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参考資料3-2 (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32513.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第74回 4/12)《厚生労働省》
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戦略 1.2 関連分野の専門職等に対する薬剤耐性に関

する教育、研修の推進
背景


薬剤耐性(AMR)の発生・伝播を抑制するためには、抗微生物剤の適正使用(AMS)、感染予
防・管理(IPC)が重要であり、このためには、規制のみならず、抗微生物剤を使用する者、微生物
の感染予防・管理(IPC)に関わる者等の薬剤耐性(AMR)に関する知識、理解を深め、行動変容
に結び付けることが重要である。



医療従事者に対する教育介入は一定の効果を上げている。例えば、英国では、地域の一般診
療所に対するワークショップ型の介入で、診療所における抗菌薬処方量が 6.1%低下することが示
されている29。また、オランダにおける一般開業医のオンライントレーニングでは、コントロール群で
は 33%の抗菌薬処方率であったのに対し、介入群では 21%の抗菌薬処方率だったという研究結果
もある30。



一方、感染症対策の専門家は、国内においては少数にとどまっており、例えば、2022 年7月にお
ける感染症専門医数は 1,554 名であり、外科専門医の 15 分の1、救急科専門医の3分の1程度で
ある。また、感染症内科・感染症科を標榜する診療科にて従事する医師は 531 名であり、病院・診
療所に勤務する医師の 0.2%に過ぎない31。また、その他の医療関係者における認定資格保持者
数は、2021 年 12 月現在、感染管理認定看護師 3,312 名、感染症看護専門看護師 100 名、感染
制御認定薬剤師 1,045 名、感染制御認定臨床微生物検査技師 776 名と極めて限られているのが
現状である32。



また、2020 年に全国の診療所医師を対象に行われた意識調査では、「薬剤耐性(AMR)対策ア
クションプランを人に説明できる/理解している」と回答した人は 31.3%に過ぎず、「抗菌薬適正使用
による薬剤耐性の抑制効果は大いにある」と回答した人は 54.4%、「感冒と診断したときに抗菌薬を
ほとんど処方していない(0~20%に処方)」と回答した人は 71.1%にとどまっている33。



畜水産分野では、薬剤耐性(AMR)によるリスクの低減を図る上で、特に動物用抗菌剤や抗菌性
飼料添加物の使用者である獣医師や畜水産業の従事者(生産者)の果たす役割が重要であり、こ
れらの者が、薬剤耐性(AMR)、動物用抗菌性物質の適正使用・慎重使用等について、正しく認
識・理解した上で動物用抗菌性物質を使用する必要がある。



これらの抗微生物剤を使用する者、微生物の感染予防・管理(IPC)に関わる者等への薬剤耐性
(AMR)に関する普及・教育に関する取組について、より一層の充実・強化を図ることが必要である。

29

McNulty C, Hawking M, Lecky D, et al. Effects of primary care antimicrobial stewardship outreach on antibiotic use by
general practice staff: pragmatic randomized controlled trial of the TARGET antibiotics workshop. J Antimicrob Chemother.
2018;73(5):1423-1432. doi:10.1093/jac/dky004
30
Dekker ARJ, Verheij TJM, Broekhuizen BDL, et al. Effectiveness of general practitioner online training and an information
booklet for parents on antibiotic prescribing for children with respiratory tract infection in primary care: a cluster randomized
controlled trial. J Antimicrob Chemother. 2018;73(5):1416-1422. doi:10.1093/jac/dkx542
31
感染症専門医名簿(令和4年7月1日) (https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/senmoni/meibo_220701.pdf)
32
日本看護協会資格認定制度(http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/)、感染症看護専門看護師(http://www.nc
n.ac.jp/examination/grad/050/026advanced.html)、感染制御認定薬剤師(https://www.jshp.or.jp/snmon/senmon2.html)、
感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT)制度(http://www.jscm.org/icmt_new/index.html)
33
具ら, 日本感染症学会合同外来抗菌薬適正使用調査委員会、全国の診療所医師を対象とした抗菌薬適正使用に関す
るアンケート調査(第2回), 日本化学療法学会誌 69(Suppl.A)195 2021 年4月

薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) | 27