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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書年次報告書2021(たたき台) (69 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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(3)食品
食品由来耐性菌の状況については研究事業の結果に基づいている(令和 2 年度厚生労働科学研究費
補助金食品安全確保推進研究事業・総括研究報告書「食品由来薬剤耐性菌のサーベイランスのための
研究」研究代表者

渡邉治雄)。各地方衛生研究所(地研、任意参加している 23 の地研)が当該地

の市販肉を購入後、これまでに確立したプロトコルにしたがって、食肉を汚染しているサルモネラ、
カンピロバクター、大腸菌等を対象に選択培地を用いて培養・分離した。その分離菌株の 12 種の薬
剤について薬剤感受性検査を CLSI ディスク拡散法により実施した。サルモネラの結果については、
④ ii, Non-typhoidal Salmonella, (地方衛生研究所)の項にまとめられている(p.28 参照)。概要と
しては、血清型 S. Infantis, S. Schwarzengrund, 及び S. Manhattan においては、食品由来分離株は
ヒト患者糞便由来分離株の薬剤耐性分離率や耐性パターンと高い類似性があり、食品由来耐性菌とヒ
ト由来耐性菌との間には強い関連性があることが示唆された。
カンピロバクターの薬剤耐性菌出現状況:フルオロキノロン系薬剤に耐性を示した割合は C. jejuni
が 56.1%,C. coli が 68.8%で高率であった。カンピロバクター腸炎治療の第一選択薬である EM に
対する耐性率は C. jejuni で 1.5%と低い耐性率であった。
市販鶏肉由来大腸菌の薬剤耐性菌出現状況:国産鶏肉から分離された大腸菌で耐性率が高かった薬
剤は TC(49.0%),SM(47.0%),ABPC(42.4%)であった。一方、外国産鶏肉から分離された
大腸菌で耐性率が高かった薬剤は TC(36.8%),ABPC(33.3%),GM(21.1%)であり,国産由
来株と外国産由来株では耐性薬剤の傾向が異なっていた。また、セファロスポリン系薬剤耐性率は国
産由来 1.0%,外国産由来 3.5%であった。
ESBL 産生遺伝子については、サルモネラでは、ヒト由来株および食品由来株とも、CTX-M-1 グ
ループの保有が最も多く、TEM 型が次に多かった。一方、大腸菌では、CTX-M-9 グループ, CTX-M2 グループ, TEM 型が多く検出された。
コリスチン耐性遺伝子 mcr-1~10 を検出するための multiplex PCR 法を開発し、コリスチン耐性
遺伝子の検出を実施した。ヒト由来サルモネラから mcr-1 グループ(2 株)、食品由来サルモネラか
ら mcr-5(1 株)が、それぞれ検出された。一方、ヒト由来大腸菌から mcr-1 グループ(2 株:
EHEC と下痢原性株)が検出されたが、食品由来大腸菌からは検出されなかった。動物由来菌株のコ
リスチン耐性についての調査:大腸菌では、mcr-1 及び mcr-5 遺伝子が確認された。食鳥処理場由来
サルモネラからは、mcr 遺伝子は検出されなかった。コリスチンの家畜への飼料添加剤としての使用
は我が国では 2018 年から取りやめられている。すでに存在しているコリスチン耐性遺伝子が今後ど
のように変遷していくのかを追跡する必要がある。
健康者糞便由来大腸菌の薬剤耐性菌出現状況:最も耐性率が高かったのは ABPC で 27.8%,次い
で TC 21.7%,NA 21.0%であった。フルオロキノロン系薬剤耐性は 6.4%,セファロスポリン系薬剤
耐性は 4.6%であり,いずれも例年と同様の傾向であった。コリスチン耐性 mcr 保有株は 0.48%であ
った。健康人の腸内大腸菌の耐性率はかなり高い状況であった。

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