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(1)参考資料 (87 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20230529/zaiseia20230529.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史的転機における財政(5/29)《財務省》
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研究力向上に向けた大学の戦略的産学連携②

資料Ⅲ-4-4

○ 産学間の低い人材流動性の向上は、若手研究者のキャリアパス確保の観点から重要。
○ 獲得した研究費の間接経費が、大学本部と部局間で定められた割合で按分される(別枠運営費交付金)との指摘もあり、研
究競争力のある研究者に必要な間接経費が配布されていないおそれ。
○ 産学連携を推進し、産学間の人材流動性を高めるとともに、獲得した研究費の間接経費を、研究競争力のある研究者が必要
な人件費や研究環境整備に充てられるよう、適切に配分すべき。
◆産学官の研究者の流動性(令和3年度)
8,096 (単位:人、カッコ内は異動率)
(3.0%)
大学等
270,406

9,550
(3.5%)
546
(1.3%)
2,104
(4.8%)

非営利団体・
公的機関
43,640

156
(0.0%)

間接経費を
本部に集約

配布

本部経費
部局A

1,165
(0.4%)

大学本部

220
(0.0%)

582
(1.3%)

◆研究費を獲得した研究者に必要な間接経費が配布されているか

間接経費

(直接経費の30%)

企業
598,833

14,008
(2.3%)

(出所)総務省「科学技術研究調査」を基に財務省作成
(注)大学等は大学院博士課程の在籍者を除く。

直接経費

(参考)
「競争的研究費の間接経費の執行に
係る共通指針」(競争的研究費に関する関
係府省連絡会申し合わせ)において、「被配
分機関の⾧の責任の下で、使用に関
する方針等を作成し、それに則り計画
的かつ適正に執行するとともに、使途
の透明性を確保すること」とされている。

部局B
間接経費
直接経費

(使用例)
・人件費
・技術職員配置
・共用設備整備
・消耗品費
・特許出願費用
など

◆米国における間接経費の活用による研究競争力の強化
• 現在の日本の競争的研究資金には、一般的には直接経費に対し、一律30%の間接経費が付けられている。その間接経費は大学の裁量により、いかなる用途にも使える
資金として考えられ、また実際にそのように運用されている。これは、まさしく間接経費イコール運営費交付金として、考えられていることを示している。多くの大学で、間接経費は
大学本部と部局間で、定められた割合で按分される。
• しかし、間接経費は直接経費に付属した経費であることから鑑みると、直接経費で支援されている研究に関わる間接的な経費として運営されるべきなのだ。この概念をしっかり
と踏襲しているのが、アメリカの大学で管理運営される間接経費である。(中略)間接経費額の割合には、詳細な計算に基づく論理付けが必要であり、大学と資金支出機
関元との綿密な交渉があった上で決定されている。
• 間接経費をもらたす大学教員、すなわち多額の競争的資金を獲得できる優秀な大学教員を採用・確保するために、採用教員の給与にメリハリをつけ(略)、着任時にスター
トアップ資金を提供するなどして、異動の便宜を図るのである。(中略)この「間接経費確保=競争的資金確保=優秀教員の流動化」の構図こそが、アメリカの大学の研
究競争力を高めている原動力ともいえる。すなわち、間接経費とは、単なる大学の別枠運営費交付金なのではなく、大学を競争へと促す補助金なのである。
• 今こそ、日本の中堅大学は、アメリカのような競争原理を働かせ、大学教員の給与体系を変える改革に着手することで、優秀教員、特に若手教員の獲得に乗り出すべきだろ
う。それにはアメリカのように教員間に大きな差があるような給与体系である必要はなく、あくまで教員が大学から自分の能力を認められていると感じる程度の給与差でかまわない。
(出所)菅裕明「研究をめぐる競争的環境」(「シリーズ 大学 4 研究する大学-何のための知識か」)