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■ 大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書 (6 ページ)

公開元URL https://ajmc.jp/news/2023/04/17/5048/
出典情報 全国医学部長病院長会議 記者会見(4/17)《全国医学部長病院長会議》
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べて、年収で500万円から700万円ほどの差が生じているため、大学病院の医師のほとんどは兼業や
副業により給与差額分を補っているのが現状である。大学病院の医師を確保することにより、兼業・副
業による労働時間の短縮が図られるとともに、増加した医師により地域への医師派遣も適切に行うこと
が可能となってくる。
しかしながら、大学病院医師の処遇改善には時間もかかることから、現時点ではやはり、タスクシフト
や医師事務作業補助者による医師の業務削減を図って行くことが重要である。今回の調査でも、タスク
シフトや医師事務作業補助者による業務改善は進んではきているが、今後は、タスクシフトで行う業務
の内容をより医師の負担軽減につなげていくことが必要である。例えば、医師事務作業補助者のアン
ケートで、診療録等の代行入力や各種書類の記載など比較的簡易な業務については幅広い大学病院
で実施しているが、入院時のオリエンテーションや、医師が診察する前に患者の病歴や症状などを聴取
する業務については、2~3割の大学に留まっている。診療録など各種書類の作成に必要な医療知識を
有する高度な人材を養成していくことが求められる。特定行為看護師についても、本調査で集中治療領
域や救急領域、外科系基本領域パッケージ研修修了者を配置できている大学はごく少数であることが
明らかとなった。これらの分野は医師の加重労働が特に問題となっている分野であるため、更なる拡大
が必要である。また、現在少数の大学でのみ実施されている、救急外来における採血・検査や血管造
影・画像下治療(IVR)の介助などの特定行為以外で実施しているタスクシフトについても、更に広げて
いくためには、これらを実施できる高度な看護師の養成を進めていく必要がある。なお、現在の診療報
酬では大学病院の経営は厳しいものがあり、タスクシフトを行う医療技術職員や医師事務作業補助者
等の雇用に必要な支援は十分とは言えない。
今回のアンケート調査では、医師の労働時間の短縮が教育・研究に与える影響が大きいとの結果が
出ている(80%以上の大学病院が回答)。大学病院における教育・研究は大学の根幹をなすものであり、
それでなくとも日本の研究力低下が深刻視される中、医師の時間外・休日労働時間の上限規制に伴い
研究にさらなる打撃が加わることは、我が国の医学・医療と日本の将来に重大な影響を及ぼしかねない。
このために医師の増員はもとより、教育・研究の効率化を図るための ICT 化の推進(ICT 化の推進は
業務の効率化に寄与するとの回答は 65.7%となっている。)が必要であるが、そのための財源措置が
不足している。
さらに、近年、臨床研究・基礎研究を問わず、法律に基づく厳格な運用や膨大な書類作成など、いわ
ゆる間接業務の量が著しく増し、研究者が直接研究に携わることのできる時間が制約を受けている。我
が国では、欧米に比べ、研究を様々な方向からサポートする人材(リサーチ・アドミストレーターやプロ
ジェクトマネージャー等)が不足し、その養成と確保、雇用財源の整備や有期雇用の解消など、労働条件
の改善が急務と考えられる。
教育用教材開発のための設備等については、多くの大学が不十分と回答し、シミュレーションセン
ターの施設・設備についても同様に不十分との回答が多かった。また、臨床研究支援のための EDC シ
ステムの導入や研究データを集約するためのサーバーの確保、老朽化した研究設備の更新が必要と回

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