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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書年次報告書2021(たたき台) (29 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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ⅱ. Non-typhoidal Salmonella spp.
データ元:地方衛生研究所
全国21か所の地方衛生研究所では、2015年~2020年に分離されたサルモネラ2,662株の薬剤耐性状
況を統一した方法で調査している2。ヒト由来株及び食品由来株の主な血清型を表19に示している。
ヒト由来株(1,947株)の39.8%、食品由来株(715株)の91.0%が、1剤以上の抗菌薬に耐性を示し
た(表20、21)。事業化された調査ではないものの、全国的調査であり、2015年~2020年分離株の年次
毎の耐性率はほぼ同様であり、この結果は、現在の日本の状況を反映していると考えられる。表20に
おいて、2017年の分離株ではセファロスポリン系薬(CTX, CAZ, CFX)に対する耐性率が上昇している
ように見えるが、国産鶏肉に限定すると、2015年、2016年と同等の傾向を示したことから、2017年分
離株中の外国産鶏肉由来株の比率が高いことが原因であることが示唆された。多剤耐性の状況として
は、ヒト由来株及び食品由来株ともに3剤耐性の割合が多かった。6から11剤に耐性を示す多剤耐性株
も、ヒト由来株中では37株、食品由来株中では61株で認められた。
食品由来株上位2血清型(S. Infantis, S. Schwarzengrund)の薬剤耐性率を表22~23に、ヒト由来株
上位5血清型(S. Infantis, S. Enteritidis, S. Thompson, S. 4:i:-, S. Saintpaul)の薬剤耐性率を表24~28
に示す。食品由来株では2つの血清型間で耐性傾向に共通する部分が多いが、ヒト由来株では5つの
血清型それぞれに特徴的な耐性傾向が認められた。
また、食品由来株上位5血清型及びヒト由来株上位10血清型に共通して見いだされる3血清型(S.
Schwarzengrund, S. Infantis, S. Manhattan)の薬剤耐性率をヒト由来株と食品由来株の間で比較する
と(表29)、それぞれの血清型において、各種抗菌薬に対する耐性率の全体的傾向に明瞭な類似性が
認められたことから、食品由来耐性菌とヒト由来耐性菌との間の関連が強く示唆された。
薬剤感受性試験に加えて、2015年~2020年分離株のうち、セフォタキシム(CTX), セフタジジム
(CAZ), セフォキシチン(CFX)の1剤以上に耐性を示す菌株(ヒト由来41株、食品由来46株)を対
象に、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生遺伝子及びAmpC型β-ラクタマーゼ(AmpC)遺伝
子の検出を実施した。ESBL産生遺伝子では、ヒト由来株、食品由来株とも、CTX-M-1グループの保有
が最も多く、TEM型が次に多かった。AmpC遺伝子では、ヒト由来株、食品由来株とも、CIT型の保有
が最も多かった。これらの結果から、ESBL産生遺伝子、AmpC遺伝子ともに、ヒト由来株と食品由来
株での検出傾向に類似性が認められた一方、CTX-M-9グループ(ESBL産生遺伝子)はヒト由来株のみ
に、EBC型(AmpC遺伝子)は食品由来株のみに検出されるなど、それぞれの株に特徴的な検出も認め
られた。
表19 ヒト及び食品由来non-typhoidal Salmonella spp. の血清型(2015-2020)
ヒト由来株 (n=1,947)



食品由来株 (n=715)



Enteritidis

12.6

Schwarzengrund

47.7

4:i:-

11.1

Infantis

24.6

Infantis

9.6

Manhattan

8.4

Thompson

7.9

Heidelberg

2.4

Saintpaul

6.4

Enteritidis

Typhimurium

6.1

Others

Schwarzengrund

5.1

Total

Newport

3.0

Stanley

3.0

Agona

2.0

Others

33.3

Total

100.0

28

1.8
15.1
100.0