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提案書02(0203頁~0398頁)医療技術評価・再評価提案書 (110 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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ボルテゾミブでは静脈内投与によって本邦では60%以上に末梢神経障害を認めたが、皮下投与ではその頻度は大きく低減した。ダラツムマブも
静脈内投与による高頻度の輸注反応は皮下投与への変更によって10%弱に低減する。こうしたことから患者満足度の向上が報告されている。し
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 かしながら、ボルテゾミブ皮下投与では注射部位の皮膚炎は必発と言え、ダラツムマブやアザシチジンでも皮下投与では注射部位にしばしば皮膚
反応が生じる。他の薬剤も同様の傾向があり、皮下投与では注射部位の局所障害や遅発性障害などに対する適切な指導管理が課題である。一方、
後等のアウトカム
皮下投与における治療効果の低下は認めていない。抗悪性腫瘍剤の皮下注射に対しても適切な指導が外来において行われる環境構築の推進は、安
全な治療継続に資すると考えられ、ついでは患者の予後改善も期待できる。
③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

皮下投与の適応となるダラツムマブ、ボルテゾミブ、アザシチジンなどは薬剤は、いずれ
も対象疾患に対する第一選択治療薬、第二選択治療薬として記載され、高頻度に投与され
ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等 ているものであるが(造血器腫瘍診療ガイドライン(日本血液学会編)など)、一方、皮
の改訂の見込み等を記載する。)
下投与そのものがガイドラインで推奨されているわけではない。しかし、安全性、有効性
の観点から皮下投与は既に日常診療におけるコミュニティースタンダードとして認識され
ており、ほとんどの患者が皮下投与で治療されている。
造血器腫瘍領域では、上記のボルテゾミブ、ダラツムマブ、アザシチジンが皮下注製剤として特に頻用される。このうちボルテゾミブは年間約3
000人に対して、のべ9万回程度の皮下投与が実施されていると想定される。一方、アザシチジンは年間約3000人程度に対して、のべ3万
回程度の投与が経静脈的、もしくは皮下投与が行われているが皮下投与はその1/3程度と推測される。ダラツムマブは令和3年3月の皮下投与承
認までは経静脈投与のみが承認されていたが、年間約6000人に対して、のべ6万回程度の投与の実績があり、現在は90%以上において皮下投
与による治療が実施されている。

年間対象者数の
変化

見直し前の症例数(人)

0人

見直し後の症例数(人)

10,000人

年間実施回数の
変化等

見直し前の回数(回)

0回

見直し後の回数(回)

10万回

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

いずれの薬剤も皮下投与の手技は容易である。一方、皮下注射による外来化学療法における場合にも、その必要性から専門的な指導や管理は外来
腫瘍化学療法診療料の「対象外」の枠組みとして既に多くの場合、実施されているものであり、実質的に外来における指導経験は豊富であるのが
実情である。ただし、こうした指導は化学療法と有害事象対策の経験と知識が豊富な専門の医師、看護師、薬剤師によるものであることが必要で
ある。

外来化学療法を実施するための専用のベッド(点滴注射による化学療法を実施するに適したリクライニングシート等を含む)を有する治療室を保
施設の要件
有していること。また、急変時等の緊急時に当該患者が入院できる体制が確保されていること又は他の保険医療機関との連携により緊急時に当該
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 患者が入院できる体制が整備されていること。さらに実施される化学療法のレジメン(治療内容)の妥当性を評価し、承認する委員会を開催して
制等)
いること。
人的配置の要件
化学療法の経験を有する専任の常勤医師、専任の常勤看護師、専任の常勤薬剤師が勤務していること。 専任の医師・看護師・薬剤師のいずれか1
(医師、看護師等の職種や人数、専門 人以上を院内に常時(24時間)配置し、算定対象患者からの電話による緊急の相談などに24時間対応できる連絡体制を整備していること。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 上記施設条件を満たすことを厚生労働省に届け出ていること。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

本申請内容によるリスクの増大は無い。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

実際上、外来診療現場においては抗悪性腫瘍剤の皮下投与は多くの場合、外来化学療法部において他の注射製剤の投与の場合と同じ状況で専任の
医師、看護師、薬剤師による管理・指導のもと投与されている現状があり、皮下投与のみ「外来腫瘍化学療法診療料」の適応となっていないこと
は実情と乖離している。一方、少数の診療機関では「外来腫瘍化学療法診療料」の算定が出来ないことを根拠に皮下投与製剤を用いないという悪
循環も生じている。これらの問題の解決も、本申請の重要な意図のひとつである。

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

⑩予想影響額

見直し前

無し

見直し後

皮下注射による化学療法の対象患者において「外来腫瘍化学療法診療料」として「外来腫瘍化学療法診療料1」の場合、イ 抗悪性腫瘍剤を投与
した場合 700点 、ロ 抗悪性腫瘍剤の投与その他必要な治療管理を行った場合 400点、「外来腫瘍化学療法診療料2」の場合、イ 抗悪性腫瘍剤
を投与した場合 570点、ロ 抗悪性腫瘍剤の投与その他必要な治療管理を行った場合 270点が加算される。また、抗悪性腫瘍剤を注射した場合
で、副作用の発現状況、治療計画等を文書により提供し、患者の状況を踏まえ指導を実施した場合には、さらに「連携充実加算」として150点
/月、当該患者が15歳未満の小児である場合には、小児加算として、所定点数に200 点の加算がされる。

その根拠

他の注射による化学療法と同一の加算が妥当と考えるため。

区分

なし

その他(右欄に記載。)

番号
技術名
具体的な内容
プラスマイナス





予想影響額(円)

1億5千万円

その根拠

対象はほぼ成人と想定され、ボルテゾミブ、アザシチジン、ダラツムマブの皮下注射患者における投与回数分を1日平均600点として試算する
と6億円の増額となる。一方、指導の充実によって、ボルテゾミブによる末梢神経障害を減少し、結果として末梢神経障害性疼痛に対する鎮痛剤
や鎮痙剤の投与が減少する効果が期待できるほか、各種薬剤による皮膚炎の早期処置が可能になることで結果として外用薬の処方の減少、皮膚科
受診など複数診療科の受診や他の医療機関の受診の必要性を低減する効果が期待できる。また、ダラツムマブなどの投与後反応の指導や観察の充
実は、その症状の悪化を未然に防ぐ効果に繋がり、結果として帰宅後の症状出現による救急受診や緊急入院などのリスクを低減する効果が期待出
来、総じて各種支持療法薬や各科の診療の費用の大幅な削減が見込まれる。一方、影響額の推定は困難であるが、一部の施設においては、加算が
とれない皮下注治療は外来化学療法室で実施することができず、管理レベルの低い外来処置室で実施したり、やむなく入院で実施したりされてい
るのが実情があり、入院治療が減少すれば医療費の削減につながるほか、投与時間の大幅な短縮により医療現場における人的資源の大幅な負担軽
減、拘束時間の短縮、人件費の削減が期待される。

備考

該当なし

増(+)

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

該当なし

⑫その他

該当なし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

日本臨床腫瘍学会

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