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■ 大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書 (5 ページ)

公開元URL https://ajmc.jp/news/2023/04/17/5048/
出典情報 全国医学部長病院長会議 記者会見(4/17)《全国医学部長病院長会議》
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Ⅰ.調査の概要
厚生労働省に設置された「医師の働き方改革に関する検討会」報告書が平成31年3月に取りまとめ
られ、医師の働き方改革を進める基本的な考え方が示されてから各大学病院における医師の働き方改
革への取組が始まったが、それと同時に新型コロナウイルス感染症が拡大し、各大学病院は未知のウイ
ルスとの戦いが始まった。コロナ禍の中で働き方改革への取り組みは、遅々として進まなかったが、約1
年後の令和3年2月に全国医学部長病院長会議主催による「医師に働き方改革緊急セミナー」を契機に、
コロナ禍の中での医師の働き方改革が少しずつではあるが進み始めた。
これまで医師の労働時間の管理は十分には行われてこなかったため、最初に取り組むことは、医師の
働き方改革に伴う特例水準や追加的健康確保措置の理解と医師の労働時間の把握であった。各大学
病院ではそのための勤務時間管理システムの導入を進めているが、その導入・稼働は必ずしも円滑に
行われていない。これは、大学病院の医師の働き方に適したシステムが存在しなかったことが要因と考
えられ、今後、各大学病院で多くのシステムが稼働し始めると、コスト面での負担が大きくなってくると想
定される。このため、国として共通利用が可能で、得られたデータの全国規模での利活用が可能となる
ような、現場が使いやすいシステム構築やそのための財政的支援が不足している。
また、働き方改革を通じた医師の労働時間短縮は、教育・研究・診療時間のみならず、自己研鑽の時
間や地域医療の担い手としての時間も削減しかねず、今後の我が国の医療にとって大きな痛手を伴う
恐れがある。「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」(令和元年度6月 文部科学省)にお
いても、保健分野における大学等教員の職務活動時間に占める研究時間割合の減少は明らかとなって
いたが、本調査では、特に若手医師の研究時間について、教育、研究の主力を担うべき助教の職にある
者でさえ約 65%が週5時間以下で、全く行っていない者も 15%に上るなど、深刻な状況であることが
確認された。
研究には、上司からの指示の下チームで研究成果を出すために目標をもって行う研究と、研究者が
自ら自由な発想で目標を持ち行う研究がある。医学の発展のためにはどちらも必要不可欠であるが、
医学という学問の性質上、医学研究の発展を担う大学病院の医師は、研究、教育だけでなく臨床も一
体的に担うことが必要である。働き方改革において、自由な発想で行う研究の時間がとりづらくなること
が予想されるが、そのような研究に対しての支援が必要不可欠である。
確かに、医師の労働時間の短縮は重要であり、タスクシフトや効率化などが進められているが、それ
だけで医師の時間外・休日労働時間短縮の目標である960時間あるいは720時間が達成できるもの
ではない。本調査においても、大学病院の医師の給与が低いため、兼業の制限に伴う収入の減少を懸
念し、特に若手医師の大学病院離れが加速することを危惧する意見もあり、大学病院の機能を維持・発
展させるためには医師の確保が必要である。
大学病院の医師を確保するためには、大学病院医師の給与を一般医療機関や国立病院機構と同様
程度まで引き上げる必要がある。現在、大学病院の医師の給与は、一般医療機関や国立病院機構と比

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