂版(Minds非掲載)」に
おいても同様に、高精度フローサイトメトリー法を用いた末梢血のスクリーニングを行
い、病態を判断した上で治療を選択することが推奨されている。

現在高精度法は、大学病院を始めとする限られた医療機関で院内検査として行われている他、民間の衛生検査所2社で保険適応外検査として実施
されており、技術的には確立されている。また、上述のように、特発性造血障害に関する調査研究班の診療参照ガイドにおいて、高精度フローサ
イトメトリーによるPNH型血球検出がPNHとAAの診療に必要であることが記載されていることから、この検査の重要性は内科医および臨床検査技師
の間で広く認識されている。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 フローサイトメトリー解析を行っていること。外部委託も可。
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 フローサイトメトリー解析を行う検査技師およびその結果を解釈できる医師がいること。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 特になし。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

検体検査のため安全性に問題はない。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし。

見直し前

330

見直し後

1200

その根拠

日本臨床検査医学会と日本臨床衛生検査技師会により、高精度PNH型血球検査を自施設で施行している12施設におけるコスト分析調査を行ったと
ころ、総費用の中央値は10,345円であった。また、衛生検査所2社における検査費用の平均価格は12,600円との回答を得た。これらのことから、
本検査の診療報酬は1,200点への増点が妥当と考える。
詳細は概要図(別紙)に記載。

⑧点数等見直し
の場合

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)



番号

なし。

技術名

なし。

具体的な内容

なし。
増(+)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)



その根拠

保険収載法では検出されなかった微少PNH型血球が高精度法によって検出されれば、その造血不全が免疫抑制療法が効きやすいタイプであると診
断することができる。その結果、適切な治療が選択されることによって造血が回復し、輸血の必要量も減少するため、医療費の削減につながる可
能性が高い。また、一部の患者に対して不適切に投与されている高額な抗補体薬やDNAメチル化阻害薬の投薬が回避されることにも繋がる。

備考

なし。

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

赤血球には抗CD55、抗CD59抗体、赤血球マーカーを用い、また好中球には抗CD11b、抗CD55、抗CD59抗体、死細胞マーカーを用いて、約10万個の
細胞を解析し、PNH型血球を検出する。
詳細は概要図(別紙)に記載。

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