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資料 こども・高齢化 (22 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20240416zaiseia.html
出典情報 財政制度等審議会 財政制度分科会(4/16)《財務省》
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我が国の構造課題 ー 「社会規範」の問題

少子化

○ 日本においても、①男性の意識が変わらず、「共働き共育て」が確立されていないことが出生率低下の要因となっているとの指摘や、
②女性の働き方に関する意識の変化に社会の仕組みが対応できていないことが、少子化の加速という形で現れているとの指摘がある。
○ 女性の有業率が過去最高になる中で、女性の活躍をより推進していくためにも、職場の文化・雰囲気を抜本的に変えることは急務。
仕事と育児を両立できる環境作りを進め、夫婦どちらかがキャリアを犠牲にすることなく、協力して育児できる社会を作っていく必要。
◆「縛られる日本人」(メアリ―・ブリントン著)
※ハーバード大ライシャワー日本研究所長、中公新書、2022年
※日本、アメリカ、スウェーデンの20代半ば~30代前半の男女で、高学歴の都市居住者
をインタビュー調査した結果(2012、2019~2021年調査)に基づく。

1.日本の出生率が低下しているのは、子ども1人の家庭が増えている
ため。その理由は、 『共働き・共育てモデル』が確立されておらず、若い
世代が子ども2人を持つことに躊躇しているから。
◆「理由①」;育児は「母親任せ」で、父親の育児参加が期待できないため


日本の男性の育児参加(育休取得)が進まないのは、男性本人が、その社
会で「当たり前」とされる行動の規範に従おうとする意識が強いため。男性
の行動は「仲間の影響力(同僚に迷惑がかかる)」や「上司の影響力(上司
に育休経験がない)」が大きい。また、他の男性は育休に否定的だろうとい
う思いこみが強い(「多元的無知」)。企業の人事担当者も、育休は女性
(母親)が取得すべきものという固定観念が強い。

◆「理由②」;女性(母親)、仕事との両立に苦しんでいるため


女性(正社員)は、育休明けの職場復帰に困難な場合や、復帰後に長時間
勤務を求められ苦しむことも。

2.スウェーデンやアメリカは、『共働き・共育てモデル』が社会に定着して
いる。日本の出生率向上のためには、『共働き・共育てモデル』が確
立される必要。

◆「女性が活躍する日本経済を実現するためにワーク・ライフ・
バランス施策のアップデートを」(権丈 英子著)
※亜細亜大学経済学部教授、月刊資本市場、2023年12月

1.社会における男女の役割に関するノルム(社会通念)は、均等法が
成立した1985年以降40年ほどで大きく変化。
(1)意識の変化:女性が働き続けることが望ましいとの考えが広がり、若い
人々もキャリア形成の重要性を知るようになってきている。社会の仕組みがそ

うした意識の変化に対応できていないと、そこに矛盾が生じる。その矛盾は、

今は少子化の加速という形で現れていると言えよう。

(2)少子化の進行とWLB:ワークとライフの双方を取り巻く環境は、先ほどの
ノルムをはじめとして時代と共に大きく変わってきた。その変化の中で齟齬も
生まれ始めている。この不協和をいかに解決するかが、今問われている。

※WLB:ワークとライフのバランス

2.労働力希少社会が到来すると同時に、出産育児期も継続就業を希望
する女性が増加。新しい時代のWLBもこれに対応していく必要。
(1)包括的な子ども子育て支援の必要性:児童手当の所得制限の撤廃など、こ

れまでの制度を普遍主義的な制度に再構築し、男女双方のキャリアと子育て

(共働き・共育て)を切れ目なく支援するという新しいプランは、新しい時代
のWLBに沿ったものと言える。

(2)新しいコーホートのためのWLB施策:諸々の制度への正確な理解に基づき
ながら、前の世代がバトンを渡した若いコーホートにおける意識、社会規範の

変化に対応するように、WLB施策のアップデートが今、求められている。

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