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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書年次報告書2021(たたき台) (124 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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(9)Neisseria gonorrhoeae(淋菌)の薬剤耐性状況の調査
① 概要
淋菌感染症の診断では核酸検査の利用が進み、一部の症例のみ分離培養が行われている現状がある。淋菌の
薬剤感受性試験は一般の検査室や検査会社において容易に実施することはできないことから、JANISによる動
向把握は困難である。このことから、2015年よりAMEDによる研究によって、Neisseria gonorrhoeae(淋菌
感染症)の薬剤耐性状況の調査が実施されている。得られたデータは、WHOによって行われているGLASSに
も報告されている。

② 調査方法
全国の協力診療所(40 か所以上)が設定されている。各診療所から検体あるいは検査会社経由で菌株を全国5
カ所の検査可能な施設で収集し、薬剤感受性試験を実施した。薬剤感受性試験は CLSI あるいは EUCAST で推
奨されている寒天平板希釈法あるいは Etest によって測定した。測定薬剤は推奨薬剤である CTRX 及びスペク
チノマイシン、海外の2剤併用療法の一剤として利用されている AZM に加えて、過去に推奨薬剤として利用
されてきた3剤(PCG、CFIX、CPFX)の MIC を求めた。感受性・耐性判定は、EUCAST の基準を用いた(表
101)。参考として CLSI(M100-S25)の基準(表 102)を用いた耐性率を示した(表 103)。表に示した AZM
に関しては CLSI(M100-S27)により示された耐性遺伝子をもつ菌株の MIC 分布に基づいた指標である。

③ 今後の展望
淋菌感染症の治療薬剤選択は、薬剤感受性試験実施が困難であることから、動向調査の結果に基づいて推奨
薬剤を決定し経験的に実施する必要がある。
経験的治療は 95%以上の成功率を得られる可能性がある薬剤が推奨される。現在国内で推奨可能な薬剤は
セフトリアキソン及びスペクチノマイシンのみである。咽頭に存在する淋菌が感染源として重要であることか
ら、咽頭に存在する淋菌も除菌することが求められる。しかしながら、スペクチノマイシンは体内動態から咽
頭に存在する淋菌には無効であることから、実質的にはセフトリアキソンが唯一残された薬剤である。
国内の分離株の薬剤感受性試験国内ではセフトリアキソン MIC 0.5μg/ml を示す株が散発的に分離されて
いる。海外でのセフトリアキソン接種は筋注であり、用量が制限される。このためセフトリアキソン MIC
0.5μg/ml の株が海外に伝播した際には、セフトリアキソンが無効となる可能性が高いため、今後の分離の動
向を注視していく必要がある。2017 年以降、大阪で 2015 年に分離された耐性株 7 と同一の耐性遺伝子をもつ
株の分離報告が世界各地からなされている 8。

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