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(1)参考資料 (13 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20230529/zaiseia20230529.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史的転機における財政(5/29)《財務省》
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(参考)米国の「財政インフレ」の議論

資料Ⅱ-1-3

○ 米国のインフレの要因として、コロナ対策で莫大な財政支出を行ったことを挙げる議論もある。(財政インフレ)
 「2021年2月の変曲点から2021年11月まで、CPIは6%、年率8%の上昇となった。」
 「2020年3月から、Covid-19の混乱に対応して、米国政府は現金に相当する約3兆ドルの銀行準備を新たに作り、国民や企業に小切手
を送った。(中略)その後、財務省はさらに2兆ドルほど借り入れ、さらに小切手を送った。連邦政府の負債全体は30%近く増加した。1年後
にインフレが起きたのは、まったく驚きではないだろう。財政インフレをこれほど明確に示すものはない。」
(出所)J.H.Cochrane “Fiscal Inflation”(2022)

 「金融引き締めが適切な財政調整への期待に支えられていない場合、財政不均衡の悪化がさらなるインフレ圧力の上昇につながる。」
 「COVIDのパンデミック後、米国は他の多くの国と同様に、強力な財政介入を実施した。これらの政策介入が、パンデミック不況後に観察さ
れた迅速な回復を促進したことを示した。同時に、彼らはまた、財政インフレの急増に貢献した。金利の上昇自体は、上昇の大部分が認識さ
れている政策ミックスの変化によるものであることを考えると、最近のインフレの急増を防ぐことはできなかっただろう。実際、適切な財政支援なしに
金利を引き上げれば、財政のスタグフレーションが起こりかねない。代わりに、パンデミック後のインフレを克服するには、望ましいインフレ率と
債務の持続可能性の両方への明確な道筋を提供する、相互に一貫した金融政策と財政政策が必要である。」
(出所)F.Bianchi & L.Melosi "Inflation as a Fiscal Limit” (2022)

 「現在のインフレは、供給制約やコロナ禍後の繰り越し需要、ウクライナ戦争だけが原因ではなく、各国がコロナ対策として大規模な財政・金融
政策を行ったことも大きく影響したというのがコンセンサスになっていると思う。」
 「財政インフレの場合、中央銀行の利上げで景気を悪化させれば、インフレは多少抑えることはできても、インフレの沈静化に決定的に重要に
なるのは、中銀の強い物価安定へのコミットメントではなく、市場からの財政に対する信認回復が必要だ。」
 「レーガン大統領は自らの信念で「小さな政府」を掲げ、歳出を大幅に抑制した。(中略)英国でも金融引き締めがとられていたが、インフレ抑
制には小さな政府を掲げたサッチャー政権の歳出抑制が大きく影響していた。(中略)厳しい金融引き締めだけで、英米の80年代初頭まで
の高インフレが終息したのではなく、「小さな政府」路線の採用で、財政従属が終結したことがインフレ沈静に大きく影響したということだ。つま
り、強い金融引き締めに加えて、緊縮財政への転換が必要だったということだ。」
(出所)河野龍太郎「財政インフレには80年代のボルカー流引き締めと緊縮財政が不可避」(2022.12 週刊エコノミスト)