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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書年次報告書2021(たたき台) (67 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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陸生の野性動物における耐性菌の分布は、生息環境の薬剤耐性菌汚染の影響をうけるが、家畜や伴
侶動物に比べると低率である。
2016 年から 2019 年に野生シカから分離した大腸菌 848 株においても、
調査薬剤に違いはあるが薬剤耐性菌の割合は低率(9 株、1.1%)であることが報告された(表 70)。
このように、シカやイノシシが主に生息する山間部の薬剤耐性菌の汚染は低度と考えられた。また、
2017 年から 2020 年に離島(奄美大島)に生息するアマミノクロウサギ由来大腸菌 135 株は調査薬剤
に感性を示した。草や樹木を主食とするアマミノクロウサギはヒトや家畜、さらに他の野生動物から
耐性菌を受け取る機会が少ないのか、今後の調査が期待される。
2018 年から 2019 年に群馬・岐阜・滋賀・大分の 4 県で捕獲されたカワウから分離した大腸菌 144
株では、5.6%が耐性株で、ABPC(3.5%)、TC(2.8%)
、NA(1.4%)、CPFX(0.7%)、CL(0.7%)

CP(1.4%)、ST(1.4%)耐性が認められた。また、2019 年に宮島沼(北海道)で収集したマガンの
糞便由来大腸菌 110 株では、1 株(0.9%)が耐性株(ABPC-CEZ 耐性)で、プラスミド性耐性遺伝子
(blaACC)を保有していた。カワウが留鳥でマガンが渡り鳥であることが耐性菌の分布に影響すること
を考慮しなければならないが、野生の水鳥からフルオロキノロン耐性株や伝達性β-ラクタマーゼ産生
株が分離されたことから野生水鳥を介した耐性菌の拡散や水環境の汚染には注意しなければならない。
表 69 2013 年から 2017 年に野生動物から分離した Escherichia coli の薬剤耐性率(%)
シカ

イノシシ

薬剤

グマ

ラ牛

199

10

3

2

0

36

4

2

1

14.0

0

18.1

40.0

66.7

50.0

23.6

0

0

12.6

10

0

0

0

2.8

0

0

1.5

0

0

0

0

0

1.9

0

0

1.0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0.2

0.4

2.8

0

0

1.5

0

0

0

0.9

0

0

0.6

1.3

5.7

0

0

3.0

20

0

0

3.1

2.0

11.5

4.4

4.0

17.9

12.8

0

12.6

20

33.3

0

0.9

0

0

0.6

0.9

11.3

0

0

6.0

0

0

0

0.3

0

0

0.2

0

0

0

0

0

0

0

0

1.2

2.9

1.0

1.5

1.3

3.8

0

0

2.0

10

33.3

50

0

0

0

0

1.8

1.9

0

0

1.0

0

0

0

0.6

2.0

0

0.8

0.9

18.9

6.4

0

11.6

0

0

0

神社

公園

小計

山間部

株数

327

102

96

525

224

耐性数

15

5

11

31

4.6

4.9

11.5

0.6

2.0

0

(%)
ABPC
(32)
CEZ
(32)
CTX
(4)
MEPM
(2)
GM
(16)
KM
(64)
TC
(16)
NA
(32)
CPFX
(2)
CL
(4)
CP
(32)
ST
(76/4)

アマミ

トカ

山間部

家畜

その他
アナ

(BP)

耐性率

小型哺乳類
都市部

山間部

小計

106

47

46

18

30

6

5.9

8.0

28.3

0

0.8

3.6

0

0

0

0

0

0

0

0

0.3

施設

ノクロ
ウサギ

引用文献 Asai T, Usui M, Sugiyama M, Izumi K, Ikeda T, Andoh M. Antimicrobial susceptibility of Escherichia coli isolates
obtained from wild mammals between 2013 and 2017 in Japan. J Vet Med Sci. 82(3):345-349, 2020.

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